どこまでやるか、町内会 (ポプラ新書 か 10-1)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153390

作品紹介・あらすじ

町内会・自治会の課題を解決し、
快適にご近所づきあいするために!
大きな災害が起こるたびに人々の結びつきが注目され、町内会の存在がクローズアップされる。一方で、高齢化で担い手がいない現実や、子育て世代にとって負担の多い活動が、ご近所トラブルのもとになることも。町内会と行政の関係や新興の町内会のあり方を通して、町内会に関わるすべての人の疑問や思いに答える1冊。
◎こんな町内会だったらいいのに……
「班長は平日のごみ置き場の掃除が義務になっている。共働きで子供が小さいのに、どうしよう」(30代・女性・会社員)
→「部分参加」で、掃除にかかる会費だけ払うという相談をしてみては。行政の戸別収集というやり方も。

「町内会や地域の活動にもっと出てほしい。どうすれば住民が参加してくれるのか?」(60代・男性・無職)
→下請け仕事の「大幅リストラ」を検討。新興のマンション自治会では、役員会が月2回程度。ワインとピザを振舞うお祭りをしているところも。

感想・レビュー・書評

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  •  以前読んだ町内会に関する本を、保守系とするならば、この本は革新系あるいは市民系とでも言えるのかな。

  • 参考になりました。もっと早くに読んでいたらと悔やまれます。2月に自治会の役員に選出され、4月の総会で筆頭副会長に就任して6か月、1600軒からなるマンモス自治会で、会議・会議の大変な日々を送っています。大変ですが、「できる人が・できるときに・できることを‼」の精神で、新しい出会いも沢山あって、存外楽しんでいます。今夕は月一回の役員会、早退して出席します。┐(´д`)┌

  • 色々、ためになった。へーそうなんだ、という事が以外に多くこの本を手にしてよかったと思う。個人的に身近な問題でもあったので共感せさられた。

  • 町内会はあくまで任意。
    公助と自助の間にある本来の近所付き合いである近所ならぬ近助に立ち返る話。
    過去のしがらみからPTAのように強制なのかマンション借りたら入るやつと一緒なのか曖昧な世界が可視化される。
    行政がお金払って依頼する強制パターンとそうでないパターンなどややこしい。

    ただ、夏祭りやバーベキューなど筆頭にただただ地域を良くしていく集まりをつくりたいだけなんだが伝わる。
    前著は読んでいないが、町内会のあり方が変わっていきそうで興味深い。

  • 目次:
    第1章 ごみ出し問題には町内会の抱える問題が集約されている
    ・町内会が抱える問題とは
    ・町内会とは何か ほか
    第2章 「担い手がいない」という悩みへの「解決策」の罠
    ・なぜ、町内会に人が集まらないのか
    ・「担い手がいない」という悩みとその「解決策」 ほか
    第3章 その事業は本当に必要か
    ・町内会の「神話」を解体する
    ・防犯灯 ほか
    第4章 町内会はどこまでリストラできるか
    ・町内会にとって不可欠なたった一つの仕事―コミュニティ意識を育てる
    ・夏祭りを手伝ってくれたおばあちゃんへの「おせっかい」 ほか
    第5章 今すぐできるリストラ策「おまとめ事業」と手続きの簡素化
    ・今ある事業はこう変わる
    Ⅰ「おまとめ事業」
    Ⅱ手続きの簡素化 ほか
    第6章 行政、連合体、町内会、住民への提言
    ・誰もが引き継げる町内会にするために
    Ⅰ行政への提言
    Ⅱ連合体への提言
    Ⅲ町内会への提言
    Ⅳ住民一人ひとりへの提言

    ピックアップと一言:
    ・町内会に入ることは任意、ごみの収集は市町村の義務。ということになれば、任意団体である町内会に入らないことによって、ごみ出しができず、市町村がごみ収集という義務を果たさないというのは、ずいぶん不合理な話のように思えます。一番根本的な解決は、先ほど紹介した戸別収集にしてしまうことです。市町村の要綱で、集積所の設置を町内会にさせているところがありますが、「未加入」の住民について、任意団体をつくればそれでもいいよ、というふうにしてあるところがあります。行政サイドでなく、町内会サイドで言えば、部分参加という解決方法もあります。例えば「ごみ集積所の掃除をしてくれればいいよ」という町内会などがそうです。あるいは、衛生自治会とか衛生組合といって、町内会の外郭組織なのですが、ごみ関連の費用だけを集めて、ごみ集積所の管理の仕事などを特別にしている団体があります。
    →管理費用は必要だが、入会とは別問題ということ。入会の有無とはちょっと違いますが、東広島市では、家庭ごみを地域のごみステーションに持ち出すことが困難な高齢者や障害者等を対象に無料で、家庭ごみの戸別収集と声かけによる安否確認を行っています。

