鏡の男 (上) (海外文庫)

  • 扶桑社
3.95
  • (5)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 93
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594092283

作品紹介・あらすじ

人気シリーズ最新作!
連続少女誘拐事件の闇

ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女の遺体が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体の顔を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だったのだ……。
地元警察の捜査に加わるヨーナのもとに、パメラという女性から連絡が入る。精神病を抱える夫マルティンの描く絵が事件現場に酷似しているというのだ。病ゆえに証言ができないと知ったヨーナは旧友エリック・マリア・バルクの手を借り、催眠療法を試みる。するとマルティンは途端に饒舌になり──

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラーシュ・ケプレル『鏡の男 (上)』扶桑社ミステリー。

    ヨーナ・リンナ・シリーズ。ここ最近、扶桑社ミステリーが全盛期に戻ったかの如く面白い作品を続々と刊行している。この作品を含めて、月に3冊も扶桑社ミステリーを購入するなど何十年ぶりだろうか。

    少女連続誘拐殺人犯にヨーナ・リンナが挑む。全く見えて来ない犯人の正体とその動機。上巻の終盤に訪れる予想外の惨劇。この事件は一体どうなるんだ。

    5年前、女子高生のヤンヌ・リンドが何者かに拉致され、監禁される。監禁場所にはもう一人の少女が居たのだが、監視役の老婆に両足を切断され、瀕死の状態に陥る。少女の死を確信し、決死の覚悟で脱出を試みたヤンヌ……

    そして、現在。雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊るされた若い女性の遺体が発見される。報せを聞いて現場に駆け付けた国家警察のヨーナ・リンナは遺体を見て、5年前に誘拐されて行方不明になったヤンヌであることを知り、驚愕する。

    事件の合間に描かれる精神病を抱える夫のマルティンと暮らすパメラは、5年前に娘のアリスを事故で失っていた。

    ある日、犬の散歩から帰って来た夫の様子がおかしいと感じたパメラは、夫が描いた絵が報道されていたヤンヌ殺害事件現場と酷似していることに気付く。パメラは夫が事件の目撃者ではないかと警察に連絡する。しかし、警察はパメラの不在中に家に押し入り、一方的にパメラの夫を殺人容疑者として逮捕する。果たして……

    定価1,210円
    ★★★★★

  • いつもこの作家さんの残酷なシーンには吐き気がする。監禁シーンも殺害シーンも毎回気分悪くなるけど、読み進まずにはいられない中毒性を持っている。今回は娘を亡くしたパメラに感情移入して彼女の目線で事件を追っている。そのリアリティがページを捲る背を押している。

  •  スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。

     いつも仕掛けと残酷さと怖さとでこのシリーズに着いてゆけなくなる一歩前まで行くのだが、本作は久々のアイディアにやられてしまったかもしれない。夫婦作家共作のシリーズ向けペンネームで書かれたスウェーデン・ミステリーでありながら、甘いところは一切見られない、どぎついまでの暴力とサイコな駆け引きに満ちたシリーズを、図太い線で駆け抜けるのはお馴染みのシリーズ主人公ヨーナ・リンナであり、もう一つの主役を務める精神科医エリック・マリア・バルクである。

     エリックの方は後半の少しだけの登場ながら、やはりいつもの主役クラスの展開に絡む。本書ではクライマックス・シーンと言っても良いような一点で。

     いずれにせよ彼らシリーズ主人公は、物語の前半ではあまり活躍の場が得られない。むしろ悪の捕食者に捉えられ、辛く永く過酷な運命を辿ってゆく少女たちと、彼女らの運命が中心に語られてゆく。少女たちに絡む悲劇の夫婦が、本ストーリーにどう絡んでゆくのかが見えないまま、辛く凄惨な日々が過ぎてゆく。

     運に恵まれない少女たちの物語には眼を背けたくなる読者が多いのではないだろうか。そしていつまでも見えないフリークなまでの残忍な犯罪者の正体は? 張りつめたバイオレンスの緊張感を通低音として聴きながら、誤った方向に進もうとする捜査と、警察組織への苛立ちをものともせず真実への最短距離を走り抜けようとするわれらがシリーズ主人公ヨーナ・リンナが本書でも頼もし過ぎる存在となってゆく。

