紙しばい屋さん

  • ほるぷ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593504848

感想・レビュー・書評

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  • 作者は1937年横浜生まれのアメリカ人。懐かしい紙芝居屋を思い出して描いた絵本。何十年ぶりかで自転車に乗って紙芝居に出るおじいさん。どうなったかな。絵も素敵だ。

  • アレン・セイ作の絵本2冊目。
    先に「おじいさんの旅」を読んでおいて良かったと今さらにして。
    生まれ育った国を離れて生きるからこそ、この絵本も生まれたのでは
    と思われる。
    情感豊かで美しい挿絵が、読み手をたちまち昭和の頃へと誘う。

    時代とともに変わってゆくものと、変わらないもの。
    主人公の、紙芝居屋さんであるおじいさんは、久々に変わり果てた
    街に出て、変わらないままの紙芝居をすることになる。
    すると、昔の場面に変わり、画面も少しベージュ系になる。
    そこから現代に戻るまでの小さなエピソードが心地よく温かい。
    涙もろい私は、ここだけでじわっと来てしまう。

    「紙芝居」は、日本生まれだという。
    お話の種類も今からは比較にならないほど少なく、紙の質も悪かった。
    それでも子どもたちは紙芝居の世界に夢を描いた。
    今一度と願うのは、このおじいさんばかりではないだろう。

    約12分。こちらは高学年から、かな。

  • 2007年発表。
    テレビの台頭と共に、街角では見かけることのなくなった紙しばい屋さん。
    長い年月を経て、もう一仕事しようと、おじいさんはおばあさんの作った昔と同じ宝石のようなお菓子を持って、自転車で山を降り、町へ出ていきました。沢山の行き交う車に
    立ち並ぶ高いビルの群れ。すっかり変わってしまった街並みに戸惑うおじいさん。思い切って拍子木をカチーンと打ち鳴らして、声をはりあげてみました。『さあ、みなさん、こっちにいらっしゃーい!紙しばい屋さんがきましたよー!』
    カチーン!
    カチーン!
    そして様々な思い出がおじいさんの脳裏に浮かんできます。
    沢山の子供たちが
    紙芝居を心待ちにしていた時代から、テレビが登場し子供たちが
    やがてやってこなくなった時代。
    最後には確か、たった一人の少年だけが残ったんだったなぁ。
    おじいさんがそんな回想に耽っていたその時…。



    落ち着いた透明感溢れる絵で情感豊かに描かれる、ひとりの紙しばい屋さんの物語。
    外人さんが書いてる絵本なのになんでまた
    日本の紙芝居?とふと疑問に思い手にとってみました♪
    幼き頃に日本で過ごしたアレンさんが、実際に横浜で見た紙芝居への思い出が元になってるみたいです(^^)

    自分自身リアルに紙芝居屋さんを見た記憶はない世代やけど、実は紙芝居は日本発祥の伝統文化なんですよね♪

    情報を受けるだけで
    一方通行のテレビとは違い、
    読み手は観客の反応を見ながら声色を変えたり、絵の引き抜き方にタメを作ったり、読み手と観客が直接交流することにより盛り上がる、ライブ感や一体感がなにより紙芝居の魅力なんだと思う。
    当時の紙芝居屋さんは子供たちのために必ずお菓子を用意していて、駄菓子を食べながら紙芝居を見ることが子供たちにとっては最大の娯楽やったんやろうな(o^-^o)
    失われつつある古き良き文化への郷愁と、時代と共に、変わってゆくものと、変わらないものをドラマチックに描いていてどうしても胸に込み上げてくるものがありました(T_T)

    木の電柱、
    砂糖をまぶしただけのお菓子、
    おじいさんおばあさんがちゃぶ台で食べる
    お味噌汁と鮭の切り身など外国の人が描いたとは思えないほど
    古き良き日本の町並みや子供たちの様子が
    詳細に描かれていて
    本当にビックリです。利便や進化という言葉のもとに人はいろんなものを失くしていくけど、失くしてはいけないものも本当は沢山あるんじゃないのかな。

  • 読み聞かせ用。時代とともに失われてしまうもの。

  • 時間を気にしない、あの頃を思い出しました。
    小銭を持って公園へ、今日の話しは何だろう?その後の駄菓子を買うのに何度並んだことか。
    時代は変わって行く、子供達、孫は自転車紙芝居を知らない、ネット世界。
    読みながら、ソース煎餅を思い出しました。

  • 子どもの頃に心から楽しんだことは、大人になっても忘れない。
    そうあって欲しいという作者の願いもあるのだろうけれど。
    私もそう思う。最後の展開にありがとうと言いたい。幸せな気持ちになれた。

    おばあさんのお菓子がとても美味しそう。
    写真のように細かいけれど、とても温かい絵。

  • 日本の人が書いたのかと思ったら、アメリカ在住の作家の絵本でした。
    でも日本生まれと知って納得。

    少しだけ昔(昭和の中期くらい?)の日本の風景が懐かしい雰囲気です。
    しかも、それがなかなか細かく描かれていてビックリ。
    絵の隅々までじっくり眺めてしまいます。
    (ちょっと「こんとあき」の林明子さんの絵に似ているような)

