いとの森の家(一般書)

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著者 : 東直子
  • ポプラ社 (2014年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591142073

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いとの森の家(一般書)の感想・レビュー・書評

  • 自分の小学生時代のことを思い出して、あたたかな気持ちになった。
    小学中学年の少女のわずか1年間の田舎での暮らしの物語。
    春夏秋冬、四季折々の自然と触れ合いながらの生活、
    ハルおばさんとの交流にほっこりする。

    のどかな時間が流れている。
    「となりのトトロ」的な田舎の何気ない日常生活。
    そこに生きている実感、楽しさを感じる。

    小学4年生の少女・加奈子。
    福岡県の都会から「糸島半島」の田舎に家族ぐるみで引っ越ししてきた。
    その「いとの森」の家で暮らし。
    著者の体験を元にした物語。
    初めての田舎暮らしで、戸惑うものの、すぐに友達もできて馴染む。
    都会以上に充実した毎日だった。

    オケラ遊び、ホタル観賞、海水浴、きのこ狩り、雪合戦。
    四季折々の自然を感じる生活。
    不便なことも多いけれど、充実感ある生活。

    そして、ハルおばあさんの存在。
    優しく包み込んでくれるハルさんは、ちょっと村でも浮いているところがあった。
    それは、死刑囚を慰問するから。
    そして、太平洋戦争時代、アメリカでの民族差別を受けた苦労人でもあった。
    そんなハルおばあさんが教えてくれた、生きていく大切なこと。
    「ただただ、にこにこしていること」

    ギスギスした現代日本に求められるのは、
    こんな自然の恩恵や不便さ、そして、あたたかく包み込んでくれる人
    ではないだろうか?
    「猫と子どもは出入り自由、遠慮なんてしなくていいの」
    ほっこりした。
    あたたかい気持ちになった。
    他人に優しくなれそうな気がした。
    第31回坪田譲治文学賞受賞作

  • 「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
    おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。

    福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
    都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。

    中でも特別な存在はおハルさんだ。
    童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
    だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
    なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……?

    そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
    福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。

  • 糸島の自然がムンムンと感じられた。
    はるさんのおおきなあたたかさ。
    そしてツライ体験。
    全てが重なって、今のはるさん。
    はるさんの死刑囚の人の慰問…。それは子供達にとってショッキングな事なのに、ちゃんと受け止めていた咲子ちゃんとかなちゃん。すごいって思う。

  • 福岡の田舎町に家族で引っ越してきたかなこ。

    慣れない環境に
    転校初日から保健室に行くはめになったかなこが
    その土地に徐々に親しみを覚えていくまで。

    近所に住むおハルさんというおばあさんは
    可愛いものが大好きで、
    時々、死刑囚の慰安に行っていること。

    咲子ちゃんとの思い出。
    みんなで行った海水浴。
    死刑囚に会いに行くおハルさんへの気持ち。

    実在したおハルさんはどんな人だったのだろう。
    少女時代に著者が経験した短いけど濃厚な雰囲気が、かなこを通じて伝わってきた。

  • ジブリあたりでアニメ化してほしいような、独特の雰囲気を持ったお話。

    自然ゆたかな森のなかの家と、滋味あふれるごはん、のびのびと育つ子供ら。
    死刑囚へ差し入れを持っていくハルさん。

    装丁も素敵であたたかく、染み込む。

  • ちょうど「センス・オブ・ワンダー」ということについて考えていた。
    いろんな考え方や捉え方があり、選択肢がある、そういうことって本当に大事。

  • 図書館で借りたもの。
    初めての作家さんだったけど、読みやすかった。
    著者が小学生の時に1年ほど住んだ福岡県糸島郡。そこに住んでいた「死刑囚の母」と呼ばれた白石ハルさん。その「おハルさん」と糸島の風土をモデルにしたフィクションの物語。
    おハルさんの暮らしぶりが素敵。
    四季折々の生活。
    どことなく「赤毛のアン」を感じた。

