スクリーム (ハーパーBOOKS)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン
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  • Amazon.co.jp ・本 (744ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784596541567

感想・レビュー・書評

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  • 毎回「凄惨な事件とその捜査」と「ウィルとサラの恋愛の行方」パートのバランスを気にして、気持ちが乗らない時にはどちらのパートも合わずにスルスルと読んでしまう。それでも、イライラしてる傷ついた登場人物ばかりでも魅力があって読ませる力に引っ張られ毎回「最高傑作」を更新していく「ウィル・トレントシリーズ」

    前作でサラとウィルは落ち着いたかと思ったけど、今回も揉めてる…
    著者の「グラント郡シリーズ」の一作目「開かれた瞳孔」よりも前に起きた未解決事件。その事件の容疑者とされた男から、当時の警察の捜査隠蔽の告発があり
    ウィル達は捜査を始める。
    当時のグラント郡の警察署長とは、サラの元夫のジェフリー・トリバーだった。
    現代の捜査パートと当時の状況(グラント郡パート)と交互に展開する。

    分厚い、重たい…凄惨な事件で何度も目が覚めるくらい戦慄した。ショッキングな内容が目をひくけれど被害者のその後の描き方が丁寧で、読んでいて苦しく逃げたい気持ちを突いてくる。

    追記:ウィルの相棒フェイスが好き。
    たまにマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる「戦闘中は真面目だけど、変なタイミングでやたらとふざけた発言してくる奴」っぽく見える時がある(※個人の感想です。)

  • カリン・スローター『スクリーム』ハーパーBOOKS。

    ウィル・トレント・シリーズ最新刊。いつにも増しておどろおどろしい表紙のイラストに加え、帯の『最新作にして最高到達点!異常な手口で口を閉ざされた犠牲者たちー 戦慄の連続殺人、再び。ミステリー界の新女王が放つ、ノンストップ・スリラー。』という扇情的な惹句に読む前から期待が高まる。

    700ページを超えるボリューム。最初は現在と過去の時系列が複雑で戸惑うが、次第にストーリーと事件の深刻度が見えて来る。ウィル・トレント・シリーズにして、グラント郡シリーズでもある本作は、ウィルとサラの活躍に加え、今は亡きサラの元夫、警察署長のジェフリーによる強姦殺人事件の捜査の模様が描かれる。

    刑務所内の暴動中に起きた殺人事件の捜査に赴いたウィル・トレントは服役中のダリル・ネズビットから犯人を教える代わりに8年前に起きた連続強姦殺人事件を再捜査するよう取引を持ち掛けられる。

    ウィルはサラをも巻き込み、殺人事件として扱われなかった事件を含め、8年前の事件を再捜査するが、全ての事件が連続強姦殺人事件であったことが判明する。ネズビットが犯人ではなかったなら、一体真犯人は……サラが突き止めた意外な真犯人の正体とは……そして、真犯人の異様な企みとは……

    定価1,360円
    ★★★★

  •  カリン・スローターの熱心な読者とは言えないのだが、最近はこの売れっ子作家の新刊が出ると、必ず読むという癖がいつの間にかついてしまった。シリーズものには特にそういう強迫観念じみた誘惑が秘められている。

     前作までの記憶が大方失わた頃に開くのがシリーズ作品というものなのだが、ページを進めるに従って、その固有な世界、作品の持つ独自の雰囲気は次第に蘇ってくるので、過去作の印象的なシーンを、いくつも思い出させてくれる叙述はいずれ楽しみに変わることだってあるものだ。

     このウィル・トレント・シリーズでは、前シリーズ(グラント郡シリーズ)のヒロインであったサラ・リントンが、警察医としてレギュラー化しているばかりか、ウィル・トレントとの恋人関係にある。グラント郡シリーズは日本での邦訳も復活、さらにウィル・シリーズと並行して読者に過去作品が現在順次提供されている。異例の形だが、それだけシリーズ人気が高まり、本書のように過去作との繋がりなしには現在作品も十分には楽しめない、という環境を作者はしっかりと整えているからだ。

     さて、本書。700ページ超。この分厚い一冊は、実は過去シリーズから現在シリーズまでをまたいだ連続殺人事件を物語る一冊だ。かつてグラント郡シリーズでサラ・リントンの夫であった警察署長ジェフリー・トリヴァーが解決したはずの事件が、誤認逮捕の疑いも含めて、現在の連続殺人と結びついてしまう異例のストーリー展開なのである。

