メッシュ (第3巻) (白泉社文庫)

著者 :
  • 白泉社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784592883043

感想・レビュー・書評

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  • 2007年初読以来数回読み返していたが、本を紛失してしまったので、再購入。

    傷ついた少年が、ミロンという青年との出会いをきっかけに、優しい大人たちとの交流を重ねながら(巻き込まれながら)、成長していく。
    結構大部分がコメディタッチで、読むと幸せをほんの少しお裾分けしてもらう感じがある。
    それだけメッシュとミロンのやり取りがいいんだ。
    本音と嘘と皮肉と罵りと好意とが幾層にも重なった会話って素敵。
    津原泰水作品の絶品の会話を思い出したりもした。
    「おまえは普通に優しいだけの奴だよ」ぶっきらぼうに言ってくれる人がいるだけで、安全基地になるのだ。
    ところで今回読んで感じたのは、吉田秋生「BANANA FISH」と似ているなーと。
    なんにも調べたりせず感じたことを書くだけなので影響関係とか知らないけれど。
    アッシュにとってのゴルツィネが、メッシュにとってはサムソンとドルーか。
    またどちらも作品も、過酷に扱ってくる大人がいるのは間違いないが、それ以外に優しい大人がはっきりといる、というところがいいのだ。
    また、単純にメッシュが可愛い。
    それも、愛でられる対象として、ではなく、そういう対象から逃れるために(は女装も厭わず、というか途中からはお得意の武器として)もがいている姿が、可愛い。
    ところで、父との関係が問題かと思っていたら、終盤で急速に母との関係が焦点化するのが、凄い。おそらく「残酷な神が支配する」へも繋がるはず。
    そしてバシッと決まった映画みたいなラスト。
    やはり読み直してよかった。

    ・メッシュ
    ・ルージュ
    ・ブラン
    ・春の骨
    ・モンマルトル
    ・革命
    ・耳をかたむけて
    ・千の矢
    ・苦手な人種
    ・謝肉祭
    ・シュールな愛のリアルな死

  • シリーズ最終巻。

    最後の「シュールな愛のリアルな死」と題された章では、ようやくメッシュの両親にまつわる謎が明らかにされます。ルイーズという男から、メッシュに母親が生きていることを知らせる連絡がもたらされますが、そこで彼が目にすることになったのは、精神を病んで「フランソワーズ」という名の娘のすがただけを思いえがく一人の女性でした。それでもメッシュは、彼女と彼女をとり巻く人びとの期待に自分自身をあわせることができれば、彼女たちはメッシュの居場所を設けてくれるのではないかという思いを断ち切ることができず、そのことによって深く傷つきます。

    事件の最後で、メッシュはみずからの来歴をはっきりと知らされることになり、自分を支配しようとする父への恨みからようやく解放され、ミロンとのささやかな生活の中に自分自身の居場所を見いだすことになります。

    本作のなかにも、著者の他の代表作で追求されてきた「孤独」や「親子」といったテーマが息づいていることを指摘することは可能ですが、主張がストーリーを先導するのではなく、比較的緩やかに流れていくストーリーのなかでスマートに処理されているように感じました。絵の雰囲気とあいまって、スタイリッシュな作品に仕上がっているように思います。

  • メッシュは大好きなんだけど 最後のタターンだけは納得いかない

  • メッシュの完結編。最終的にどうも描ききれていないというか、描きたいテーマが多すぎて描ききれなかったんだろうと思った。記憶ちがいでなければこのあと「残酷な神が~」のシリーズに入って行ってより狭いテーマを掘り下げていったのだったと思う。

  • メッシュったらいつまでも赤ちゃんみたいで、憎めない。
    たぶん世界中がメッシュのこと憎めないとおもうんだ!可愛い。
    でもミロンも可愛いんだよね。彼を困らせるためならなんでも出来ちゃう気がする。
    全体的に「世の中いいことばっかりじゃないけど救いもあるよ」っていうかんじがして、それがすごく暖かくて嬉しくなっちゃう。

    「苦手な人種」がなんでか結構お気に入り。

  • ラストシーンに胸がぎゅうっとなって、やっぱり萩尾さんはすごいと実感。フランソワーズは、メッシュを読んでから大好きな名前。何度も何度も読み返したい。

  • あたし 誰かに言ってほしい<br>きみが世界中で一番美人<br>ぼくはきみに夢中だよって<br><br>まるで おとぎ話ね<br>でも誰かにウソをついてほしいの<br>それぐらいあたしを愛してほしいの<br><br>心から言ってほしいの<br>心からでなけりゃウソでもいいの<br><br>それぐらいあたしを愛してほしいの

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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