いとの森の家(一般書)

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591142073

感想・レビュー・書評

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  • 福岡県糸島の風景描写が秀逸です
    森の風景
    加奈子と友達の描写もすてき
    そしてハルさん
    実在の人物をモデルにして描かれている
    あたたかい作品でした

    ≪ 残酷な 出来事乗り越え 今森に ≫

  • 作者が小学校4年生の一年間を過ごした福岡県糸島市の、森にある家のことを元に描かれたという物語です。
    糸島の自然豊かな様子や、オケラの相撲!小学校では、時としていろいろなことがブームになりますね。
    ここに、アメリカで暮らしたことがあるハルさんという老婦人が出てきます。アメリカに移住して、戦争があって、いろいろ辛い体験をされたようですが、子供たちにははっきりと語られません。ただ、「あなたには残酷なできごとが起こりませんように。しあわせな人生でありますように」との祈りが伝えられます。

    ハルさんは、罪を犯した人たちに2500通もの手紙を書き続け、死刑囚の母と慕われた実在の白石ハルさんがモデルとなっているそうで、作者も交流があったとか。主人公の加奈子と親友の咲子は、ハルさんとの関わりを通じて、死について、罪を犯すということについて、自分なりに考えます。
    どうして、罪を犯した人が亡くなった時にハルさんは手を合わせるのか。咲子は「それはできません」とはっきり言うのです。この辺りの描き方がいいなと思いました。

    ほんと、これはアニメにして子供たちに見てほしいですよね。

  • 小学四年生の六月。福岡市内のしずかな住宅街に住んでいた加奈子は、福岡県西端の「いと」と呼ばれる田舎の田園地帯に引っ越した。
    そこで出会ったおハルさんと呼ばれる優しいおばあさんは、たびたび死刑囚の慰問に出かけているらしい。
    さまざまな人との出会いや、経験を経て、加奈子は命や死ぬことについて考えるようになる。

    筆者の実体験や、実在した人物がモデルになっている。
    『西の魔女が死んだ』みたいなお話かと思いきや、死刑囚の慰問というまさかの展開におどろき、どういうことだろうと思いながら読み進めた。
    おハルさんが住む可愛らしい家に行ってみたい。

  • 170831

  • 福岡の田舎町に家族で引っ越してきたかなこ。

    慣れない環境に
    転校初日から保健室に行くはめになったかなこが
    その土地に徐々に親しみを覚えていくまで。

    近所に住むおハルさんというおばあさんは
    可愛いものが大好きで、
    時々、死刑囚の慰安に行っていること。

    咲子ちゃんとの思い出。
    みんなで行った海水浴。
    死刑囚に会いに行くおハルさんへの気持ち。

    実在したおハルさんはどんな人だったのだろう。
    少女時代に著者が経験した短いけど濃厚な雰囲気が、かなこを通じて伝わってきた。

  • ジブリあたりでアニメ化してほしいような、独特の雰囲気を持ったお話。

    自然ゆたかな森のなかの家と、滋味あふれるごはん、のびのびと育つ子供ら。
    死刑囚へ差し入れを持っていくハルさん。

    装丁も素敵であたたかく、染み込む。

  • ちょうど「センス・オブ・ワンダー」ということについて考えていた。
    いろんな考え方や捉え方があり、選択肢がある、そういうことって本当に大事。

  • 図書館で借りたもの。
    初めての作家さんだったけど、読みやすかった。
    著者が小学生の時に1年ほど住んだ福岡県糸島郡。そこに住んでいた「死刑囚の母」と呼ばれた白石ハルさん。その「おハルさん」と糸島の風土をモデルにしたフィクションの物語。
    おハルさんの暮らしぶりが素敵。
    四季折々の生活。
    どことなく「赤毛のアン」を感じた。

  • 糸島の話。実際にいらしたという、死刑囚の母、白石ハルさんが、とてもとても、魅力的に描かれています。

  • 一年間だけ、暮らした糸島での出来事を鮮やかに切り取った作品。

    ドラマでは大人時代から始まってたけど、大人時代のことは一切出てこない。

    糸島の豊かな自然と少し変わった近所に住む「おハルさん」との交流が描かれる。

    いい作品でした。


    実は亡き父の故郷が糸島でした。
    糸島というのは福岡市の西側にある半島で、上手い具合に海と山のいいところが合わさっているようなところなんです。
    今は九大が移転してきて、色々お店も増えたけれど、まだまだ手つかずの自然が残ってます。

    あの光景を思い浮かべながら読みました。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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