    どちらかというと…大人が「いいな」と思うような絵本かもしれないです。
    ノスタルジックで。
    もちろん子供と一緒に読んでもいいんですけど、
    大人の方がより作者や主人公の心情がわかるというか。

    で、決して「あの頃はよかった」で終わっていないのもいい。
    あの頃いいと思っていたものが、今もいいと思ってもらえるものだった
    と思わせるような、なんかほのぼのとした気持ちになる終わり方なんですよね。
    時代は変わっても、いいものはちゃんと心に伝わるものなんだってこと。

    小さい頃に母が話してくれた紙芝居おじさんのことを思い出しました。
    始まる前に「おせんにキャラメル~」とお菓子を売っているところが
    とっても羨ましかったのを憶えています。
    もしかしたら、私の読み聞かせの原点は母から教えてもらった
    紙芝居おじさんなのかなと、ふと思いました。

  • 自転車紙芝居を知らない世代ですが、
    テレビの登場とともに子ども達が離れてゆくのが切なくて、なんともいえない気持ちになりました。おじいさんのように寂しい思いをした方がたくさんいらっしゃったんだろうな…
    お金を払えない少年のために、おじいさんがお話を聞かせてあげた時、紙芝居の絵ではなく、少年がおじいさんの顔を見つめていたという場面が、印象に残りました。
    この子は普段どんな大人と接していたんだろう、おじいさんが自分のために一生懸命話を聞かせてくれることがどれほど嬉しいことだったんだろう、といろいろ想像されて、しんみり。

    最後はまさかの展開で、少し笑ってしまいましたが、夢があって素敵だなと思いました。

    自分が子どもの頃近所の駄菓子やさんにいくのが楽しみだったこととか、探検だといって自転車で校区外にいったり、秘密基地をつくったりしたことを思い出しました。
    子どもにいつか読み聞かせする時に、自分もわくわくしたエピソードをいろいろ伝えたいなぁ。

  • 11"15"

  • 良かった

  • [江戸川区図書館]

    読み聞かせに使うには、読み手の腕と聞き手の"理解力"がやや必要となる本だけれど、ぜひ子供たちに読んであげたい、読んでもらいたい一冊。
    この味のある表紙絵。それだけからも分かる昭和の私たちにも既に程遠い(というか恐らく戦前生まれでないとピンとこないのでは?)時代の記憶を、「紙しばい屋さん」というあまりない角度から描いた本。きっと同じ題材でもよくあるのは"読まれた"側の経験談だろう。どのような形でかは読み手次第だけれど、読み聞かせの前後にでも、合間にでも、このやや異例な筆者の経歴も含め、紹介してあげたい。

    筆者は6歳まで横浜で育ったものの、16歳で渡(帰)米したアメリカ人。自国で兵役を経て写真家となり、35歳?で初絵本、50から絵本に専念したという。日本で師事した絵画の道をこのような形で私たちに見せてくれたのはとても価値あることだと思う。筆者自身はもちろん紙芝居屋さんではないし、横浜で育ったとはいえ純粋な"非日本人"。それでも実際を知らない世代とはいえ、読んでいて全く違和感を感じさせず、知識でしか知りえない郷愁を思い起こさせてくれるとてもよい本だと思う。

    ただ、表紙絵に惹かれ、めくる前に横文字の作者名に気づき、読む前にコンセプトを知ったうえでめくってみても、老人が読み聞かせる現実から昔へのスライドは、やや理解出来ない(状況は理解出来たが、コンセプトが読めずその先の流れと落ち着く先に戸惑った)ものがあったので、これがぶっつけの読みであったら満足のいく紹介は出来なかったと思うし、今もまだ自分なりの提示(紹介)法が見つからない。惜しくも読み聞かせの機会は既に失われているので焦って自分のスタイルを決めなくてもいいのだけれど、それでも"読んで(読み聞かせをして)みたい"と思える本は久しぶり。残念だなぁ。

    ささいなことだけれど、この絵本自体の秀逸さとは別に、私自身が本の中で"びっくり"を得たのは、おじいさんが明日は仕事に行くといった後のおばあさんの「お菓子を作りましょう」だった。無意識にお茶菓子だと思っていて、ただその因果関係には多少ひっかかったものの、何かジンクスというか定例的なしかけはあるのかなとほんの少し意識したくらい。まさか、子供らに配るお菓子だったとは!出てくれば納得するけれどやはり"知らない"世代は知らないので思いつけない。そして、お菓子の存在を知っていたとしても手作りだったとは!

