ウサギ狩り人(下) (海外文庫)

  • 扶桑社
3.83
  • (3)
  • (14)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 83
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594088606

作品紹介・あらすじ

世界1500部突破! ヨーナ・リンナシリーズ最高傑作!
そこは天国ではなく地獄。
ヨーナとサーガが繰り広げる鬼気迫る追跡劇!

ストックホルムの高級住宅街。売春婦の目の前で客が撃ち殺された。公安警察警部サーガが緊急出動するが、犯人はシリアのテロ集団と関わりのある男の名前を口にして、現場を立ち去ったあとだった。唯一の目撃者を尋問すると、犯人の頬には長い髪の束のようなものが垂れ、被害者に童謡をきかせ、ゆっくりと時間をかけて止めを刺したという。4年の刑で服役中の元国家警察警部ヨーナの元に、意外な人物が訪れる。ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために、復帰する。
犯人の奇妙な行動から、犯人が十人の殺害を計画していると見破ったヨーナは、サーガとともに連続殺人犯の動機に迫る。浮かび上がってきた被害者の共通点を見つけたヨーナは、30年前に起こった、陰惨な事件の真実を探るが――。
巧みな伏線とスピード感、ダイナミックな展開と精緻なディテールの融合からなる、シリーズ最高傑作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラーシュ・ケプレル『ウサギ狩り人(下)』扶桑社ミステリー。

    ヨーナ・リンナ・シリーズ第6作の下巻。

    不気味な童謡に準えて連続殺人を繰り返す狡猾なラビットハンターの正体と犯行目的の謎、ヨーナ・リンナの捜査と推理力など読み所がとても多く、非常に面白い。例えるならば、スウェーデン版『悪魔の手鞠唄』といった感じかな。

    ヨーナの捜査により少しずつ見えてくる被害者たちの関係。30年以上前の陰惨な事件がラビットハンターの動機なのか……

    そして、いよいよ下巻の中盤でラビットハンターの正体と犯行の目的が明らかになる。

    4年の刑で刑務所に服役中の元国家警察警部ヨーナは完全釈放を条件に一時的に釈放され、連続殺人犯・ラビットハンターを追う。当初は政治テロと思われていた殺人事件は全く別の方向へ向かい、国家警察の威信を失落させることになる。ヨーナはラビットハンターが10人の殺害を計画していることを突き止めるが、国家警察に裏切られ、再び収監される。

    その間にもラビットハンターは次々と獲物を仕留めていく。狡猾なラビットハンターに敗北を認めた国家警察はヨーナを警察に復職させるが……

    何とも意味深なエンディング。まだまだシリーズは続くようだ。

    定価1,100円
    ★★★★★

  • シリーズ最高傑作かどうかはともかく、相変わらずの剛腕発揮。もちろん、次回に続く。

  • ちょっと強引な印象やけど、シリーズ中期らしさは感じる。

  • 2024.04.21
    ヨーナ・リンナのシリーズを初めて読んだ。
    訳者後書きにあるように、これはシリーズ通して読んだほうが味がでるタイプの作品と思った。

  • 怪しい影を見た酔っぱらいのイタズラ?から始まり、娼婦を痛めつけようとする最悪な金持ち男が異様な形で殺される。しかも、最悪男は外務大臣で、テロの疑いありとのこと。公安は服役中のヨーナを巻き込んで捜査を開始する。

    というわけで、服役中のヨーナさん。何してるかと思ったらめちゃくちゃ真面目に元気にお務めしていた。今回は国際テロ組織か?流行ってるな!と思ったら、後半は全く違う展開になりました。こっちの方がヨーナシリーズっぽいかも。
    とはいえ、前半のテロとの戦いパートも、人身売買、不法入国、難民問題、そしてテロ対策等々、現代スウェーデン事情が伺えて良かったです。特捜部Qとか読んでも思うけど、スウェーデンはイスラム圏からの移民が多いんですね。地理的な理由?

