ダ-ウィンと出会った夏

  • ほるぷ出版
4.15
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本棚登録 : 258
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784593534746

感想・レビュー・書評

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  • 1899年のテキサスを舞台に、科学に目覚めた思春期入り口の少女の物語。
    章のはじめのダーウィンの言葉のチョイスもいいし、登場人物、時代背景の描写も非常に丁寧。当時の南部の暮らしや人々の意識がどんなものであったかがよくわかる。
    黒人は変わらず下働きで家事と肉体労働を担い、女性に選挙権はなく、仕事をする女性は上流とは言えない。上流の家庭の娘は
    使用人の使い方を含めた家事を身につけ、若い内に上流家庭の男性に社交界で見初められるよう努力しなければならない。
    そういう時代だと考えると、飛び抜けた才能があったとはいえ、キュリー夫人やメアリー・アニングやコワレフスカヤなんかは本当に凄い逆境の中で成果を出したんだなと改めて感じ入った。
    とてもいい本なのだけど、この一冊はまだ序章という感じでストーリー自体は大きくは動かない。そこに今どきの展開が速い物語に慣れきった中学生が読みきれるかという不安は抱かざるを得ない。
    むしろ大人の方が楽しめる本なのかもしれない。
    個人的には続編も楽しみだけれど、誰にでも薦めるのは難しいと感じた。
    ただ、こういうきちんと書かれた本を感想文の課題図書にしたのは良かった。いつもこれくらいのレベルの本だといいんだが。

  • おじいちゃんと成長していくわね

  • 文章的に読みやすく、読書が苦手な人でも読みやすいと思います。新たに知識を増やすことに多大なる喜びを感じる少女が、自由を真剣に考えたりする姿が印象的。男女平等についても考えたり出来るので意外と深い内容なのかもしれません。

  • 2014.06.16

  • 主人公の少女の、少しシニカルの入ったユーモアのある視線が笑えた。種の起源とキリスト教的世界、次々に発展していく産業と家事と育児の中にのみ生きる女性、といった相対する世界がうねりをみせる時代に、自分のしたいことを続けたいとあがく少女に共感し、彼女の将来はどうなるのだろう?とページを繰った。が、ぼんやりとしたラストに拍子抜け。このあたりがオナー賞のゆえんでは?とも思った。

  • その時代では一風変わって、科学に、そして植物や動物に興味があるキャルパーニャの物語

    本屋さんであらすじを読んで、お父さんと面白そうだと惹かれ買ってきた

    正直、文体というか、構成が(個人的に)今までにない感じで、ちょっと違和感を覚えるところはあったけど、表現方法とか結構面白かったなぁ
    恋煩いのハリーを"水で薄めたようなハリー"とか、ね

    キャルの興味の持ち方や考え方が私と違うっていう点が一番読んでて面白かった所 やっぱり物事の捉え方が違うと、そういう見方もあるのかって面白くなるんだよね (人間のお腹に袋がない理由をコルセットの下には納まらないからとか、気絶をおもしろそうな体験と思うところとか)
    でも、本当に(もうすぐ)12歳かと思う様な思考回路をしてると思わなくもない 年齢が出てくるまでは高校生かと思ってたくらい
    それでも、ハリーに彼女が出来るのをいやがったり、おじいちゃんを独り占めしたがる所はやっぱり年相応だったけど

    当時、女性は家庭を持ち、専業主婦であることが普通だった時代
    科学、そして生物に興味を持ち、観察すること、知ることが一番だった彼女にとって、当時の社会の男女に関する考え方は大変だったんだろうな
    おじいちゃんと彼女の観察等だけじゃなく、彼女の葛藤が描かれてるところがよかった
    周りと違うことに悩んだり、どうして周りにこうしろと指示されなくてはいけないのかって思っても、自分のしたいことを(ほぼ)明確に分かった彼女には、彼女らしい道を歩んで欲しいなって思った
    同時に、学びたいことを大学で学べているその贅沢さを改めて実感した

    やりたいことばかりしていられないっていうのがよく出てるとも思った
    好きなことをするためには、嫌なこともこなさなくてはダメということだよね
    自由に生きるのはいつの時代も大変


    キャルはもちろん、おじいちゃんにハリーもよかったけど、トラヴィスとJ.Bも個人的には好き
    J.Bとかホント可愛い 両親の言葉にショックを受けてるキャルにそっと寄り添うところもよかったなー
    (でも、果たして生意気盛りな5歳児がそんな天使だったりするのかな?笑)

    キャルはもちろん、ハリーの今後も気になるところだけど、見たがっていた雪を初めてキャルが見た描写で締めくくられている終わり方は結構好き
    彼女のテンションの高さといったらもう
    新しく知ることは時として怖い面もあるけど、喜びや驚きの方が断然多いんだよね


    そうそう、鹿の背中が斑な理由って、地面に作られた木漏れ日のまだら模様のようだからって本当?

  • 読んでから、”課題図書”だと知り、納得。
    女性が大学へ行くなんて考えられなかった時代に生きる、11歳の女の子キャルパーニア。
    祖父との関わりから、”観察する”ことのおもしろさを知り、当時の男女差別に理不尽さを感じながら、大学へ行くことを決意するまで、キャラクターが活き活きと描かれています。
    実に課題図書向きで、子どもたちに元気を与えてくれそう。
    ただ、読みやすいぶん、その時代の物語というより、なんとなく現代風に感じてしまい、そういうひたむきさなら、「赤毛のアン」の方が・・・。

  • 女性の社会進出がままならなかった時代。大学にいって何かを学ぶことさえ贅沢と言われていたんだなって、自分はなんて恵まれているのかなって思った。
    ダーウィンの種の起源も読みたくなった。

  • 自由に生きるってどの世界でも難しいんだなあって改めて思いました。
    まだ幼いキャパーニアにとって自由に生きるために生じる壁は大きすぎてる。でもキャパーニアには彼女らしい人生を歩んでほしいと思いました。そして好奇心旺盛さを失わず、「知る」ことに喜びを感じている元気な姿を世の中に見せつけて刺激を与えて欲しいです。

  • 今年の高校生の課題図書 面白かった。レビューは、高校生にお任せします(^^)

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著者プロフィール

ニュージーランドに生まれ、カナダで育つ。米国テキサス州の大学へ進み、医者として長年働いたのち、テキサス大学法科大学院へ入学。弁護士として活躍後、小説を書きはじめる。前作『ダーウィンと出会った夏』がニューベリー賞オナーとなり、ベストセラーに。

「2016年 『ダーウィンと旅して』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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