すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)

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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594069032

感想・レビュー・書評

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  • 2019年10月1日読了。音楽芸人マキタスポーツによるJPOP論。刺激的なタイトルだが内容としてはJPOP愛・アーティストリスペクトに溢れたもの。筆者が「ヒット曲の要素満載で作った」と語るサンプルの『10年目のプロポーズ』はたしかにJPOP歌詞・展開あるあるのネタになっていて面白い。アーティストのクセの分析・ビジュアル系の3要素・楽曲のオリジナリティを規定する人格と規格、などの分析は面白いが、「2、3のサンプルからこんな感じかなと考えてみました」という域を出ず、もっと汎用性のあるモデル・深みのある分析を読んでみたいところ。誰か音楽の研究者と組んで企画・書いてみてもいいのでは?

  • まあ所詮芸人の音楽分析と侮っていたらあしをすくわれた。初章の構造分析は甘い(これに倍する手法を体系化はされていないにせよ各自持っている)のだが、後半のマーケット分析は今までどんなプロによっても(それは業界ではある程度常識なのだが)言及されなかったことを取り上げていく。「アーティストの柔らかな(触れてほしくない)部分」とするが、それは業界とて同様だ。その意味では留飲の下がる思いがした。実作業的にも、志の意味からもアーティストには読んでほしくないが、スタッフはあまねく必須課題図書にしていい。

  • 音楽の構造分析なんて小室哲哉以外は難しいのかと思ったら、マキタスポーツさんにかかればちょちょいのちょいだったとは。これは音楽史上歴史に残るポピュラーソング解体新書ですね。

  • 冒頭のヒット曲の構造分解、多用されているフレーズで、自分にもヒット曲が作れるのでは?と思えてしまう程の納得感。

  • 衝撃的なタイトルで素晴らしい分析力で面白おかしく伝えてくれます。あっという間に読み終えてしまった。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784594069032

  • 私の音楽についての知識、技術は、歌うのはもちろん、演奏するなんてもってのほか、というレベル。
    洋楽は好きだが詳しくはないし、J-POPだって有名な曲だったらわかるけれど、せいぜいサビ止まりで、「三代目じぇいそーるぶらざーずってなんで三代目?」と後輩に尋ねて説明してもらったはいいがよくわからなかった。
    それほど疎い。
    だから10代の頃は結構苦労したものだ....。
    そんな私だが、ここまでバッサリと「パクリ」と言い切ってしまうタイトルに惹かれた。
    私ですら知っている曲も切られてしまうのかな、と詳しくないからこそ面白く感じたのだ。
    さて、一体著者は何を持って「パクリ」と言い切るのか?

    第1章ではヒット曲の法則が挙げられている。
    カノン進行、多用される光や翼や桜の歌詞、これはよくわかる。
    試しにカラオケで「桜」といれると、だーーーーーーーと「さくら」「サクラ」「桜」「SAKURA」。
    どれもこれも光が溢れて涙流して思い出を振り返って未来へ希望を込めて翼を広げて歩いていこう。
    著者が指摘する通りのものばかりだ。

    第2章ではなぜCDが売れなくなったのかについて。
    90年代が異様だったと著者は言う。
    今や売れるのはアイドル、ジャニーズ、アニメ、ビジュアル。
    ここの分析が面白い。
    どれもタニマチとは行かずとも、コアなファンがいる。
    それぞれに対する分析に納得。

    第4章では日本のポップスはノベルティーソングだ、としている。
    なぜノベルティなのかについては本書に譲るとして、面白いのが「人格/規格」概念を説明した写真。
    著者がどの時点から一致し、どの時点から不一致なのかを検証したもの。
    ヒゲのおじさん体型(失敬)の著者がどこから「ミュージシャン」でどこから「アイドル」になるのか。
    これは私たち自身も普段行っていることだ。
    例えば、
    Tシャツに短パン、パイナップル頭の人間が、髪型や化粧を整え、かっちりしたピンストライプのスーツを着れば、あるいは家ではパンツ一丁のおじさんが同じようにYシャツとスーツを着込めばそれぞれ「勤め人」に見えるだろう。
    決して特異なことではないのだ。