     謎の骨格が優れており、前半の暗い情景を丸ごとひっくり返すような驚く仕掛けで明かされるエンディングの妙は、シリーズ中屈指の面白さである。シリーズのスタート地点に立ち戻った観のあるエリック・マリア・バルクの活躍も苦闘も目立つ。

     絶対に明かせない真相に向けて疾走するストーリーとその語り口の妙。状況のあまりの凄惨さに辟易を覚えた点を覗けば、久々に見る優れたサイコ・サスペンスとしておススメの力作である。辛く、痛く、そして真っ暗なトンネルを抜けたところにある快感を目指して、この長く冷徹なレール上を走り抜けて頂きたいと思う。

  • ある雨の朝、ストックホルムの公園でジャングルジムに吊された少女が発見された。現場に駆けつけた国家警察刑事ヨーナ・リンナは遺体を一目見て驚愕する。彼女は五年前の誘拐事件で行方不明となった被害者だった……。警察は監視カメラの映像から、現場近くで犬を連れていた男の逮捕に踏み切る。強引な取調べがおこなわれるが、その男・マルティンは精神病を抱えていて供述は要領を得ない。だが、警察内で唯一マルティンを目撃者だとみなすヨーナがエリック・マリア・バルクのもとで催眠療法を試みると、途端に彼は饒舌になりある名を口にする──。

    シリーズ第8作。
    「正しいのは私でしたね」ヨーナのセリフと久しぶりに出会ったような気がする。それとも見落としていたのか。下巻に続く。

  •  ヨーナ・リンナもの最終巻、のつもりで読んだらどうやらそうではなくて、まだ続くのだそうだ。ユレック・ヴァルテルとの終わりなき闘いがやっと終焉して(したのだろうな...)、リンナとルーミも一安心というところなのだが、他にも事件は起こる。今回は失踪した少女たちの監禁事件。そのひとりが処刑のように殺害された現場を目撃した男とその家族が巻き込まれてゆく。なんかどこかで見たようなというか、ありがちなプロットな気がする。精神を病んでいる目撃者からシリーズおなじみのエリックが催眠療法で目撃した真実を聞き出そうとするが...。最後に明らかになった真相は、反則とは言わないがちょっとなあ。まあ謎解きというよりは緊迫感あふれる捜査の推移が読みどころなのだろう。なんだかマンネリっぽい気もするし、いずれにせよシリーズを続けるのならもうひとつ新展開が必要ではないかな。

  • シリーズで1番面白いかも。
    下巻へ。

  • 描かれる暴力が辛すぎる。がヨーナが解決してくれることを祈って読み切った。

  • もう下巻だ

  • 今までのヨーナ・リンナ シリーズと同様、やはり夜寝る前に読んじゃいけないやつ(眠れなくなる。残虐なシーンがあるのと面白いのとで)

    殺人現場を目撃したと思われるマルティンよりも、妻のパメラへのストレスがよりリアルに描写されているのではないか。

    3回目か?心的外傷と災害精神医学の専門家で患者に催眠を施す、エリック・マリア・バルク博士登場。

    上巻の終わりの展開は何がなにやらわからず。母子は何者?…きっと、下巻を読めばわかる

  • 感想は下巻で。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ラーシュ・ケプレル
アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナシリーズは、40以上の言語に翻訳され、1500万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。

〈扶桑社ミステリーのラーシュ・ケプレル作品〉
『砂男』上下
『つけ狙う者』上下
『ウサギ狩り人』上下
『墓から蘇った男』上下

「2023年 『鏡の男 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ラーシュ・ケプレルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンソニー・ホロ...
ラーシュ・ケプレ...
ラーシュ・ケプレ...
ラーシュ・ケプレ...
アレン・エスケン...
ラーシュ・ケプレ...
ラーシュ・ケプレ...
アンデシュ・ルー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×