死者は還らず: 山岳遭難の現実

著者 :
  • 山と溪谷社
3.75
  • (4)
  • (8)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 58
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635171144

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  少し前に読んだ中村富士見さんの「ただいまと言えるその日まで」が、遭難者に寄り添い、静かな語り口であったのに対してかなり辛口辛辣で遠慮もない。著者は山岳人として無知無謀な登山に対して怒っているようであります。
     地図をもう少し分散させて事の経緯をわかりやすくしていただければ、その遭難の実態もわかりやすいと思いけり。そういった点でも中村さんの本の方が分かりやすくてしかも厳粛さがあった。
     ただ、最終章にあった遭難する人たちには少なからず環境の変化(定年前、人間関係、仕事疲れなど)があり、そういうところからこれまでにはない慎重さや危機管理能力が劣っていたところがあったのではないか」というのは興味深い記述でありました。
     

  • 生命の危機に晒された時、第一に保温に努めとにかく食糧を腹に収めることが生還につながる。

    行方不明者のほとんどが、道迷いによる遭難死。
    道に迷っても不思議と来た道を登り返さずに下流を目指す。

  • 以前途中まで読むも当時は登山をはじめて間もなくで記載していることが分からず読むのをやめてしまったもの。
    沢や厳冬期登山はしないものの、記述内容を理解できるようにはなった。

  • 下手なホラーより断然怖い

    ブクログに限らず、アマゾンのレビューなどでも著者の書き方に嫌悪感という意見をちらほら見かけて多少の不安を持ちながら拝読したが、結局いらない心配だった。

    読み物としては文句なしに引き込まれるものがあるし、
    全くの山の素人の私に「絶対冬山には行かない」と思わせるだけの説得力もある。著者の狙いはあとがきにもあるように遭難の実体をまだ遭難したことない登山者に伝えることであるのでその意味では十分意義のある本なのではないだろうか。

  • 母親が山登りが趣味なこともあり、
    家には雑誌「山と渓谷」があったし、
    (この雑誌では遭難事故があると特集を組む)

    母親が話してくれる本当にあった遭難その他
    山での怖い話をよく聞いて育った私は、

    「山登り行くには装備を万全にしよう。
    (雪が無いと言われても、季節によってはアイゼンを持参、
    日暮れまでに帰れるスケジュールでもライトは絶対必要)」
    でもなく、

    「迷ったとわかったら引き返す勇気を持とう」
    でもなく、

    「とにかく絶対、山登りはやらないでおこう」と言う
    後ろ向きの、それも固い固い決意のみ。

    沢山の山の遭難の実例を出して
    「なぜ?」に迫るレポート。

    「そうなると思わなかった」
    「こうだと思った」と言う思い込みから、

    「知らなかった」「気付かなかった」と言う
    経験不足から、

    「出来ると思った」「自信があった」と言う過信から、

    遭難は起こり、その後リーダーがどういう判断を下すか、
    が最大の決め手となる!

    低体温症と言うのは急に亡くなってしまうそうで、
    そういう人が出ると、
    チームがあっという間に動揺してしまう様だ。

    ただ、自分の無知を、過信を、
    「運」と言う一言で片づけるな、と
    著者は息巻いておりますが、それを遺族や
    同じチームの生き残った方にぶつけるのはいかがなものか。

    「なんでこんな行動を?」と不思議に思っても
    当事者になってみないとわかりませぬ。

    ただ、おかしいな、変だな、と思ったら
    リーダーがそう言っても自己防衛するのが大事みたい。
    でも大学の山岳部とかってリーダーが絶対らしく
    難しいのかな。

    わたしなんて、自宅でひたすら遊んでいるのが好きだから、
    「なんでわざわざ、危ない思いをしに…」と
    思うんだけれど、

    特にこう言った雪山へ行きたい人って
    危ない、ぎりぎりの目に会いたいのかな、とも思った。

    怖い、怖い、怖いよ~と読みながら
    極限状態になったとき、自分はどうなるんだろう?と
    つくづく考えてしまう本。

    どんなに元気な時でもがっくりくるので
    読まれる方は気を付けてください。

  • 2012/7/17購入
    2012/8/5読了

  • 筆者の文体の仰々しさというか、大文豪であるかのような勿体ぶった調子が、おそらく余計にこの本の印象を悪くしているように思う。そのせいで、亡くなった方あるいはその周辺の方々への批判的結論をわめき散らしている印象が高まっていると思う。
    そういう意味で、筆者が書きたかったであろう、起きたことを読者が自立的に考えるソース提供、という地点には向かわず、読者の大半に拒絶的心情を呼び起こさせてしまっているのだろう。冷静な考えを喚起させる前に、筆者の主張と読者の主張のぶつかり合いになってしまうのだ。そしてその溝はなかなか埋まりにくい。誰が初対面であった人と怒鳴り合いをしたい? もっと対話とは穏やかであってしかるべきなのだ。

    かくいう自分は、文体が鼻についたことをさておけば、出来事は出来事として、大変に参考になった。もう少し遭難状況説明を丁寧にしてくれたほうがよいのだが、ケーススタディーとして。
    相当に心情寄りだ。
    その点、やはり羽根田治氏のほうが優れているように思う。

  • "なかよしパーティー"には優しく、仲間を見捨てたリーダーには厳しいのは至極もっともな語り口とはいえ、終わってしまったことを他人があれこれ言っても仕方がない。それより羽根田氏のように末尾で具体的な対策を講じる方が有益ではないだろうか。読み物としては面白いが、少し情緒に流されすぎているように思える。

  • 参考になる。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

東京農工大学名誉教授。農学博士。日本オオカミ協会会長。一貫して野生動物保護の研究に従事。元々はシカ、カモシカ、ツキノワグマ、ニホンザルなどの保護管理を研究していたが、シカの天敵のオオカミが、日本の自然生態系の復活に不可欠と、日本オオカミ協会を設立。復活プロジェクトを開始。

「2007年 『日本の森にオオカミの群れを放て』 で使われていた紹介文から引用しています。」

丸山直樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×