  • 糸島の話。実際にいらしたという、死刑囚の母、白石ハルさんが、とてもとても、魅力的に描かれています。

  • 一年間だけ、暮らした糸島での出来事を鮮やかに切り取った作品。

    ドラマでは大人時代から始まってたけど、大人時代のことは一切出てこない。

    糸島の豊かな自然と少し変わった近所に住む「おハルさん」との交流が描かれる。

    いい作品でした。


    実は亡き父の故郷が糸島でした。
    糸島というのは福岡市の西側にある半島で、上手い具合に海と山のいいところが合わさっているようなところなんです。
    今は九大が移転してきて、色々お店も増えたけれど、まだまだ手つかずの自然が残ってます。

    あの光景を思い浮かべながら読みました。

  • ドラマ化されたものをたまたま見る。でも、それはすでに後半。原作はどんなものなのだろうと思い手にとったら大正解!あぁ、再放送してほしい!!!

    感受性の豊かな加奈子がお父さんの思いつきで引っ越してきた糸島で、自然に出合い、人に出会い、成長していく。言葉の本来の使い方ってこういうことだよなぁと何度も思わされた。真摯に人と会話するために紡がれていくもの。

    おハルさんの存在は大きい。
    おハルさんから出てくる移民としての過去、そして死刑囚との交流。そこで加奈子はいろいろ考えるのだ。自分の中で内省していくのだ。考えるって、こういうことだよね。誰からに与えられるのではなく、自分で見つけていくもの。

    「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」

    おハルさんが加奈子にかけたこの言葉が温かく重みがある。

  • 作者東さんが幼少期に1年だけ過ごした福岡・糸島の地に実在した「死刑囚の母」との交流を書いた作品。フィクションではあるけれどもその実作者の幼少期の回顧録でもあると思う。「ハルさん」が怪しい人物として虐げられるのかと思ったけれどそうではなく少女とおばあさんの心の交流を描いている。

  • 請求記号: 913.6/Hig
    資料 I D : 50079570
    配架場所: 図書館1階西 学生選書コーナー

  • 表紙の絵のイメージ通りの、ふんわり優しい雰囲気の本でした。作家の東直子さんが小学生の時に一年間住んだ糸島にいた「死刑囚の母」ハルさん。そのハルさんと、糸島の風土をモデルにしたそうです。ただほんわかしているだけでなく、生きている意味、命の大切さなども感じさせられました。

  • YAに入るのかな。是非、子どもに読んでほしい。
    田舎に引っ越して、なじんで、いろんな人に出会って、主人公の加奈子がまっすぐ素直に内面から成長する姿がすごくいい。
    死刑囚の慰問をするハルさん、近所の同級生咲子ちゃん、学校の先生、習字の先生、皆優しく、真剣に関わり合い、生きている。
    時代背景も自分と重なり、良き時代だったのだな…と思った。

  • 田舎に引っ越した小学4年生の女の子の視線で、そのほっこりした生活とお友達や自然の交流を描いて、こちらもその楽しさが伝わりふわふわした気持ちになる。何より死刑囚への慰問をしているハルさんというおばあさんの佇まいが素敵で、その手作りの様々なものがとてもいい。

  •  物語の舞台は糸島。
     あとがきによると、1963年生まれの著者は、小学生の頃1年ほど糸島に住んでいたのだという。死刑囚を見舞うおハルさんにも、モデルになった方がいるそうだ。

  • 福岡県の糸島地方。自然の素晴らしさと、育っていく少女の様子が生き生きと描かれている。方言もステキ。
    白石ハルさんのことも、初めて知った。

  • 父親が突然田舎に家を建てると言い出し、福岡県の糸島半島の付根の村に引っ越して来た加奈子は、すぐに地元の子供達とも馴染み、楽しい田舎暮らしを満喫していた。

    加奈子たちの家の近くの森の中に、かわいらしい家に住むハルさんというおばあさんが住んでいた。
    優しいハルさんは、いつでも遊びに来てもいいと言ってくれて、子供たちは皆、ハルさんを慕っていた。

