- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620323947
感想・レビュー・書評
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読了。
一見、ど真ん中でネオリベラリズムを謳歌しているように見える商社の元トップが、斯様なメンタリティの持ち主というのは非常に興味深い。資本主義の暴力性に対し、非常に倫理的且つ禁欲的に対峙しようとする様は、ある意味自己矛盾を孕みながらも何らかの解を提示しているように思える。
一方、「愛国心を持ちすぎるのは副作用が…」のくだりや、頻出する「ブルジョワジー」に対する嫌悪感みたいなところに、ちょっと昔取った杵柄?の残滓が見え隠れしてて面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伊藤忠商事の元社長で、中国大使も務めた丹羽宇一郎氏の著書。
伊藤忠商事創業者である近江商人の伊藤忠兵衛や、近代資本主義を研究したマックス・ウェーバー等の思想を引き合いに、商いを行う上で、クリーン(清)・オネスト(正)・ビューティフル(美)、という「心」の大切さについて語っている。
商いという言葉を聞くと、どうしても相手との腹の探り合いとか、一円でも多く搾り取りたいとか、弱肉強食的イメージが浮んでしまう。しかし丹羽氏が唱えるように、金銭に替えられないモチベーションや仲間との感動の共有など、正しい「心」持つ事により人間味溢れる営みとなる。
もちろん商売である以上、利益が無ければ会社は成り立たないのだが、本書で述べられている「心」が有るのと無いのでは、大きな違いがあるのではないだろうか。戦後も高度経済成長も遠い過去となってしまった今、日本人には「心」の成長が必要なのだと思う。
経営者クラスのオジサンたちはもちろん、これから時代の中心となる若い人に読んでほしい一冊である。