    ・福岡市では「地域デビュー応援事業」をやっています。これまで仕事一辺倒だった「団塊世代」が町内会や地域の活動に出てくるのを応援しようというのが「地域デビュー応援事業」です。「地域行事に参加して楽しむ」が第1段階、「地域の良いところや地域活動などについての情報共有」が第2段階、そして「地域活動として、継続的に地域に関わっていく」が第3段階です。例えば町内会などが行う夏祭りに一定期間補助金をつけることで、そうした小さな地域単位でのイベントを盛んにし、そこにスタッフや客として出てきてもらう人を増やそう、としています。
    福岡市地域デビュー応援事業
    →福岡市の「地域デビュー応援事業」における、「町内の幅広い世代の住民が気軽に楽しく参加できる住民同士の交流事業」とは、清掃 活動やパトロール活動などの奉仕的な活動ではなく、自治会・町内会への加入・未加入や年齢、性別などにかかわらず、多くの住民が参加して楽しめるようなものをいい、一例としては、夏祭りや餅つき会、三世代が参加できるような軽スポー ツや文化的イベントなどがあげられます。今度、実績や効果などを聞いてみたいですね。

    ・ただし、この「魅力押し出し」というやり方自体は大事だと私も思いますが、他方で根本的に対処しなければならない問題が抜けたまま「魅力押し出し」だけを行うことには、重大な欠陥、罠があると言わざるを得ません。それは、増えすぎた町内会の仕事を根本的に減らすということです。「検討委」で、町内会などの地域活動において「負担」が第1回から大騒ぎで議論されています。そこで、主な負担感の中心は何かが議論されていますが、それは「行政からの依頼」だと言います。
    →東広島市でも、広報紙の配布は住民自治協議会が行うかは選択制とし、住民自治協議会で配布できない地区は、業者への委託で配布を行っています。しかし回覧は必須事業となっています。これは、住民自治協議会へ世帯数に応じた交付金を交付する条件として、世帯数調査と行政情報の回覧が必須事項となっているためです。

    ・高齢化がすすむ中で最近町内会の活動として増えているのは、高齢者の見守りでしょう。まず、高齢者の安否や福祉に責任を持つのは、本人、家族、行政であり、あくまでも町内会ができることは「お手伝い」なのだということを明確にしましょう。その上で、できる人は「訪問し報告する見守り」にも挑戦し、できない人は「さりげない見守り」を心がけてもらうということでよいのです。
    →国が要支援1、2の人たちの一部を介護保険の直接給付から外したために、ヘルパーなどの専門的なサービスが受けられない人たちが生まれてきており、その受け皿として、業者、サークル、ボランティアが考えられているのですが、国が「町内会」でもOK、としているということは、初めて知りました。確かに町内会への負担が増えてきていますが、行政は町内会が受けるか否かを選択できるように制度設計しなくてはいけませんね。

    ・防災・危機管理アドバイザーで「近助の精神」を著した山村武彦は、次のように述べています。「共助は「みんな」なので。みんなで助け合いましょうというのは美しいですが、顔が見えません。ですから私は、近くの人が近くの人を助ける「近助」を提唱しています。共助は自主防災組織へと発展しましたが、その自主防災組織を支え中核をなすのが向こう三軒両隣の防災隣組であり安否確認チーム、つまり「自助」と「共助」に間を埋める「近助」なのです。」
    →そう、防災活動は広域で取り組むのがとても難しいと感じています。かと言って、住民自治協議会にお任せの各区(自治会・町内会)は、自らの単位での防災活動を自ら行う意欲はありません。なので、住民自治協議会として、各区へ防災活動のお膳立てや直接支援が必要となってきます。防災活動とは言わないまでも、“近助”付き合いを進める支援をしていきたいですね、

