徴候・記憶・外傷

著者 :
  • みすず書房
4.29
  • (21)
  • (7)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 251
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622070740

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • “ふたたび私はそのかおりのなかにいた。”アカシアの花のかおりを「索引」として「記憶」が「世界」が開かれていく。
    「世界は索引なのではないか?」そして「生きるということは、予感と徴候から余韻に流れ去り索引に収まる、ある流れに身を浸すこと」にあるのではではないだろうか?こうした詩的直観に根差した思索を軸に、「記憶」に纏わる試論を展開し、心的外傷や統合失調症の原理的な考察や実践的な症例の現場を素描する。
    圧倒的な教養に裏打ちされた強靭な思考は、それを誇示するのでもなく、またそれに固着するでもなく、自由に軽やかに文学・哲学・生物学・数学・犯罪学等々へと、縦横にしなやかに枝振りを伸ばしてゆく。

  • 美しい本。美しいだけでなく、悲しみや静けさを抱えた本。

全15件中 11 - 15件を表示

著者プロフィール

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。2022年逝去。京都大学法学部から医学部に編入後卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉教授。公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構顧問。著書に『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982)、『中井久夫著作集----精神医学の経験』(岩崎学術出版社、1984-1992)、『中井久夫コレクション』(筑摩書房、2009-2013)、『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997)、『樹をみつめて』(みすず書房、2006)、『「昭和」を送る』(みすず書房、2013)など。訳詩集に『現代ギリシャ詩選』(みすず書房、1985)、『ヴァレリー、若きバルク/魅惑』(みすず書房、1995)、『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中央公論新社、2016)、『中井久夫集 全11巻』(みすず書房、2017-19)

「2022年 『戦争と平和 ある観察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中井久夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×