     両シリーズの読者なら、まさに飛びつきたくなるような一冊である。サラがシリーズを繋ぐ事件、そしてサラという女性の二つのシリーズでの経歴、という二種類のフィルターを通し、ジェフリーとウィルという過去と現在の二人のヒーロー捜査官の個性を改めて表現しつつ、未だ邦訳で語られていないグラント郡シリーズの終わり方、ジェフリーのその後のこと等、事実上ネタバレとなっている。この先、グラント郡を読み続けようという読者にとっては今に始まったことではないが、出版の順序が変わる影響は翻訳小説の場合、読者側の本意ではないながら、避けられないところと言うしかない。

     本書では、例によって、残酷な殺人が取り上げられるのだが、相変わらず怖いくらいの殺しの方法がのっけから示され、解決済みのはずの同種のおびただしい殺人件数と、実は現在も続いている連続殺人の類似性とが、徐々に示されるにつれ、徐々に高まってくる真偽の逆転の可能性がミステリーとしての読みどころである。

     当然、サラの眼から見た現在と過去、ジェフリーとウィルとの個性の差、サラ自身の経験による変化・成長ぶりなどなど、女性小説ならではの読みどころともなっているように思う。二つのシリーズの読者のどちらともを引きつけざるを得ない、シリーズ中とても重要な転機となる作品なのである。

     前作がとてもアクションに満ちた派手なストーリーだったのに比べ、本作は主要キャラクターの歴史や変化に触れつつ、現在進行形のシリーズにさらに厚みをもたらす趣向の書きっぷりとなっている。カリン・スローター読者ならこれを見逃す手はないし、新しい読者の方は、本書を機に両シリーズを追いかけてみるきっかけにして頂いてもよいかと思う。

     ぼくは、どちらのシリーズとも次作が楽しみでならない。

  • 連続女性連続強姦殺人事件。刑務所にいるネズビットは自分ではない再捜査をしてくれ、その代わりに刑務所内の事件について情報提供すると言う。捜査官のウィル・トレントと検死官のサラ・リントンが挑むのは、サラの死んだ夫が警察署長として捜査したした事件。

    長い。こんなに分厚い物語である必要があるかよく分からない。ダレてしまったのは事実。しかし、でも次のカリン・スローターもまた読んでしまうのはなぜだろう。

  • カリン・スローターを読むようになると、ほかの本が読みにくくなる。
    甘っちょろく感じるのだ。
    そして、この世のたいていの本は、女性を差別しているなあと思えてしまう。

    カリン・スローターは女性を差別しない。
    女性だからと手心を加えない。
    女性は被害にあう。
    加害者は被害者より強い。
    強者は弱者に容赦ない。
    よって、女性の被害は、むごいのだ。

    きっと、現実は、そうなのだろう。
    なぜかかすり傷で済んだり、銃弾が避けていったり、あわやというところで騎士や王子が現れたり、そういうヒロイン特権は、現実にはないのだ。

    死んでしまうかもしれない。
    死んだほうがましかもしれない。
    どうにか生き残れた女性には、あとの人生が待っている。
    ひとりで、あるいは家族とともに、その後の時間を生きていくのだ。

    さらに著者は男性も差別しない。
    男たるもの、生涯一粒の涙も流すべきではない! ということもない。
    そんな目にあったら、涙が出るのも無理はないという目にあう。

    何年にもわたって、そんな差別なく容赦ない話を書いてきたカリン・スローターは、この『スクリーム』について言った。

    「わたしの創作史上とりわけ残虐な殺人犯です。」

    さあ、覚悟を決めて読もう! 
    断言する。読みごたえはある。
    物理的にもある。
    なにせ、厚さ3センチ、重さ352グラム、700ページを超える1冊である。
    ウィル・トレント・シリーズ第10巻に相応しい大作だ。

    シリーズ第10巻? 
    実は、このシリーズは、二つの物語が合流して出来ているのだ。
    カリン・スローターは2001年から、グラント郡シリーズを書いていた。
    2007年の第6巻でそれは一区切りついている。
    そのヒロイン、サラ・リントンが、ウィル・トレント・シリーズの3巻目から登場しているのだ。