    ・ぼくはこの本の中でこれまでずっと、町内会に残る最小限の機能は「コミュニティ意識の育成」だと言ってきましたが、そこに小さいけども本質的な修正を一つ加えなければなりません。それは今述べた通り、地域住民の代表として意思を表明するという機能が必要だということです。行政の下請けになるのではなく、しっかりとモノを言う。しかし不合理な負担は避ける―こうした新しい、ゆるやかな町内会議が浮かび上がってきます。
    →ミニマム町内会でも、入会未入会に関わらず、地域住民全員が必要な時にいつでも意思表示が出来る体制が作れていれば代表と言えると思います。まずは住民自治協議会を知ってもらい、活動内容や連絡先等を知ってもらう活動が必要ですね。

    ・町内会の仕事のリストラをすること。そのための基準は何かと言えば、コミュニティ意識(お隣さん意識、近助の精神)を育むことさえ残れば、どこまでリストラしてもよいのです。
    →自治会・町内会で行う活動は、防災、福祉、環境、、、だと思い込んでいました。これらができるに越したことはないですが、役員やスタッフが嫌な思いをしてまでするものではないということが分かっただけでも気が楽になります。

    ・「散歩のついでに防犯パトロール」「夏祭りで消火器での的倒し」「非常食を持ち寄ってピクニック」「運動会を外注」「回覧板をなくす(メールやSNS)」「町内会の規模を小さくする」「総会は数年に1回」「役員会や班長会議なども、住民に広く案内し、誰でも参加し意見を言えるようにする」「会計についても、出納簿をつけておくだけ」
    →無くすのは難しい、なら抱き合わせでやってしまおうというのは合理的ですね。

    ・「町内会はあったほうがいい」というのがぼくの基本のスタンスです。ゆるやかなコミュニティ意識(お隣さん意識)を育てていくことで、明らかに生活の質は向上します。ただ、従来のような強制か任意かわからないまま住民に押しつけるやり方や、それをいいことに行政が「下請」に使うようなやり方は、もう見直さないとこの先やっていけません。町内会が「住民に対する責任」という呪縛から解放され、やりたいことをやりたい人がやろうという原理に転換できれば、担い手はずっと増えるはずです。しかも生き生きと、楽しくやれるに違いありません。
    →同感です。ミニマム町内会でやりたい人が楽しくやりつつ、全住民からの意思表示の機会を確保することで代表性も担保する。そういう町内会像をめざしていきたいですね。


    感想等:
    ・前著「“町内会”は義務ですか?」に続き、自治会・町内会不要論と必要論の両面からみた説得力のある本です。今回は、町内会のスリム化の具体例を中心に、行政、連合体(住民自治協議会)、町内会、住民への提言をまとめた実践的な本となっています。
    ・ミニマム町内会では、コミュニティ意識の醸成、つまりご近助(近所)の繋がりづくりが大事だと説いていますので、今後はそこの具体策をもっと掘り下げてもらいたいですね。

  • 町内会活動で目的は何か? 守るべきものは何か? 考えさせられる一冊。
    この本を読んで町内会を脱退したという方は、著者の意図をくみ取れていないのでは。

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/town_community.html【書評】『どこまでやるか、町内会』 : なおきのブログ

    <目次>
    はじめに
    第1章 ごみ出し問題には町内会の抱える問題が集約されている。
    第2章 「担い手がいない」という悩みへの「解決策」の罠
    第3章 その事業は本当に必要か
    第4章 町内会はどこまでリストラできるか
    第5章 今すぐできるリストラ策「おまとめ事業」と手続きの簡素化
    第6章 行政、連合体、町内会、住民への提言
    おわりに


    2017.03.21 別の本を探していてたまたま検索でヒットした。
    2017.04.10 読了

  • やれるところをやろうよ、規模は縮小しようよ、ボランティアというか、参加者があることだけやろうよ。
    地域のボスであることがうれしいおじいちゃんたちと目端が利くんだか効かない・聞かないだかわからない行政と。
    さて、著者が行政側でどうやるのか、見てみたいなあと心から思う。

  • このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
    とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。京都大学法学部卒。自らのブログ「紙屋研究所」で漫画評論や育児論、社会時評をつづる。
著書に『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)、『超訳マルクス――ブラック企業と闘った大先輩の言葉』(かもがわ出版)、『“町内会”は義務ですか?――コミュニティーと自由の実践』(小学館新書)、『どこまでやるか、町内会』(ポプラ新書)など。

「2018年 『マンガの「超」リアリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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