([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街 (ポプラ文庫 ん 1-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591137109

感想・レビュー・書評

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  • 大山さんの「あずかりやさん」で大好きになった明日町こんぺいとう商店街。
    その商店街に七人の作家さんがお店を開店。

    読んだことのない作家さんが3人。
    彩瀬まるさん、千早茜さん、松村栄子さん。
    どの方も気になっていた作家さんで、収録されていてうれしい。
    アンソロジーの有難いところです。
    収録作品を読む限りでは合うようなので、これまたうれしい。

    好きなお話は……と考えて、どれも好きだ~♪と思う。
    アンソロジーって、ひとつやふたつは「んー……」ってお話があるものなのに。
    またまたうれしい。

    元気なおばあちゃんたちの夢のカフェ、焼きおにぎりの香ばしい匂いがするお米屋さん、昔ながらのオムライスを出してくれる洋食屋さん……どのお店も居心地が良くて、何度も足を運びたくなる。
    舞台が固定で別の作家さんの作品集なので「競作」と呼ぶのが正しいのかもしれないけれど、ゆるく繋がり、くるっと輪っかになるようなラストで「連作」と呼びたい一冊。
    2弾目を読むのも楽しみ!

  • 本屋で一目ぼれ。でも買って良かった(^^♪
    最近こういうアンソロジー本が続いてるなぁ・・・
    でも、この本で気になる作者が増えました!読むのが楽しみだな(*^_^*)

    下町の片隅、明日町にある『こんぺいとう商店街』が舞台。
    そこにあるお店7軒の話。
    作家7人がそれぞれの話を書いてるのに、他のお店の話に名前だけ登場したりとか他の店のその後が知れたりとかリンクがあって楽しかった!
    開店準備が楽しそうな「カフェスルス」、ちょっと不思議な「あずかりやさん」、おにぎりがおいしそうな「伊藤米店」、展開に驚いた「チンドン屋」、ちょっとワケありな商品を抱えた「三波呉服店」、ひな菊のせつない片思い「キッチン田中」、大家と気になる女の子の関係を怪しむ下宿人に笑ってしまった「砂糖屋綿貫」。
    どれも面白かった~

  • 東京の下町、スカイツリーのお膝元に位置する明日町こんぺいとう商店街は、昭和の香りを色濃く残す商店街。

    図書館で ゛いつか読む ゛登録していたこちらが、先日読んだ「あずかりやさん/大山淳子作」と同じ商店街名だと知り、漸く手にしました。

    アンソロジーですが、あちこちで他作品(他店舗?)の人も出てきて、こういうところも商店街っぽいなぁ、とほっこりしました。

    いい話ばかりじゃないけれど、
    商店街で暮らす人たちの生命力みたいなものを感じ、元気をもらった気がしました。

    続きも出ているので、また読みたいです。

  • 【あらすじ】
    この路地を曲がれば、そこはもう、すこし不思議な世界の入口―。ひとつの架空の商店街を舞台に、七人の人気作家がお店を開店し、短編を紡ぐほっこりおいしいアンソロジー。商店街のマスコット「招きうさぎ」がなつかしくあたたかな物語へと誘います。

    【感想】

  • 短編集ということで、気になり読んでみました。
    色々な作家さんが書いているので、一つ一つ違った感じが、良かったです。

  • 【最終レビュー】

    7名の女性作家のリレー短編集・予約著書。図書館貸出。

    彩瀬まるさんを通じて出会った、この著書。

    この商店街の話の続編が発刊されたので、読み終わって、図書館在庫貸出予約を入れました。

    肩の力を抜いて、今まで以上に、ありったけに、7つのお店をそれぞれに巡っていった感じです。新しく、一つ、二つと楽しい発見もあったり。こうして読んでいくだけでも、商店街の雰囲気に包まれながら、心地よく気分がよかったですよ。

    では、それぞれのお店ごとのレビューにご案内します。

    〈一軒目 大島真寿美さん作『カフェ スルス』〉

    『人生、いつからでも、やれるものなら、やってしまおう』

    がテーマ。

    私より「年上の年代の女性達」が始める

    [新たなスタートライン]

