秩序なき時代の知性 (ポプラ新書 さ 7-1)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591152904

作品紹介・あらすじ

「本書を読んでいただければ、
トランプ大統領誕生後も日本人は
したたかに生き残っていくことができることがわかります。」
(はじめにより)


今こそ、秩序なき世界を生き抜くための知性が必要だ
時代の本質を見抜くために――
佐藤優氏が今もっとも注目する5人の論客・テーマ
その対話の中から、いったい何が見えてきたのか――?

【哲学】國分功一郎
「第三者の視点から見れば明らかにおかしい議論が起きるのは、
 政治を執行する側の人間に思想の力が足りていないからです。」

【経済・働き方】木暮太一
「お金があるから不幸になるリスクも多分にありえる。
 年収1000万と2000万の差で、
 幸福度にどこまで差があるかわからないと思うんです。」

【法】水野祐
「コピーを超える力こそが人の感情を動かすのかもしれない。
 雑弾力とでもいうのかな。」
「『エリート』という古い概念はじきに通用しなくなる。
 そのとき武器となるのは、縦ではなく、横の幅をいかに持っておくか
 ということになるでしょう。」

【福島・原発】開沼博
「政府に寄っているだとか、大学のポストうんぬんだとか。
 とはいえ、最後に強い力を持つのは客観性と実証性です。」

【歴史】與那覇潤
「歴史を知れば、いまの自分や自分をとりまく社会の様相を、
 かなり突き放して見られるようになります。
 それは、現在を変える力にも、未来を変えていく糧にもなる。」

感想・レビュー・書評

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  • トランプ候補の当選を予想したのは副島隆彦氏のみ

    コヘレトの言葉 何事にも時があり 天の下の出来事にはすべて定められた時がある

    スプークス MI-5 英国機密情報部

    大学への日本史を復刻 安藤達朗 駿台予備校 ひとりで通史 いっきに学び直す日本史

    小沢仁志主演 闇金の帝王

    働くの対義語 欧米人は遊ぶ 日本人は休む

    限界効用逓減の法則 お金を使えば使うほど、ものを変えば買うほど、その一回の機会の効用 ありがたみや満足感が減っていってしまうという理論

    無料の講演 ここに来ればあなたたちがなんとかしてくれるんでしょ? 何も変わってないけど、どうしてくれるの という人が集まりやすい

    お金を使うのは自分の意志を示すこと

    民意は変容する

    オマージュやパロディがやりにくい社会は、風刺や批評がなく、文化的に窒息してしまいます

    海外のマンパワーで置き換えられる職種は厳しい
    公認会計士は大変 国際基準での競争になる
    税理士は生き残れる 担税能力の見極めができるかどうか

    いまの時点でどう思うか 検察の殺し文句

    日本人はルールつくりが下手か?
    国際的なルール作りは下手
    内輪の暗黙のルールはちゃんとつくる

    人権の対義語は神権

    はじめての福島学

    すでに出てしまったゴミについては処理しなければならない。ゴミを処理するという、最大公約数の部分で、まず落とし所を具体的に見出すための議論をしていく

    エネルギーミックス

    最近の火力発電は精製しないで原油を焚く 硫黄がたくさん入っている原油はだめ だからサウジの原油が必要

    事実よりも主張意見が優先、客観的な公平さより、ある種の正義さが優先される現代日本の言論のありかたでは、課題を見失うばかり

    日本は儒教は受け入れても放伐思想だけは除外した
    放伐思想 天は変わっていないが、天命をうける人物は変わる

    歴史感の共通化については、期待しすぎてはいけない

    自分の前提にこりかたまった人たちは、諸説ある、立場によって視点が異なるという視点をもとうとしない

    当時軽井沢、箱根に住むのは卑怯者の証明 軽井沢にはスイスを始めとする西側の外交官が、箱根にはソ連の外交官が非難していた

  • 定められた時がある。
    自分の時が来るのを急ぎつつ、待つ。

    若い世代の対話。
    中身はなかなかついていけないものがある。
    ただ学びか必要であることを痛感する。
    俯瞰で物事を見ること。そして、言葉を知ることが大切だとだと感じる。

  • 一番印象に残ったのは、「最後に強い力を持つのは客観性と実証性(佐藤)」、「事実より主張・意見が優先される、あるいは客観的な公平さよりも、ある種の正義が優先される現代日本の言論のあり方では、課題を見失うばかりで。その部分をまず意識的に分けていかなければ、福島や原発の問題のみならず、あらゆる社会問題を理解し課題を解決していくことはできない(開沼)」。本書の章の並びについて、どういう意図があったのかは分からないが、どの章にも共通するような、最も根本的な話をしている開沼さんとの対談を最初にした方が良かったと思う。

