高校図書館―― 生徒がつくる、司書がはぐくむ

著者 :
  • みすず書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622077893

作品紹介・あらすじ

●大人一歩手前の高校生にとって、司書のニーズは切実――個々の生徒の事情に耳を傾け、彼らの希望や探究心と館内の蔵書・資料をつなげ、さらに、授業内容にかんして教師たちと図書館をつなげる役割もある。
●しかし現実には、埃をかぶった図書館や、司書不在の図書館も多い。
●もっと自由で、もっと楽しく、知的刺激に富み、保健室の別バージョンのような図書館をつくれないか。
●日々模索する好レポートから、現状と問題点のすべてがわかる。

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  • 高校図書館――生徒がつくる、司書がはぐくむ
    著者:成田康子

    【版元】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/280頁
    定価 2,592円(本体2,400円)
    ISBN 978-4-622-07789-3 C0000
    2013年11月6日発行

    学校図書館は、生徒が「評価」されない稀有な場所である。
     大人一歩手前の高校生にとって、そんな場所に「対話」のできる司書がいることは決定的に重要だ――それぞれの事情に耳をかたむけ、個々の希望や関心と資料とを繋げる人。さらに教師たちと資料を繋ぐ人でもある。高校図書館の活性化は司書の対応にかかっている。
     しかし現実には、埃をかぶったままの図書館や、司書が不在で閉まっているところもある。図書館予算も少ない。「学校司書」の法制化は、まだ途についたばかりだ。
     司書として30年のキャリアをもつ著者が、生徒や教師たち、さらに地域の人たちの応援を得て、「もっと自由でもっと楽しい場所にしたい」と日々模索する現場からの報告。図書館報の作成や学校祭参加、学外活動まで、具体的な示唆に富み、問題点も浮き彫りになる。
     高校図書館に特化したはじめての本であり、同時に、広く学校図書館のあり方について再考をうながすだろう。「出版ニュース」誌の連載を一冊にまとめた。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/07789.html


    【目次】
    はじめに(二〇一三年一〇月) [ii-v]
    目次 [vi-xi]

    I 札幌月寒[つきさむ]高校のころ 
    1 月高図書館のカウンターから――ブックトークの愉しみ 003
    2 パスファインダーって何?006
    3 北海道高等学校図書研究大会009
    4 どうつくる学校図書館――鳥取県司書研修から012
    5 “冒険する図書館”――北海道・北広島市図書館 015
    6 本をすすめる、すすめ合う019
    7 文字・活字文化推進機構のこと 022
    8 教育再生は読書から 025
    9 「学校図書館賞」受賞 028
    10 卒業生54人の寄せ書き 031

    II 大麻[おおあさ]高校のころ
    1 大麻高校図書館での第一歩 037
    2 「購入希望用紙」という入口 040
    3 「司書になりたい」夢がかなうためには 043
    4 子どもに応える読書環境を 047
    5 私が“人生”に出会った本 050
    6 選書は楽し 053
    7 パスファインダーで資料は活きる 056
    8 読書空間のレイアウト 059
    9 生徒の成長をもたらす読書へ――きっかけは一冊の本 063
    10 読書の動機づけは大人の役割 066
    11 高文連図書専門部のこれから 069
    12 図書委員の活動 072
    13 私の考える“高校図書館” 075
    14 新入生に伝える「高校図書館とは何か」 079
    15 貸出冊数にこだわらずに 082
    16 「朝の読書」の応援企画 085
    17 専門性を深める――リカレント講座研修 098
    18 同窓局員の回想から 092
    19 メディア・リテラシーは語り合うことから 095
    20 教育実習生を迎える 098
    21 貸出カウンターから生まれる関係 101
    22 図書館報づくり――意欲が育つ秘訣 105
    23 言葉が共感を生む――図書館報「のほほ~ん」一周年  108
    24 キャリア教育をサポート 111

    III 札幌南高校にて 1
    1 発展する対話の向こうに――利用者のひとりとして 117
    2 学校で展開する読書 120
    3 司書教諭との協働 123
    4 読書感想文にかかわって  127
    5 夏休み、研修に出かける 130
    6 書架整理は本を生かす 133
    7 生徒が本に出会う日 137
    8 マンガを活かす 140
    9 私を育てた思い出の図書館 143
    10 生徒の読書を見守る 146
    11 “局員とともにつくる”とは 149
    12 本、まわる 153
    13 ひとりになれる時間 156
    14 書店へ行こう 159
    15 教科書から本へ、アクティブに 162
    16 「BOOK CAFÉ四面書架」――学校祭参加 166
    17 探究型の学習へ 169
    18 出会いの演出を心がけて 172

    IV 札幌南高校にて 2
    1 学力テスト問題のピクトグラム 179
    2 生徒と北海道立図書館を訪問する 182
    3 『みんなでつくろう学校図書館』 185
    4 予算の着実な執行を 188
    5 正解のない問いを考える場として 191
    6 学校図書館は教育全体のインフラ 193
    7 子どもの未来のための予算 196
    8 「本は利用されるためのものである」(ランガナタン博士の第一法則) 199
    9 書店への動線 201
    10 心が弱ったときの優先席 204
    11 「専任」「専門」「正規」の学校司書 207
    12 学校司書は何をどう研修するか 210
    13 見えてきた道筋――学校司書の法制化 213
    14 図書館を見て志望校を決める 216
    15 「言語活動の充実」再考――図書館機能の発揮を 219
    16 三重県の学校図書館行政から学ぶ 221
    17 学校風土から「学び」をおもう 224
    18 対話あふれる図書館 226
    19 本をめぐるキャッチボール 229
    20 『ルピナスさん』から贈られた人生の送りかた 232

