源義家: 天下第一の武勇の士 (日本史リブレット人 22)

著者 :
  • 山川出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (86ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634548220

作品紹介・あらすじ

武士が尚ばれた時代、「八幡太郎」と呼ばれて親しまれ、神のように仰がれた源義家。彼と同時代を生きたある貴族は、その日記に、義家を「天下第一の武勇の士」「武威は天下に満ち、誠にこれ大将軍に足る者なり」と称讃する一方、「多く罪なき人を殺す…積悪の余、ついに子孫に及ぶか」とも記している。「文武兼備の稀代の名将」と「残虐を事とした暴力装置」という対照的な評価のあいだで揺れ動く源義家の実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ≪目次≫
    はじめに  源義家のイメージと実像
    第1章    父祖の功業
    第2章    義家の登場
    第3章    延久年間における陸奥の賊徒追討
    第4章    河内源氏と鎌倉
    第5章    後三年合戦
    第6章    坂東との関係
    第7章    白河院と河内源氏、その空間
    第8章    義家の評価

    ≪内容≫
    山川出版社のリブレットの第2弾は「人」シリーズであるが、その一冊。たしかに、自分の持っていた『源義家』観を100%変えられた。戦前の史観とは一線を引いていたつもりだったが、その線上に義家を乗っけていたようだ。つまり、勇猛果敢はいいが、後三年合戦で坂東の武士に自腹で恩賞を与えた云々は架空の話で、当時の武士らしい乱暴な男だった、土地や財産にこだわった(言い方は雑ですけど…)。
    教えているときから、こんないい男の息子(源義親)が、なんで反逆児なのかいまひとつしっくりこなかったのが、納得する本でした。

  • 「源氏の英雄」八幡太郎こと源義家の伝記。清和源氏の祖基経や祖父頼信、父頼義、子孫の頼朝らについても触れられている。

    同時代の人にも義家は勇猛な武者ではあったが野蛮であると恐れられていた。前九年はともかく後三年の戦いは東北に利権を求める義家らの私戦であり、戦況は泥沼化。後半生は不遇で、弟義綱との対立や子の義親の反乱などがあった。

    本書では為義を義親の子で義家の孫ではなく、義家の四男であるという研究を採用。また為義の嫡男は義朝ではなく義賢としている。当時、彼ら河内源氏は源氏の棟梁ではなく、一つの流れにすぎなかった。

    頼朝の東北攻めは頼義の例にのっとった。しかし義家が英雄視されるのは、母方の祖父平直方の子孫の北条氏の力が大きいという。時政は自分を直方になぞらえた。頼朝と娘政子の子である頼家の名は義家にあやかっている。一方、足利家時や尊氏、徳川家康らが源氏の嫡流を自称するとき義家の子孫と称したのも大きい。またあ、近代教育の力でもある。

    河内源氏については元木泰男氏の新書がある。当時の王家(皇室)、摂関家や貴族との関わり、軍事貴族との関わりを調べてみたいと思った。

    メモ
     八幡太郎義家、賀茂次郎義綱、新羅三郎義光
     義家は白河院に伺候、義綱は摂関家藤原師実、師通に伺候

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。1973年、青山学院大学文学部史学科卒業。1981年、青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。現在、京都女子大学名誉教授 ※2022年6月現在
【主要著書】『伝説の将軍 藤原秀郷』(吉川弘文館、2001年)、『源氏と坂東武士』(吉川弘文館、2007年)、『源義家―天下第一の武勇の士―』(山川出版社、2012年)、『東国武士と京都』(同成社、2015年)、『源氏の血脈』(講談社学術文庫,2022年)

「2022年 『公武政権の競合と協調』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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