    さて、終わりに著者は「パクリ論争など馬鹿馬鹿しい」と言っている。
    ここでタイトルに込められた意味を知る。
    表現の仕方、作り方は様々だが、完全なるオリジナルはない。
    それを知った上で、「表現」をどう行っていくか、それが現代の「表現」における最も重要なこと柄なのだ。

  • お笑い芸人であり、俳優としても活躍しているマキタスポーツ氏のJ-POPのヒット曲に関する氏の考察を書いた一冊。

    ヒット曲に頻発しているフレーズやメロディラインなどを自身が作った曲を使って解説している他、CD離れから一定の売上を上げているアイドルやジャニーズなどのジャンルやモノマネに対しても考察を書かれています。

    普段何気なく聞いている音楽に対して様々な角度から分析していく氏の考察は非常に刺激的で新鮮に感じました。
    外来文化から発展していったJ-POPが元々の入り口は同じで、規格にそこにアーティストの個性でもある人格や癖をはじめとするオリジナリティーをプラスすることによってひとつの楽曲が完成する。
    そして、規格と人格が絶妙にマッチングしているとヒットに繋がるというのは非常に説得力を感じました。

    ヒット曲の構成やCDの売り上げや音楽ジャンルについても新たな発見が多くあり、ももクロやAKB48の楽曲やビジュアル系の音楽についての考察も氏ならではの考察でおもしろいと感じました。

    本書を読んで、J-POPの新しい考えを得たとともに、これから氏曰くノベルティーソングであるJ-POPとまた違った角度から向き合っていける楽しみも生まれた一冊でした。

  • 芸人・ミュージシャン・俳優・文筆業と、様々なジャンルで才能を見せつけているマキタスポーツ。少し前から注目している1人です。
    そんな彼の書くJ-POP論は、やはりひと味違う。「(パッヘルベルの)カノン進行は切なさがかき立てられるのでJ-POP多用される、ただしこれは魔法の進行で、これを使って大ヒット曲を出してしまったばかりに以降苦労してしまったアーティストもいる」とのこと。
    タイトルにある「パクリ」とはすなわち「コードや歌詞などがパターン化された曲、もしくは元ネタがどこかにあるコミックソング的なもの」。むしろ何かしらの“パクリ”なしでは成立しないほど、作詞作曲のパターンは出尽くしているのだそうな。
    カノン進行の曲をいくつか聴いてみたら、見事に好きなパターンばかりだった。僕もフツーの日本人ということなのだろう。

  • 想像していたよりも論理的でおもしろかったー!
    マキタスポーツ氏の地頭の良さというか時代の空気を読む力というか、そういうものが溢れ出ている。
    もちろん音楽に関する専門書と比べると片手落ち感は否めない。しかしクリエイティブな仕事で悩んだときや単純にSNSのネタが尽きたときなど、アイディアが湧かないときに軽い気持ちで読み返したくなる本だと思う。作詞作曲モノマネの魅力について誰かと語りたくなった。これからも続けて書いて欲しい。

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著者プロフィール

1970年生まれ、山梨県出身。芸人、ミュージシャン、役者、文筆家。芸人としては、音楽家のクセや楽曲の構造を模写する「作詞作曲ものまね」をはじめとした「オトネタ」を得意とする。またミュージシャンとして、2001年に結成したバンド「マキタ学級」での活動のほか、2013年にアルバム『推定無罪』をリリース。役者では、2012年公開の映画『苦役列車』で第55回ブルーリボン賞新人賞、第22回東スポ映画大賞新人賞をダブル受賞。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』『花子とアン』、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』『いだてんー東京オリムピック噺ー』、TBS『ルーズヴェルト・ゲーム』『中学聖日記』、テレビ東京『みんな!エスパーだよ!』『きのう何食べた?』などに出演。主な著書に『決定版 一億総ツッコミ時代』 (講談社文庫)、『すべてのJ-POPはパクリである』(扶桑社文庫)、『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい “父親に成る”ということ』(アスペクト)がある。現在はBS12 トゥエルビ『ザ・カセットテープ・ミュージック』、TBSラジオ『東京ポッド許可局』にレギュラー出演中。

「2020年 『越境芸人 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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