    同じ一女性の目線からも、彼女達からエールを送られているかのようでした。本当に、その通りだということを改めて教えられ、何だか、嬉しい気持ちになりました。

    ランチメニューのスープセット(野菜は産地直送)、本当に食べたい!そんな気分になるんですよ…

    スルス…「泉(フランス語)」

    〈二軒目 大山淳子さん作『おあずかりやさん』〉

    盲目の、27歳男性店主。ひょんなことがきっかけで、この「おあずかりやさん」を始める。

    代金前払い、期間限定で預けたいものを預ける。期間が過ぎると、彼が処理する。その繰り返し。

    盲目だからこそ、逆にメリットもあること。

    [記憶力や生活の「術」を知ること]

    常に「本(点字)を読みながら…」

    [本からでも、情報は得られる]

    そう、盲目の彼から教えられた感じです。

    〈三軒目 彩瀬まるさん作『伊藤米店』〉

    伊藤米店、四軒目以降、それぞれ少しばかり出てきます。やはり、お米屋ということで、日本人にしかない文化ということを改めて実感します。

    [土鍋で、お米を炊いた『手作りおにぎりの風味』]

    なぜ、これだけ好評なのかの「意味合い」がとても強く伝わってきました。

    一人の母親の目線から、語られています。

    女同士(著書ではママ友)の付き合い方の現状も。

    自身が思ってたこと・そのままに書いてたので

    「本当、その通り」とズバリ、そう思いました。歯がゆくなりますね…同じ女性なのですが…

    伊藤米店の息子のこの言葉を抜粋しながら

    『変わらないもんって「ないよ」』

    〈四軒目 千早茜さん作『チンドン屋』〉

    ほんのかすかな記憶の中に、実際に、見たことがあるなというのがあったなと。

    昭和40年代~50年頃のチンドン屋の最盛期

    ちょうど、自身が生まれた年代に該当するので、重ねて見てしまう所がありました。

    戦後から今日、生きてきた、チンドン屋さんの男性・清治郎のエピソードを通じ

    「見てきたもの・時代の流れの変化」

    上手く描かれていて、とても印象深いものがありました。

    春ちゃんという女性の方の、お店を持つ心構えの姿勢

    『知っていても、知っていることを「ひけらかさない女性」だから、安心できた』(清治郎)

    彼女の人柄を感じさせる、

    [素敵な「品のある、女性の姿」]

    というのは、こういうことだということを…

    清治郎の商店街に対する、この想いに、拍手を送ります。

    『チンドン屋、商店街「地べた」にあるもんだ。「地続きで、人の生活」に「つながっているもの」空には行けない』

    〈五軒目 松村栄子さん作『三波(みなみ)呉服店―2005―』〉

    和服をまとう容姿。

    [和服の着こなしで「その人本来の雰囲気」を更に深く感じさせるもの]

    この内容から、特に自身が感じ取ったことでした。

    「着物は、基本、オーダーメイド」

    「生地へのこだわり・気品・染め上げ方」

    「坂東巴流」

    「京友禅」「江戸小紋」

    これらをキーワードに、和装の本来の魅力というものを描いていました。

    〈六軒目 吉川トリコさん作『キッチン田中(洋食屋)』〉

    商店街で「商売をする人」

    商店街を「訪れる人」

    それぞれの「人」の「流れ」に対する

    [的確で鋭い、リアリティー感]

    七軒の中で、一番に飛び抜けて伝わってきました。

    特に、雑誌を通じて初めて訪れただけの人達に対する

    「本来の心理」

    本当、その通りでドンピシャです。

    中心人物の花屋の一人娘・ひな菊

    花屋さんというのもあってか、花を通じての想いというのは、素行はやや荒さもあったり、不器用ながらも、ひたむきに、飾らず、自然体。

    『花は枯れても、季節が巡れば、再生する』

    と同時に

    『商店街の人達の「働く、人間が使い込まれた手」』に染み込んだ『魂』

    店に携わる女性達の姿から、ひしひしと感じられたことでした。

    〈七軒目 中島京子さん作『砂糖屋 綿貫』〉

    古びた『家』

    「清潔で居心地がいい」

    砂糖屋 綿貫

    この空部屋に下宿している、学生が主人公。

    『砂糖の種類』が、これでもかというぐらいに、数多くあるとは、とても驚きでした。

    でも、それぞれの「個性ある、目的に応じた風味」があるからこそ、更に、創意工夫で楽しめるということでもあるからで。

    中白糖(煮物)、きび糖・甜菜糖(お菓子)などなど。

    81歳の店主、元気いっぱいです。

    ということで、この辺りで、お開きとします。

    楽しんでいただけたなら、それで十分です。

    ありがとうございました。

    では、おやすみなさい。

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