現代アメリカの外交: 歴史的展開と地域との諸関係 (MINERVA TEXT LIBRARY 41)
- ミネルヴァ書房 (2005年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623043484
作品紹介・あらすじ
本書は、アメリカ外交の思想、流れを取り上げた概説書である。まず第1部で、アメリカの対外政策を理解するうえで不可欠なアメリカ外交の基調、外交戦術、アメリカ外交政策を策定する人とそれを支える制度を扱う。第2部は、超大国アメリカが世界戦略に基づいて諸地域と結んだ関係とその展開を、歴史的に時間と空間、アクションと反応の両軸から扱い、第3部では、私たちが現在、直面している地球規模の全人類的諸問題をアメリカ外交と関連させながら主題別に扱った。
感想・レビュー・書評
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門戸開放の戦略はアメリカが国内的に反映しようとするならば、自由貿易体制を推し進め、中国のみならず全世界でも通商上の障壁の除去を要求しなければならないことを示していた。
国際政治にも道徳的倫理を要求するウィルソンの対外政策は彼が敬虔なプロテスタントであったことから宣教師外交と呼ばれたが、中南米では干渉強化となって現れた。
ドミノ理論認識。
ギリシャの崩壊→トルコの政情不安→全中東の無秩序→欧州諸国の混乱→世界的な自由の喪失→世界平和の危機→アメリカの福祉の減退。
モーゲンソーは政治の本質を権力闘争であると評している。つまり国際関係は各主権国家の国力をめぐる闘争であり、国益が重要な分析および実践上の概念となる。
東西冷戦が終わった後のアメリカには、かつてのソ連のような強大な外敵は存在せず、民主主義の理念を掲げてグローバルな指導力を発揮するという公式的見解とは裏腹に国内には新孤立主義的傾向を垣間見ることもできる。
冷戦の終結によりアメリカは反共と民主主義を結びつける必要がなくなり、普遍的な価値として人権、民主主義を掲げることが外交的にも容易になった。
冷戦がソ連の崩壊によって終了したため、民主主義とはアメリカ的価値観の拡大であるかのような印象が強く持たれている。
アメリカ軍のコンピュータネットワークへの依存度が高まれば高まるほど、安全保障の脆弱性も高まる。このような状況を背景にデービッド効果という現象が起こる可能性もある。要するに、小国やテロ組織のような非国家アクターであっても高度な情報技術を獲得すればアメリカの基幹ストラクチャーに集中攻撃を加え破壊する能力を持つことになる。
1997年にアメリカ統合参謀本部はサイバー防衛能力を試す実験を行った。
情報技術の最先端を走るアメリカは、サイバー攻撃の加害者になることもできる。アメリカは1999年の対ユーゴ空爆の際に、ユーゴ軍への祭場p攻撃を検討していたことを正式に認めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示