    力を入れて書かれたこの『スクリーム』には、二つのシリーズの登場人物が豪華総出演している。
    なので、いきなり初めてこの本を読むのは、難しいかもしれない。
    いっぽう、私も経験があるのだが、最初に最新刊を読んで、遡って読むのも楽しみではあるので、お好みで選んでいただきたい。

    きつい点ばかりを挙げたが、カリン・スローターの作品には、ユーモアも豊富にあるのだ。

    たとえば、ウィルとフェイスのやりとりが出てくると、ほっとできる。
    恐ろしい上司アマンダの一心に携帯を見る様子さえ、いっそ笑いを呼んでくれる。
    そしてカリン・スローターは、考えすぎるきらいのある女性を書くのがうまいのだ。
    『破滅のループ』の冒頭にいたが、今回もそのような女性が出てくる。
    本人は必死で真剣で追い込まれているのだが、読むほうとしてはおかしみがある。

    さて、著者は最悪の犯人と言ったが、しかし、読者の見解はどうだろう?
    人それぞれ苦手なものは違う。嫌なものも違う。怖いものも違う。
    あなたには、どの犯人が最強最悪だろう?
    読書会のテーマにしても、色々盛り上がる1冊だと思われる。

    そのためにはシリーズを読まなければならない! という方は、こちらへ。
    ウィル・トレント・シリーズの順番のページがある。

    https://ameblo.jp/konstanze0317/entry-12682914883.html

    『スクリーム』は、ウィル・トレント・シリーズ10巻目と言ったが、実は12巻目なのだ。
    アメリカで電子書籍のみ出版された未訳の中編が二つある。
    電子書籍のみでよいので、ひょっこりそれらが出てくれると嬉しい。

  • 過去と現在が交錯して目が回った。
    シリーズ物のようだし、過去作から順に読むべきだった。

  • 今回も凄まじい事件。時系列の構成が面白かったです。久しぶりにウィル、サラ、フェイス、アマンダに会い、懐かしい気分。過去の事件も押し寄せてきました。相変わらず女性でないと表現できないような状況の数々。こんなに残虐なのに割と結末はあっさりめだったかな。サラとウィルの成り行きがメインかも、と思うほどでした。それでも700ページを一気に読ませる勢いはさすがカリンスローター。その魔力から逃れられません。

  • 旧主人公がどうなったか知らないので、なんとも読みに草が残る。

  • 読みごたえありだった。途中、現在の事件がどっちか混乱したけど。あれ?刑務所の中で殺されたジーザスは誰にやられたん?トミの証言まで犯人分からんかったけど、たぶん出てきてる人だろーなと思った。が…

  • 図書館の本 読了

    刑務所内の暴動中に起きた殺人事件の捜査にあたるウィルは、服役中の男から犯人を教える代わりに8年前の連続強姦殺人事件を再捜査するよう取引を持ちかけられる。
    不正捜査によって男を逮捕したという人物は声望の高い前グラント郡警察署長、ウィルもよく知る人物だった。
    時を置かず当時と同じ異様な手口で傷つけられた女性の遺体が発見され――。
    過去と現在の因縁が衝突する、シリーズ最高傑作!
    (bookデーターベースより)

    サラの過去との対峙はウィルにとっては思いのほか重い現実となって直面したこのシリーズ。
    もちろん連続殺人の捜査でレイプされたりその後殺されたりする被害者やその家族の過去と現在の対比なんだけれども、死んでしまった人は英雄視されるのね。
    そうなるか、と全部読み終わった後で原題を確認してうむとうなる。
    そっか、サラはサイレント・ワイフだったね。
    サラの診断・検視が彼女の過去の傷によって精度がたかくなるのは何という皮肉だろう。
    そしてシリアルキラーが泣き虫というのもおさまりがいいのか悪いのか、納得できるのかできないのか、微妙なところで話が終わる。
    そのうえ記録魔のシリアルキラー。
    自分のしていることを自覚できず、ビジネスに成功できるものだろうか?
    今回はウィルとフェイスのコンビより、ニックとトレヴァーの捜査が多く書かれていて、捜査する人によってこんなにも違うのかと驚く部分もあり。
    今出ているカリン・スローターの新刊はウィル・トレントシリーズではないようなので、早く次作を期待します。

    The silent wife by Karin Slaughter

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