1冊でわかるポケット教養シリーズ 数字と科学から読む音楽

著者 :
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
3.33
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 171
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784636973587

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第ニ、三部が面白いです。
    特に第三部のピタゴラス音階から平均律までの流れが面白かったです。
    細かい数字がたくさん並びますが、無視して進んでいってもだいたい理解できます。
    (私は無視しました……)
    平均律が生まれるまでは調によってそれぞれの調の個性がありました。
    しかし、平均律によってそれが失われたのです。
    そのことを「音の帝国主義」と言うところは、なるほどとと思うと同時に、「何かを得るには何かを失わないといけないのだな」と感じました。

    そして、平均律によって生まれる絶対音感の話も面白いです。
    平均律が生まれるまでは絶対音感なんてものは存在しなかったそうです。
    それもそのはずで、平均律がうまれるまでは同じラでも調によってヘルツ数が異なるからです。
    (もしかしたら、これはハ長調のラ!これはヘ長調のラ!なんて聞き分けられる超人がいたかもしれませんが……)
    そして音楽をやる人でも絶対音感は不便でしかないことを話ししています。
    絶対音感ってなんだか憧れを感じてしまうものですが、なっても良いものではないんですね。

    専門的な内容が多い本ではありますが、平均律までの移り変わりを詳しく知っていきたい人にはオススメです。

    尚、この本は最初から順番に読まないほうが良いと個人的には思います。
    第一部の内容はキリスト教の聖数と音楽の数字に共通点があることを語っているのですが、私にはこじつけにしか見えなかったです。
    読まなくても特に第ニ、三部に影響はありません。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1952年山形生まれ。東京藝術大学大学院博士課程満期退学。現在、桐朋学園大学音楽学部名誉教授。18、19世紀を主な対象とする音楽社会史、音楽思想史を専攻。
著書に『新版 クラシックでわかる世界史──時代を生きた作曲家、歴史を変えた名曲』『ピアノ大陸ヨーロッパ──19世紀・市民音楽とクラシックの誕生』(以上アルテスパブリッシング)、『神と向かい合った作曲家たち──ミサ曲とレクイエムの近代史 1745–1945』『《ドイツ・レクイエム》への道──ブラームスと神の声・人の声』『シューマン 全ピアノ作品の研究 上・下』(以上音楽之友社)、『ピアノの誕生』『クラシック 名曲を生んだ恋物語』(以上講談社)、『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』(平凡社)、『世界史でたどる名作オペラ』(東京堂出版)、共著・共編書に『ベートーヴェン事典』(東京書籍)、訳書に『魔笛とウィーン』(平凡社)、監訳・共訳書に『ルル』『金色のソナタ』『西洋の音楽と社会(7)ロマン主義と革命の時代』(以上音楽之友社)、『オックスフォード オペラ大事典』(平凡社)などがある。

「2023年 『バロック音楽と国際政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西原稔の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×