    あとがき(二〇一三年一〇月一日) [235-237]
    付録 なぜ学校司書の法制化が必要か [238-252]
    略年表 学校図書館から見た学校司書法制化への動き [ii-ix]
    初出一覧 [i]

  • 学校図書館の「ああ~~…」が満載
    活発に利用されてる図書館て……いいな~~……。

  • 子どものころ、図書館の人か書店員になりたいと思っていた。1日中本が読めるからって。でも、小学校も、中学校も図書館に先生はいなかった。高校も、
    高校の図書館は受験勉強するところって思っていた。10年ぐらい前、留学生に日本語を教えるために高校へ行った。高校の図書館で教えていた。久しぶりに入った高校図書館には私が読みたいと思っていた本が、並んでいた。借りたいと思ったくらい。
    図書館って、勉強するところじゃないよ。本と出合える場所、落ち着く場所……

  • しばらく前に読了。
    読んでいて、高校の頃の図書室を思い出した。私のお世話になった図書室は、ここまで活動的ではなかったけれど、授業とも、保健室とも違う独特の空間だったな、と思う。司書さんがいて、図書室が基本いつでも開いているって大事だなぁ。
    端々に感じる図書館信奉には正直乗り切れないけれど、私が図書館や図書室に支えられて生きてきたのはたしか。

  • 高校のとき、図書館にはたまに雑誌「Newton」を眺めに通ったくらいのもので、利用した回数を数えでみても、恥ずかしながら両手両足で足りるくらいのものだったと記憶している。

    でも勉強する場所、知識を得る場所としてちゃんと活用している学生がいて、サポートしてくれる人がちゃんといたことを知って、なんだかもったいない気持ちになった。

    以下、印象的だった箇所を長めに引用。すごい学生もいるものだ。


    p.226
    「やっぱり、本は読まなくちゃだめよね」と貸出カウンターの上を使って書きこみながら言い放つ。京都大学理学部への進学が決まった生徒だ。

    進路指導部に依頼された「後輩へのアドバイス」。彼女は<勉強法等>に二本線を引き、<推薦図書>と書き替えている。○国語――『源氏物語』(瀬戸内寂聴訳)。私は本が大好きで小さいころからよく読んでいるのですが、いろんな活字や文体に慣れておけば入試も苦労しないと思います。シェイクスピア等の戯曲はおもしろいし、文脈把握力がついてオススメです」。○「数学――『数学ガール』『数論入門』『教科書にない高校数学』など。『整数論』は難しすぎて途中で挫折!?」○「理科――『なっとくするシリーズ』『マクスウェルの悪魔』『新物理入門』」。○「地歴――新聞は毎日読んでいます」。○「公民――図書館で本を借りればタダ!学校の図書館を活用せよ!」など。<心構えやメッセージ欄>には「塾には行ったことがありません/受験前まで楽器の練習を毎日やっていました。両立可能です」。

    あらためて「図書館って、どうだった?」と訊くと「うーん……“当然の場所”かな」「三年前に比べて、ここってずいぶん変わったよ」と、うれしいことを言ってくれる。そして新たな提案も。月に一〇冊ぐらい課題図書みたいなものを出して、そこから二冊ぐらいは読むようにしたらいいと思う/授業で先生たちが本をもっと紹介するといいのに/受験期に本を読むことが足りないのではないか。ものごと単純にとらえすぎでは?多視点で見る必要がある、と力説する。――それには“本”なのだと言う。私はうなずき、確かな手ごたえを感じている。

  • 30年のキャリアを持つ北海道のベテラン司書によって高校図書館にまつわる様々なことを、自身の経験にもとづいて書き下ろした本。学校図書館に関わっている生徒や先生、地域との関わり方も浮き彫りにされている。

  • 長年著者が、学校司書としてご勤務された経験の中で目にしたもの感じたことを綴ったコラム。「出版ニュース」で連載されていた文章を加筆し、まとめたもの。
    特筆すべきは、高校図書館とそれぞれご勤務された学校図書館を作り上げていく高校生の姿が生き生きと描かれている。連載コラムをまとめただけあって一つ一つの記事は短く、学校図書館の現状から、学校司書としての姿勢・スタンス、本にまつわる微笑ましいエピソードまで様々。学校図書館から見た学校司書法制化の動きにも言及している。
    読みやすいけれど、自分の仕事を振り返りながら、読み進め、反省させられ、新たな気づきや考えさせられることが点在していた。そして、多くの示唆を与えてくれた。

    学校に限らず、図書館司書は多くの本好きが志望してくる傾向にあるが、本が好きだけではなれない(だけではいけない)ことを自ずと教えてくれる。
    著者の実践を通して、学校図書館の機能と役割、学校司書とは?を考え、理解する上では、学校図書館関係者以外の教育(施策)関係の方、子どもの成長に携わる方にも読んでいただきたい一冊であると思う。

  • 資料番号:011559556
    請求記号:017.4/ナ

  • 図書館に行く子は本屋にも行くという定説がある。
    私も高校時代に、本を読み始めた。でも何から読んだらいいのかよくわかならなかった。村上春樹とか読んでた。楽しかったな。

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