鉱石倶楽部 (MOE BOOKS)

著者 :
  • 白泉社
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本棚登録 : 296
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592731139

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに長野まゆみさんの幻想的な世界に戻ってきました。
    一時期とても疎遠だったのに、またページを開くと、やっぱりいいなあと思えるような普遍的な魅力が、長野まゆみさんの著作にはありますよね。
    昔友人が、長野まゆみさんの本の中ではこれが一等好きだと話していたのを思い出し、また私も鉱石に興味が出てきたので、図書館で取り寄せて読書しました。

    最初の短編から、中に収録されている18の掌編、そうして鉱石の図鑑に至るまで、長野まゆみらしさ全開の一冊となっています。
    特に鉱石をお酒やお菓子、食べ物に見立てているという発想が素敵すぎて、本当にキュンとしてしまいました。私も夜間学部の生徒になって、ゾロ博士の授業を受けてみたいものです。

    しかし、長野まゆみさんのセンスには、本当に感嘆してしまいます。
    発想、文字遣い、ブレない信念のようなもの。趣味ですが小説を書く私としては、見習いたいところばかりです。
    鉱石を綴るなら、カタカナではなくてやはり漢字! と強く思ってしまいます。そんなこだわりも、ながのまゆみさんから頂いたものでした。

    出てくるどの鉱石も本当に美味しそうで、どれがいいかなんて甲乙つけられないくらいです。
    文庫でいいので、いつか購入して、気が向いた時に眺めて、そうして心の栄養にしたいなと思うような、そんな素敵な一冊です。
    鉱石、理科室、学校、少年、美味しそうな食べ物など、長野まゆみ的キーワードのどれか一つでもお好きな方にぜひおすすめしたい一冊です。

  • おいしそうな鉱石がいっぱいいっぱいでてくる。

    読んでいるうちにホントに食べれるんじゃないかと思った・・・。

    さすが、長野先生。お見事です。

  • これは、テレヴィジョン・シティに出てくるヴィオラが何から出来ているかとかわかったり、長野さんワールドに少しリンクしたりしていてとても面白い

  • すっごく好きです。鉱石の写真も綺麗だし、それぞれの呼び方やお話もとても良いです。

  • この本は茉雪がまだ中学生だった頃に神田の三省堂本店に
    父に連れて行ってもらった時に一目惚れした本です。
    さて、当時まだ14歳かそこいらの私を魅了したのはなんだったのかと言うと、
    まず、その写真の美しさでしょう。鉱石の写真が本当に美しいのです。
    まず、そこに目を惹かれ、次いで私を虜にしたのは、あの、長野先生のノスタルジックな文体で綴られた個々の鉱石の解説でした。解説、と言っても普通の解説ではなく、もちろん、長野ワールドです。
    以下に少し、引用させて頂きたいと思います。

    氷柱糖【つららとう】
    氷柱花(クリスタ)と呼ばれる植物が、凍って石化したもの。
    糖分が多いほど結晶は透明で、硝子質のものから、乳白色のものまで、種類はまちまちである……

    これは何の説明かと言えば、お気付きの通り、『水晶』の、です。
    1つ1つの鉱石の項の間に、長野先生の素晴らしい短編が入っているのです。その短編がまた幻想的で、鉱石に因んだものとなっています。どれもこれもが目の前に色までも浮かんできそうに美しいのです。
    鉱石好きの方にはホントにオススメですよ。

  • あたしは鉱石の知識がゼロに等しい為、初めてこれを読んだ時は、ほんとに鉱石ってお菓子になるのだと想ったo長野まゆみの世界の住人でいられない事を、心から悔やむo

  • 小学生か中学生の頃に学校の図書館で読んだ本。すごく好きで、手元に置いておきたくて、買った。砂の薔薇とか、石のお話。

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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