    ある日、ハルさんは白い包みを抱いて帰宅してきた。
    それは死刑が執行され、引き取り手がいなかった死刑囚の遺骨だった。
    ハルさんは刑務所に慰問に行って、死刑囚たちと交流をしていたのだ。
    加奈子たちは驚き戸惑うが、子供なりにも真剣に考え、ハルさんを理解しようとする。

  • 一気読みでした。
    読みながら、幼い頃の自分自身の記憶も呼び起こされるよう。
    小学生時代の、夏休み。水遊びやワンピース。
    中学生時代に、父親の転勤で5年間住んだ土地。
    著者さんご自身の体験を元にされたフィクション、素敵でした。幸せな子ども時代を過ごされたのですね。そして私も。

  • 気鋭の歌人が書いた小説ということで期待して読んだが、たいしたことなかったというのが正直な感想。
    ハルさんという女性の描写に深みがないことが一番の原因と思われる。
    語り手の少女の気持ちはよく描けているように思うが、作者が少女の位置に留まって、ハルさんの高みに届いていないのではないかな。
    フィクションでいいからハルさんの人となりをもうちょっと書きこんで欲しかった。

  • 福岡県糸島半島で小学4年から1年間過ごした加奈子の経験と心の成長が書かれている。自然の中で、イキイキとしていく加奈子。ステキな1年間だったね〜

  • 東さんの新刊、楽しみに読む。

    事前情報なく読んだので、題名から東さんの作品にある
    現実と夢うつつの入りまじった少し不思議な話かと
    思っていたが、著者の子供時代の爽やかな思い出の物語だった。
    その当時住んでいた、この物語の舞台となる
    福岡県糸島郡に実際にいた死刑囚の母と呼ばれる
    白石ハルさんも主人公かなちゃんと交流のある
    近所の素敵なおばあさんとして出てくるフィクション。

    主人公の小学四年生のかなちゃんと、
    近所の同級生咲子ちゃんの
    子供ながらに真剣に物事を考える姿勢とか
    一生懸命自然を楽しむ姿とか、
    将来の夢を語り合う場面とか、
    読んでいてとても楽しく、これから大人になる
    子供時代のなんと夢多く意欲溢れることかと
    こちらまで意気揚々とした気持ちになって
    読後感も良かった。

    俳人だけあって、自然や空気の感じ方がリアルで
    情景が素敵な情景が思い浮かぶ場面がたくさんあって
    その部分だけまたしみじみ読みたいなと思う。

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いとの森の家(一般書)の作品紹介

「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」
おハルさんは、私の頬を両手で包んで微笑んだ――。

福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた小さな村に引っ越すことになる。
都会とのギャップにとまどいながらも、すぐに仲良しの友達もでき、自然の豊かな恵みに満ちた田舎の暮らしに魅了されていく。

中でも特別な存在はおハルさんだ。
童話に出てくるような家に住み、いつもおいしいジャムやクッキーを作ってくれるおばあさん、おハルさんは子どもたちの人気者。
だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいた。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。
なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……? 

そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく――。
福岡・糸島の地を舞台に、深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いたあたたかな物語。

【著者プロフィール】
東 直子(ひがし・なおこ)
1963年、広島県生まれ。歌人、作家。1996年『草かんむりの訪問者』で第7回歌壇賞受賞。2006年『長崎くんの指(のちに『水銀灯が消えるまで』)』で小説家としてデビュー。歌集に『青卵』『東直子集』『十階』、小説に『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『らいほうさんの場所』『私のミトンさん』『トマト・ケチャップ・ス』『いつか来た町』、エッセイ集に『耳うらの星』『千年ごはん』『鼓動のうた』、絵本に『あめ ぽぽぽ』『ぷうちゃんのちいさいマル』など著書多数。

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