徴候・記憶・外傷

著者 :
  • みすず書房 (2004年4月2日発売)
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本棚登録 : 250
感想 : 15

“ふたたび私はそのかおりのなかにいた。”アカシアの花のかおりを「索引」として「記憶」が「世界」が開かれていく。
「世界は索引なのではないか?」そして「生きるということは、予感と徴候から余韻に流れ去り索引に収まる、ある流れに身を浸すこと」にあるのではではないだろうか?こうした詩的直観に根差した思索を軸に、「記憶」に纏わる試論を展開し、心的外傷や統合失調症の原理的な考察や実践的な症例の現場を素描する。
圧倒的な教養に裏打ちされた強靭な思考は、それを誇示するのでもなく、またそれに固着するでもなく、自由に軽やかに文学・哲学・生物学・数学・犯罪学等々へと、縦横にしなやかに枝振りを伸ばしてゆく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2008年10月12日
読了日 : 2009年5月23日
本棚登録日 : 2008年10月12日

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