  • 佐藤優さんは常々、世にはびこる反知性主義について警鐘を鳴らしています。
    反知性主義とはすなわち、実証性や客観性を軽視もしくは無視し、自分が欲するようにだけ世界を理解する態度のことをいいます。
    これは視野の狭さを顧みることなく「絶対に自分は正しい」と思いこみ「とにかく気合で問題を解決する」とする決断主義に結びつきやすい。
    そんな態度では問題は解決するどころか悪化するばかりですから、非常に危険、なのだそうです。

    この本はそのようなお考えの50代の佐藤さんと、5人の30代40代のインテリの皆さんとの対話です。
    國分攻一郎〈哲学〉木暮太一〈経済・働き方〉水野祐〈法〉開沼博〈福島・原発〉與那覇潤〈歴史〉
    本題は難しく、十分理解できていないと思われますが、雑談ぽいところがとても面白かったです。

    たとえば佐藤さんは東ドイツのマイヤー百科事典全18巻を海外オークションで4000円ぐらいで競り落としたけど、送料は15万円ぐらいかかった、とか。
    電車に乗っていると、かなり酔っぱらった人(私ではない)に話しかけられ、ひたすら北朝鮮の拉致問題や北方領土に関する話を聞かされる。
    疲れているのできついが、読者をむげにもできず、そんなことが何回か続いたので、短い距離はタクシー、長距離はグリーン車に乗るようにしている、とか。

    そのなかで今後にいかしたい、大事な部分をメモ↓

    〈検察の取り締まりテクニック〉より
    佐藤「違法性の認識を持っていなかったとしても、特捜は崩してくるんです。どういう手法で来ると思います?」
    水野「うーん。洗脳のような感じでしょうか。認めるまで過去の話を何度もさせるとか…?」
    佐藤「過去ではなく、現在から崩すのがポイントなんです。『いま世の中がこんなに騒いでいます。あなたは違法性の認識がなかったという。それは置いておきます、とりあえず』『それで、いま、どう思いますか。振り返ってみて、まったく違法性がなかったと思いますか』」
    水野「なるほど。取り調べを受けている時点で『どう思うか』と聞かれたら揺れますね。問題になっているから取り調べの場にいるわけですし。」
    佐藤「そう、『いまの時点で、どう思うか』これは検察の殺し文句なんです。ここで『検事さんがあまりにも怖い顔で詰問してくるから、たったいま、この時点で思いました』と言える人間はいません。『あったかもしれない』と少しでも認めたら『ではなぜいまになって問題に気がついたのですか』『ほんとうは当時から潜在的に違法性をわかっていたのでしょう?』と畳みかけてくる。」
    水野「本来、法律が適用されるのは行為時が基準になるので、現在の認識から押さえていくというやり方はおかしなはずなんですけど。」
    佐藤「ですが、実務上の慣行としてはあることですね。行為時の認識などはいくらでも変容しますから。」
    水野「それはおっしゃる通りですね」
    佐藤「捕まらないとわからないことですが(笑)」
    水野「なかなか言えないセリフです(笑)」

  • 対談形式なので読みやすい

  • 佐藤優氏の本はいつもハッとさせられる。
    しかし対談となると半分の部分しか納得できない。
    それは対談相手の選択によるものだと思う。
    佐藤優氏は国家を相手に戦った経歴がある。
    そして国家のために働いていた重い思い経歴もある。
    木暮太一氏以外の対談相手は、
    何か現状の国家というものに対してシニカルなものの見方をしている。
    論客ということで理論武装しているようでも、
    根底には、生まれ育った環境から来るナイーブな感性が流れている。
    またそれが人間というものなのだろう。

  • 著者が本気で対談しているのは國分と與那覇ぐらいで、あとは手を抜いているというか相手のレベルに合わせてるのかな?という印象。哲学・歴史は本気で語る価値はあるが、その他の人物は各々フィールドワーク的職業なので、インタビューモードになってしまうのは仕方ないのかもしれないが。
    ・人文学は突き詰めると歴史と言語
    ・権力を抜きにして歴史を語る事はできない

  • Kindleで読了。トランプ選出を受けて、慌てて編集された印象もないわけではない。
    56歳になったという佐藤氏は、「若い世代」を育てたいという気概が出てきたようだ。
    國分功一郎/木暮太一/水野祐/開沼博/與那覇潤の各氏との対談。

  • これからの社会をみるには不可欠な人等の対談。
    タイトルが、仰々しくはありますが…

  • 2016/12/29 喜久屋書店北神戸店にて購入。
    2019/12/25〜12/28

    佐藤優氏と若手論説家との対談集。國分功一郎、小暮太一、水野祐、開沼博、與那覇潤各氏と、それぞれの専門分野でがっぷり4つに組む佐藤氏の博識ぶりにいつもながらに感服。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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