- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622077282
作品紹介・あらすじ
みずからを「自覚的パーリア」として位置づけることによって思考し、理解しようとした20世紀を代表する政治哲学者の、ユダヤ問題関係について書かれたものを集成。1巻には『全体主義の起原』に連なり、1938-1939年頃に書かれた長大な論考「反ユダヤ主義」を中心に、フランスでの収容所生活時代の文章、1941年アメリカ亡命後、『アウフバウ』紙に書き連ねた第二次世界大戦やパレスチナ問題についての論考を収録する。
感想・レビュー・書評
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カテゴリ:教員著作物
哲学科:佐藤紀子講師の著作物 -
反ユダヤ主義: ユダヤ論集1
(和書)2013年12月01日 18:23
ハンナ・アーレント みすず書房 2013年9月21日
アーレントさんの他の本も幾らか読んでいたので読みやすく感じました。
アーレントさんのいう政治(複数性)を考えさせられました。反ユダヤ主義というものがパーリアとして国民になりえない人間というものにおいて、ユダヤ人に限らずそういったものにさらされることがありえるのですが、自分自身もそういったものに思い当たるところがあり、そしてそういったものに対し積極的に何かをしなければならない。
そういった政治という複数性において連帯の重要性と哲学について吟味されていて示唆に富む有益な内容でした。
ユダヤ人がどうして標的になったのかその過程の理解に非常に有益です。 -
歴史
政治
思索 -
ユダヤ人学校はユダヤ人全体にとって、次の世代に影響を与えるのに活用できる最も需要な手段となるだろう。長い目で見れば、今日、これ以上にユダヤ人の存在そのものに大きく関わる問題、その解決に実に多くのことがかかっている問題はない。これの解決が統一的に行われ、個々の学校間の差が小さく抑えられ、全てのこともが速やかに受け入れられうようになればなるほど、大きな成果が得られるだろう。育ちつつある世代は、同化の歴史と反ユダヤ主義の歴史を、同化にいたるまでのユダヤ人の歴史と同様に知らなくてはいけない。そうしてこそはじめて、彼らは本当に理性的なやり方で、周囲の世界と自分自身を判断できる基礎を得られる。そうしてこそはじめて、自己意識の芯となるものを得ることができる。たんなる道徳的な要請だけでは、自己意識は常に空疎なままにならざるをえない。ユダヤ人学校は人種的純粋以西の原則に固執すべきではないだろう。最初原則的に、半ユダヤ人や4分の1ユダヤ人も、つまり政治状況によってユダヤ人学校へ来ざるをえない者すべてを、受け入れなくてはならないとアーレントは主張していた。
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ハンナ・アーレント『反ユダヤ主義 ユダヤ論集1』みすず書房、読了。本書はアーレント最初期の反ユダヤ主義に対する応答(~1945年)を収録する論集(殆どがドイツ語となる)。『全体主義の起源』を予想させる論考の数々や収容所生活時代の文章は「反ユダヤ主義」の息吹とリアリティを私たちに伝えてくれる。
冒頭に編者J・コーンの「まえがき」、フェルドマンの序論「パーリアとしてのユダヤ人」が掲載。両論ともに「ユダヤ」をキーワードにしながらアーレントの即席を描く秀逸なアーレント論(評伝)となっている。彼女の出発を確認できる一冊。