- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635320177
感想・レビュー・書評
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●=引用
●狐狸は行動範囲が里に近く、最も馴染みがある動物だ。奇妙な出来事に遭遇した時にその原因にするにはうってつけなのだろう。それが親から子へ、そして孫へ語り継がれ、何かあるとするとすぐに狐狸だなと判断するわけだ。これをバカげた話と一蹴するのは簡単だ。しかしそれでは自分が体験した奇妙な出来事の原因は分からないままである。それでは困るのだ。山人はまた明日も山に入るのだだから、謎のままでは落ち着かない。原因が狐狸なら少し安心できる。本気を出せば人間のほうが圧倒的に強いからだ。こうして不思議な出来事は取り敢えず狐狸のせいにするのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本と出逢ったきっかけはYouTubeの「オカルトエンタメ大学」というチャンネルで著者の田中さんが山怪話をしていた回をたまたま見たからでした。
個人的にオカルト話は半信半疑であり、どのような方が話しているのかで判断します。失礼ながら“いかにも”な感じの人が語る話は話半分で聞くのですが、田中さんはスマートな見た目で話も上手く、ついついYouTubeに惹き込まれてしまいました。惹き込まれてしまったからには本も読もうと手に取った次第です。
本はいろんな話が書いてあり、それぞれがとても簡潔に書いてあります。引っ張る前置きも溜めもなく聞いた話を淡々とという感じです。なのでそれが少し物足りなく感じたのですが、それは話を盛って欲しいというわけではなくYouTubeの話し方と文章を比較すると圧倒的にYouTubeの話の方が面白く感じたからだと思います。
また、話が簡潔だからこそページを埋める文字の数が少ないのも読書をしている物足りなさに繋がりました。もう少し書面を埋めてほしかったなと思います。
とはいえYouTubeとこの本で田舎の土地巡りをしたくなりました。春になったら計画立てて見ようかなと思っています。記載されているエピソードが日本の何処の話なのか日本地図を一枚載せて頂けると有難かったなと勝手な要望も出てしまう1冊でした。 -
実話なので何気ない話が多い。特におちもない話が淡々と続く。
最後の後書きを読んで、この本がコロナ禍を乗り越えて世に出たと知る。それが一番感慨深かったかな。 -
山にまつわる不思議な話。
よく知る山なのに、気が付いたら知らない場所を歩いている。
ひとりしかいない場所で、突然誰かに話しかけられる。
ありえないものの影を見る。
そうやって語る人たちは人里に帰ってこられたから語ることができる。
逆に、山から戻れなくなった人もいる。
人里とは一線を画す山は、人の領域ではない。
そのことを頭の片隅に、山を楽しみたい。 -
幽霊なの?っていうお話もありましたが、ほぼ狐狸達のお話で、なんか怖かったり迷惑を被ったりされてはいるけど、そこに住んでいる人達が羨ましく思ってしまう私は疲れているのかもしれない、という感想です。
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山の不思議な話集。
柳田國男の『遠野物語』と似ているが、話の採集が最近らしく使われる言葉も現代だし、メールやGPSなんかも登場するのが面白い。
その不思議な現象がなんなのかはわからないまま話が終わったり、「そうそう、こんなこともあった」と連想される話が付け加えられたりするところがすっきりせず、ちょっと怖い独特の後味になっている。 -
シリーズ第4弾。
あからさまな幽霊譚はほとんどなくなり、狐狸に化かされる類やほんのりと不思議感が漂うエピソード等が大部分という印象。
スーツ姿の男や普段着の女性、あるいは年端もいかない子供といった、闇に包まれた山奥に到底いるはずがない存在を見てしまうという体験談は、似たような話を幾度読んでも、やはり怖い。
通い慣れた山中でなぜか迷ってしまう、という怪異も然り。
個人的には、こういった話は読むだけにして、決して経験はしたくないものだ…と強く思う。 -
「遠野物語」の昔から
人々は 不思議な物語のそばで
暮らしている
私の親しいアフリカに産まれ、育ち、
すっかり日本の暮らしになじんだ知人に
「遠野物語」の中の話、
「山の怪」の話をすると
当たり前のように
かの国の暮らしの中にある
この世ならぬモノたちの話を
語ってくれる
豊かな暮らしとは
不思議な話が
すぐそばにある 暮らし
を 言うのだと思う -
<目次>
第1章 妖しの森
第2章 静寂の山
第3章 背中合わせの異界
<内容>
コロナで話の採集も難しかったようだ。3年ぶりの第4弾。ちょっと怖い話もあったし、青森の神様を探りに行ったから、うちの母が病気になったのか?なんて想ったりして。