珍獣の医学

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594063375

感想・レビュー・書評

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  • 「ダイビングカメ」て

  • 文句無しに面白い。動物飼育好きが高じて獣医となった著者による、様々な哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類、(そしてそれら動物の飼い主)の臨床記。アマガエルの骨折、亀の尿路結石、などの手術の記録が興味深いだけでなく、文章が上手。

  • 進路支援図書「はたらく人びと」
    2011/12/27更新 054号 紹介図書
    http://www.nvlu.ac.jp/library/workers/workers-054.html/

  • ペットとして飼える動物たちに起こる様々な病気や事故。獣医師だからこそ目にする、その現場の最前線を紹介する。

    この医院では哺乳類から爬虫類、無脊椎動物まで、幅広い珍獣が舞い込んでくる。それだけにその症状も治療法も多種多様。登場するのは歯が伸びきったハムスター、甲羅が割れた亀、自分の大きさほどのおもちゃを呑み込んだ蛙、巨大に膨らんだ金魚など。いかに自分が普段テレビなどで健康な動物たちしか目にしていないかを痛感するほど痛ましい姿の数々。こういった動物たちと日々向き合っている現場の方々には頭が下がるばかり。
    痛いという想いや苦しい箇所を伝えられない動物たちと真摯に向き合い小さな命を助けようとする、声なき声を聞く獣医師の想いや気苦労がよく伝わる貴重な本だと思う。

    ペットショップで出会った、保護した、迷い込んで住みついた…動物を飼うきっかけは人それぞれだ。しかし飼うということは、最後まで動物と向き合う義務が発生する。人によっては「可愛いから」「癒しがほしいから」という受け身で安直な気持ちで動物を飼い始める人も少なくないらしい。
    飼育することは「飼って」「育てる」こと。毎時間その動物に合った餌を与えたり、排泄を助けたり、ダメなことを覚えさせたり―そういった楽しいことばかりでは済まされないことも十分分かっておかなければならない。尊い命を預かるという心構えと、その間で発生する飼育の苦労も覚悟した上で飼ってほしい、そういった問題提起もされている。

    とお堅く書きましたが、元来フランクな先生なのか時折にやっとさせられるエピソードもあり、こういった厳しい視点を持ちつつも柔和な獣医さんが近くにいると飼い主の方は心強いだろうなと思わずにはいられません。
    動物を飼育している人、そして特に獣医師を目指す人にはぜひ手に取ってほしい本です。

  • 動物病院の先生が、主に「珍獣=犬・猫以外」の診療について書いた本。また、動物病院をとりまく色々な事情もわかる。

    獣医師養成の事情についても記述があるのだが、教わっているのは主に家畜(牛、豚など)のことであり、犬・猫のことをほんの少し、あとはあまり教育らしい教育というのはないらしい。そんな中で、持ち込まれてくる動物の多くが習ったことのない動物。実際の症状や治療の様子を読むと、常に試行錯誤のような状況であることもわかる。


    元々、動物病院に縁がない生活をしているので、書いてあるあらゆることが「そうなんだ!」というかんじ。
    診療費のこと、使われる薬のことなど。また、医師として飼い主さんに考えてもらいたいと思っていることなど。
    素人である飼い主側には厳しいというか、「そんなこと気が付かなかった」ということも多いのかと思うが、本当に動物が好きでプロになった著者の思いが、この本で少しでもわかるんじゃないかと思う。

  • 動物病院の獣医さんが書いた珍獣:エキゾチックペット(犬猫以外のペット)の診療記録。
    動物病院の厳しい現場が語られており、執筆者の獣医という仕事に対する熱意が伝わってきます。
    珍獣の病気や手術方法など興味深い内容が多く、「えっ、そんなことがあるの!」という笑える症例もあります(飼い主さんには申し訳ないですが)

  • 犬、猫、ウサギだけがペットではない!!
    鳥からヘビ、ハムスターにウーパールーパー、アリクイに金魚
    蛙にブタまで著者の田向先生の病院に診療に来るのだ。

    ゴキブリホイホイに掛かったモモンガのノリ取り~ゴールデンレトリーバーのバレーボール大の腫瘍の手術まで、仕事の幅がとても広い!!

    私はこの本を通して、人と動物達の生活や関係性を学びました。

  • エキゾチックアニマルの医療分野を開拓されている獣医さんのお話。

    小動物臨床、特に未開拓のエキゾチックアニマルの治療ってめちゃくちゃ面白い。と思った。まだまだ未開発の分野なので、知識をベースに、美術とか工作とか、推理とか、あらゆるものを組み合わせて工夫に工夫を重ねて治療する。
    ただこんな獣医師になるのに素質は必要かもしれない。こういう「新しいこと」を患者である動物に施すには飼い主さんにも了承を得なければいけなくて、そのための人柄なんかも大事で。それに何よりこの人は小さい時からいろいろな動物を飼って、経験値を上げてきたんだろうなぁと思った。飼育も難しいエキゾチックアニマルだから、治療もきっともっと難しい。その動物を知るにはやはり一番「飼う」ということが大事なんだと再認識した。
    小動物臨床に対する興味がすごく大きくなった。

    獣医師を志す人にも、ペット好きの人にもおすすめの一冊。

  • 様々なエキゾチックペットの治療例が興味深いものからヒヤッとするものまで著者の生の観点から読むことが出来て面白かった。生命倫理に投げかけてくるものもあってなかなか考えさせられたけど診察を嫌がって丸まったハリネズミかわいいです かわいい

  • 夫に薦められて読んでいる、「珍獣」の治療をしている獣医さんが書いた本。獣医さんの世界では、犬猫以外は「珍獣」扱いだとか。ウサギやフェレット、ヘビやトカゲ、アリクイやヤギもすべて診療する。その動物専門の医学書もない中でそれでも仮説を立てながら治療していく姿には、他の仕事にも通じるものがある。また、「ペットを飼う」という行為についても考えさせてくれる。この本を読むと、自分のペットたちに対して「本当にありがとう」と思える。いや、いつも思ってるけど。

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著者プロフィール

麻布大学獣医学部卒業。田園調布動物病院院長。
獣医学博士。
犬猫から小動物、爬虫類まで診療対象としており、
特にチンチラやウサギなどの小動物の診療に詳しい。
獣医師向けの書籍、一般向けの飼育書など多数執筆。
メディアにも多数出演。

「2023年 『チンチラ 飼育バイブル 長く元気に暮らす50のポイント 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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