    この度もなかなか激しい殺害描写が続きますが、前巻と違って被害者がそんなに同情の余地ないかんじなのでわりと冷静に読めました。復讐ものはその辺が難しい。ヨーナ、それだ!とヨーナの慧眼にわくわくする一方、犯人にちょっと共感(復讐やり遂げてほしい)してしまうので。

    レックスはずーっとしょうもない奴でどうしようかと思ったけど悪い奴ではなかったってことか。とはいえ、あちこちに何だかんだと子どもが3人。だらしない奴め。。サミーはもちろん、次の子どもにも責任持って接しろよ。

    全体としては面白かったんですが、疑問が二つ。その一。マルコはなんで死んだのか?これどこかで回収ある?
    その二。最後ヴァレリアは何を見つけたのか。次の話ででてくるのかな。

  • 最後どーゆう終わり?
    DJなんか悲しいね。最後誤解が解けてたらいいけど。
    若かったとか、自分も脅されていたとかいいわけでしかないけどウサギの穴の会員?がしたことは最悪だ。

  • 安定の面白さ。

  • 一気に 読み終わりたくないクオリティ

  • 北欧ミステリーの1作。作者のラーシュ・ケプルは1人ではなく2人の作家、日本では珍しいパターン。本作は作者の6作目で、シリーズものになっている1作。全作は翻訳されておらず一部のみ。主人公のヨーナ警部が監獄に入っているところから始まる。1人目の被害者が外務大臣ということでテロが疑われ、ヨーナが服役している刑務所に首謀者がいるという設定。ヨーナが捜査協力者になり釈放されるところから始まるのがちょっと荒唐無稽ではあるが、連続する殺人の犯人は異常者ではなく、深い憎しみ底にあった者であり、復讐だったというところからリアリティが増してくる。最後は少しお決まりの勘違い人種の愚かさ故に人生を狂わされた人たちの悲劇がトリガーだったということになるが、伏線が重なりあい、時にはそのシーンいるかなぁと思うところはあるが、メインキャラの人生も重なりシリーズものらしさがうかがえる。北欧のミステリーらしい(?)重厚な小説だった。

  •  ラーシュ・ケプレルは、迷路のような小説を書く。一匹狼の警部ヨーナ・リンナは、前作で獄舎に囚われてしまったが、それは本書への周到な伏線だったのだ。そう本作はシリーズ第6作。全部で8作を予定していたシリーズは10作まで計画そのものも膨張したらしく、世界での人気が伺われる。
     覆面作家として登場したラーシュ・ケプレルは、翻訳時点で既に、普通小説の夫婦作家の共作ペンネームであることが明かされているが、よほどケプレル作品の性格や方向性までお二人の息が合うらしく、相当の生きの合わせ方が伺われる。事件のサイコ性、不気味なまでの残虐性、スピーディな展開、ヨーナのスーパーな捜査能力と対になった一匹狼的野性&知性、などなど。

     本書は捜査側の各行政機構、警察、軍その他の混乱まで呼び込み、陸海空に及ぶ派手なアクションや戦闘シーンなども散りばめられるなど、娯楽小説が大好きな愛読者をさらに倍増させそうだが、そのサービス精神が、最近の北欧ミステリー全体に蔓延する病原体のようで、食傷気味になっているというところがぼくの個人的な本音である。

     アルネ・ダール、ベルナール・ミニエ、などどの作家もページターナーで読みやすく、一匹狼の刑事と相棒の女性捜査官、サイコな敵と残虐で劇場的な殺人風景、などなど、劇画チックなもの、スリラー映画を想起させるものが増えているように思う。

     刑事バランダー・シリーズのような、かつての北欧ミステリーが見せた地道な刑事人生や孤独、単純な地方の殺人事件や風光明媚な国土などはあまり見当たらなくなっているように危惧する。

     本書も殺戮のディテールが吐き気を催すほど血なまぐさい。最初は国家的政治的陰謀が関わる事件と思わせながら、どうも個人的な怨嗟が基になっているかと思われるいつもの連続殺人のようでもある。

     本書の残酷性は、犠牲者に19分間苦しませた上で死に至るような細工である。連続殺人の原因となったらしい少女の集団強姦事件。狙われる犠牲者たち。心が乾燥した土地の冷たい人間模様ばかりが浮き彫りになって、鳥肌立つ思い。生理的な不快感に満ちている。

     主人公のヨーナ・リンナはそれらの不快のすべてを直線的に解決してくれる一種の天才捜査官であるのと、孤独さと弱さも持つ人間的な刑事でありながら、どこか厭世的な負の影を持つために、人気を呈している。このシリーズの最後まで読みたい気持ちと、犯罪の残忍さが安易に増幅する物語への嫌悪感とが擦れ合うような読書体験を本書はぼくにもたらし。素直に人に勧められるかどうか自信を失いつつある複雑な心境の作品であります。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ラーシュ・ケプレル
アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナシリーズは、40以上の言語に翻訳され、1500万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。

〈扶桑社ミステリーのラーシュ・ケプレル作品〉
『砂男』上下
『つけ狙う者』上下
『ウサギ狩り人』上下
『墓から蘇った男』上下

「2023年 『鏡の男 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ラーシュ・ケプレルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×