    他にも本がないかと巻末を見ると、「おじいさんの旅」、「Tree of Cranes」、「Tea with Milk」が自叙伝三部作と紹介されていたけれど、悲しいかな、うち二冊はきっと邦版がないんだろう。なくても原書があればいいけれどきっとないだろうな、、、、とりあえずそのうち「おじいさんの旅」は読んでみよう。

  • なつかしいな…紙しばい…

  • 5-2

  • 大人向けだけれど、キュンとして、ほわっとした気分になりました。

  • 一方通行じゃないコミュニケーションは互いを幸福にする

  • 昭和のよき時代。

  • おじいさんは昔、紙しばい屋さんをしていました。
    紙しばいをしていた頃、子どもたちはおじいさんの拍子木の音を聞くと、ぱたぱたと小銭を握りしめて走って集まってきました。みんなの好きな昔話。そして美味しい(おばあさん手作りの)お菓子。
    けれどテレビの台頭とともに、おじいさんは子どもたちに見向きもされなくなってしまったのです。

    今、おじいさんは何年かぶりに紙芝居を持って、自転車で町に出ました。大きなトラックにクラクションを鳴らされ、公園だった広場にはお店が並んでいます。
    でも、おじいさんが拍子木を鳴らすと、昔の子ども(今は大人)たちが集まってくれました。みんな、おじいさんの紙芝居が大好きだったのです。


    紙芝居をするおじいさんもいいけれど、キレイなお菓子を作っておじいさんを支えるおばあさんもいい。それに感謝しているおじいさんも、また、いい。
    紙芝居の内容が昔話(ももたろう、かぐや姫、一寸法師・・・本当は、怪人ものとか妖怪ものとか冒険ものとかもあったんだろうけど、このおじいさんのキャラじゃないよな〜)

  • 2012年4月22日

    <KAMISHIBAI MAN>

  • 年を取った紙芝居屋さんが昔を思い出してまた紙芝居屋を始める。
    町の様子はすっかり変わってしまった。
    おじいさんは昔、お金を払わないので紙芝居を見てもお菓子を貰わずに走って去ってしまう子のことを思い出していた。
    白黒テレビが出てくると紙芝居を見に来る子どもも減っていった。
    最後まで紙芝居を見に来たのはあのお金を持っていない男の子だったけれど、それも戦争が始まる前だった。

    当時のその男の子だと名乗り出る男性の声がした。
    気がつくと周りには当時子どもだった大人たちが大勢いておじいさんを囲んでいた。
    そして紙芝居が始まる。


    写実的な絵。

    確かに、もう紙芝居屋さんはもう戻らない。


    18年5/27再読して。
    作者は日本生まれのアメリカ人?
    16歳まで日本にいてそのあと渡米して、兵役についたりしたらしい。

    テレビ嫌いと言った男の子がテレビクルーになっている。

  • 日本に住んでおられたという作者の描く、
    紙しばいを題材にした、日本の昭和と、そして平成。

    文章にしてしまうと、案外ストレートな物語だけど、
    そこにある想いに心を向けるとじんわり温かい。

    主人公は紙しばい屋さん。
    けれど、あたしが想いを寄せたのは、その奥さま。

  • 絵押しなタイプの絵本。過去の筆致がデフォルメされているのが良い感じです。

  • 紙しばい屋さんが語る紙しばい屋さんのおはなし
    2011/4/21

  • H20年10月 5-3
    H20年6月 6-2

  • りょーまがとても気に入った本。なぜかは分からない。紙芝居が好きだから?
    絵は一瞬写真かと見間違うようなアンドリュー・ワイエスみたいな絵。素直に読める筋書きだけど、おじいさんの空想と現実が境目なく交じる仕組みによる、不思議な感触が、時代を遡る設定とマッチしている。(2010.12.31)

  • 【逗子図書館所蔵】【Library222所蔵】【購入可能】

    必読。
    緻密で、繊細、ノスタルジーを感じるイラストと、古き良き日本の姿に立ち返れる本。

  • なんともいえない切なさが胸に広がる一冊。素晴らしい仕事だったのに、日本が成長して便利になるのと一緒に失われた大切な仕事は沢山あったはず。そのひとつが紙芝居屋さん。なくしたくないけど、時の流れには逆らえずどうしようもないときがあるもの。だけど、おじいさんが時の流れに逆らって仕事に出たときステキな感動が待っていました。
    大人の人に読んでもらいたい大好きな一冊。

  • 大人の絵本です。
    読みながらウルウルとするので、子どもに読み聞かせるに大変です。

    紙芝居をしていたおじいさんの若かりし日の回想と現実のギャップ。
    だけど、そこに息づいている、変わらないもの。

    大切なものを見失っている今だからこそ、おじいさんに出会える感動は変えがたいものなのです。

    「ハルばあちゃんの手」と同じタイプの感動かな。

  • 見かけなくなった紙しばい屋さん。
    おじいさんは、紙芝居をもう一度やってみようと、山をおり、町へ出て行きました。
    透明感あふれる絵で情感豊かに描かれる、ひとりの紙しばい屋さんの物語。
    小学生3年生位〜

  • 大人が好きな絵本かもしれません。
    私が子供のころ、紙芝居屋さんがいました。
    東京出身の主人はびっくり。
    息子に読んで聞かせましたが、
    ピンときていないみたいでした。
    今、紙芝居というと、都会の
    部屋の中で、ボランティアの女性が
    読んでくれるものだったり、
    図書館で借りてくるものです。


  • いい話だった。9歳の息子もしみじみしてもう一回読もうといった。

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