テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077534

感想・レビュー・書評

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  • サイエンス

  • テクノロジーの発展は、人間が恣意的に主導してきたものではなくテクノロジーそのものが内在的に自己組織化し、必然的に行われるものであるという刺激的な主張が展開される。

    天文学的な確率でしか発生しない形質が別々の進化系統で同様に発生すること。
    歴史を変えるような発明が、必ず同時多発的に同様の発明(と、一番手を主張する争い)と共に出現すること。
    こういった事実を眺めていると、なるほどテクノロジーそのものに必然的な発展が織り込まれているという主張にも説得力を感じる。

    アーミッシュが、むしろ通常の都市生活者よりもうまくテクノロジーと向き合っているというような話は著者のバックグラウンドによる偏りを感じるが、全体を通して丁寧にエビデンスを示しながら展開される持論は示唆に富んでいる。

  • ☆テクノロジーが望むままに

  • 2014.07.11 HONZ内藤さんおすすめ。
    2014.07.17 予約
    2014.08.21 かなりボリュームがある。断念

  • 世界的なサイバーカルチャーの思想家・論客であり、WIRED誌の初代編集長を務めたケヴィン・ケリーの代表作。2016年に邦訳が出版された「<インターネット>の次に来るもの ~ 未来を決める12の法則」は、デジタルテクノロジーを12の現在分詞で表すことで、テクノロジーとはストックの言葉で表現されるものではなく、フローとして表現されるものであり、そのフローを止めることはできない、というテクノロジーの自己生成論であった。

    本書はそうしたテクノロジーのフローとしての本質を、「テクニウム」と命名する。テクニウムとは一つのシステムであり、生命のように独自に進化を遂げていくものだ、という彼のテクノロジーに対する基本理解である。一方で、人々が抱くイメージは、生命の進化と比較して、テクノロジーの進化に対して手厳しい。生命の進化をネガティブに捉える人は少ないだろうが、テクノロジーの進化に対しては一定のネガティブなイメージが付きまとう。そうした懸念に対して、著者は「テクニウムとは社会を良くするのではない。人々が社会を良くするための機会を与えている」と明言する。一見ちょっとした違いのように見えるが、この違いは重要である。テクノロジーが未発達に原始時代と比較して、現代に生きる我々が本当に幸福になったのかどうかは、検証が難しい。しかし、テクノロジーのおかげで我々は明らかに様々な機会・選択肢を得て、取れる行動の幅が広がったのは間違いがなく、それが我々の人生に生きがいを与えているのも、同様に間違いがないだろう。

    本書で特に心が惹きつけられたのは、テクノロジーに反した生き方を模索しているように見える2者を引き合いに出す部分である。テクノロジーを憎み、連続爆弾テロによりアメリカを恐怖に陥れたユナ・ボマーと、テクノロジーを拒否した生き方を貫くアーミッシュの2者がそれである。一見、テクノロジーを拒否する彼らも、実はテクノロジーの恩恵から逃れることはできない。反証のように見える2者が、かえって、テクニウムの本質を証明しているかのような語り口は見事である。

  • 未来について考える、哲学シリーズ3冊読了。
    人類はどこへ向かうのか?より良い未来とは?

    人類とテクノロジーは切っても切り離せない。テクノロジーは問題も引き起こすが、良いことをもたらすことのほうが少しだけ多い。これまでもそのようにして発展して来た。(中世の王様より、現代の我々一般市民は確実に良い生活環境を授かっている)
    このようにしてテクノロジーの進化を促す目に見えない流れをテクニウムと呼ぶ。
    しかし、そのようにして発展して来たのは、必然なのか?それとも、我々自身の意思によってなのか?人間には自由意志はあるのか??我々は初めから決められたレールの上を走っているだけなのか?
    自由意志に関する現在のコモンセンスは「自由意志はない」ということらしい。しかし、「あると思いたい」。なぜなら、自ら熟慮し、判断し、選択することが「より良い未来」を作るはずだから。そしてまだまだ劣勢ながら「自由意志はある」という勢力が増して来ているらしい。
    より良い未来のためには、テクノロジーを活用しながら、生命や宗教といった多様性を容認していかねばならない。
    そのためにも、もっと人間を理解しなければならない。これからの人類において、間違いなく脳科学はキーテクノロジーだろう。
    なーんてことを学び、考えたのでした。

  • ・テクノロジーは他人の可能性、次の世代の可能性を広げる、そのために発展させる義務がある。
    ・アーミッシュは発達したテクニウムに囲まれているからこそ少ないテクノロジーで幸せに暮らせる
    ・テクノロジーを試し取捨選択し少ないテクノロジーで生きることが満足につながるかもしれない
    ・他人の可能性をテクノロジーで広げつつ、自分はテクノロジーを絞り込み幸せを目指すジレンマ

  • テクノロジーの進化論とも言える1冊。自分にとっては、少し抽象度が高く、読みながら足元がフワフワとした感覚だった。

  • 生命の進化が同時多発的に起きているように、テクノロジーの進化(発明)も同時多発的に起きている。
    このFACTから、物事には定められた進化の方向性があるのだろう。
    今後起こるであろう方向性を、
    複雑性、多様性などの観点で解説。

    かなり抽象度が高いが、事例も豊富。

  • 160526読了

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著者プロフィール

現在は雑誌「Wired」の「上級一匹狼」という役職についている。1993年にWiredを共同で設立し、その創刊から1999年まで編集長を務めた。最近の著書としては、バイキング/ペンギン社から“What Technology Wants”という本を2010年10月18日に出版した。また、毎月50万人のユニークビジター(重複を除外した利用者数)があるウェブサイト「Cool Tools」の編集者兼発行人でもある。1984年から1990年まで非正統的技術情報の専門誌「Whole Earth Review」の発行人兼編集者だった。今も続くハッカーズ・カンファレンスの共同創設者であり、また、1985年に始まった先駆的なオンラインサービス 「WELL」 の設立に関与した。ベストセラーとなった書籍“New Rules for the New Economy”(邦訳『ニューエコノミー勝者の条件―ウィナー・テイク・オール時代のマーケティング10則』1999年、ダイヤモンド社)、分散化した創発的システムに関する古典的作品“Out of Control”(邦訳『「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則』1999年、アスキー)などの著書がある。
※ケヴィン・ケリーのブログ(http://www.kk.org/biography.php)で公開されているプロフィールを堺屋七左衛門が翻訳

「2012年 『ケヴィン・ケリー著作選集 1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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