日出処の天子 第7巻 (白泉社文庫)

著者 :
  • 白泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592880578

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  • 人はひとりではいきられないのだろうか。
    ひとりでは不完全なのだろうか。

    ひとつの答えとして、毛人は
    この世は男と女の二つで成り立つと云う。

    毛人は厩戸も布都姫も愛しているのだろう。
    そして布都姫を選んだ。
    「女と男は対になることで生み出されるものがある。
    男である私と男であるあなたが一緒になっても先に進まない」と
    毛人は答えを出したのだ。

    厩戸は自分と同じものを求め
    毛人は自分とは違うものを求めている。

    厩戸が女であったならなにか違ったであろうか。
    毛人は愛したかもしれない。
    けれど、厩戸は毛人を愛して幸せになれただろうか。

    厩戸の心は複雑だ。深い傷がある。

    人には理解できないほどの天才であるがゆえの孤独ではなく、
    母の愛に飢えている。

    彼は幸せだったことがないのだ。

    毛人を失った瞬間、永遠に誰も救うことはできない。
    孤独が続く。

    読んでいて虚無感に飲み込まれそうになる。
    無駄だとわかっていても活きてゆく厩戸の強さは凄まじい。

    最後になって厩戸の冷酷さは
    生きるのびるために彼には必要なことなのだと理解できる。

    哀しい。なんだろうこの哀しさは、
    人はみな哀しいのかもしれない。

著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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