メディア文化論: メディアを学ぶ人のための15話 (有斐閣アルマ)

著者 :
  • 有斐閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641121904

作品紹介・あらすじ

メディアって何だろう?-メディアやコミュニケーションについて勉強を始めようとしている大学生や大学院生、社会人の方々に最適。方法、歴史、実践という3つの視角から、メディアと私たちの生きる社会との関わりについて、多面的に読み解いていく。真の意味でのメディア・リテラシーを身につけたい人に必携の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 1890円購入2010-10-12

  • 10年前とは言えメディアの技術的革新は早く,後半の内容は古く感じる。改訂版が2012年に出ているようだ。メディアが持つ特性や機能によって人々の行動や判断に影響を及ぼす様子や歴史が語られる。人は情報を求めているのだな。その情報によってまた自分を意味づけているのか。大量の情報を処理することに時間が費やされ,その時間を短くしていく方向に進化した先に何があるのか。自分の処理能力に応じた情報やメディアとのつきあい方があるだろう。また,メディアに対して常に受け身である必要もない。

  • 読了……して気付いたけど改訂版が出てた.たぶん直近の歴史に加筆があるんだろう

  • 女性交換手は19世紀のブルジョア社会が女性に期待していた役割と合致する。男性を自信にあふれた能動的な存在、女性は従順で受け身、忍耐強く分別ある存在として思い描いていた。

    ニュースステーションが画期的だったというが何が画期的なのか、わからない。

  • メディアを学ぶ人にとって、最適な入門書ではないでしょうか?とにかく、著者の吉見さんの縦横無尽な筆致に、驚かされます。各論者の貢献と限界、各メディアの的確な特徴など、メディアと言えば、マクルーハン理論しか知らなかった自分にとって、新しく知ることばかりで、大変勉強になりました。とりわけ第一部の「方法としてのメディア」が素晴らしいです。

    以下、抜き書き
    ・メディア研究の問いは、最終的にはそれらの個々の媒体の特殊性や個別性ではなく、むしろそれらの個別性を可能にしている社会的な力学にこそ向けられているのです。

    ・『火星からの侵入』に見る被暗示性の4つの心理的条件。

    ・公的な議題設定や意見表出可能性、長時間の培養過程、階層間での影響の偏差、メディアへの依存での差異などによって、メディアの効果はより複雑で多面的であることが明らかになっています。→しかし、効果しか問題にしていない問題点も。

    ・口頭から文字へ、そして、電子へという発展は、ループを描いて回帰するような過程ではなく、螺旋的に位相をずらしていく積層的なプロセスなのです。…実際、電子メディアは、われわれを「二次的な声の文化」に導きつつも、文字文化のなかで拡大されてきた言語の逐次処理と空間化を加速度的に強化するのです(オング 1991)。

    ・(電子メディア的状況では)「脱文脈的で、モノローグ的で、自己指示的なメディアの言語によって、受け手は自己構成のプロセスと戯れ、言説の多様な様式と『会話』することによって絶えず自己を作り直す」ように要請されています。電子空間に成立する自己は、口承文学でのように特定の場所に帰属しないし、文字文化でのように単一性を失っています。ここで問われているのは、われわれ自己それ自体の成立面の変容なのです(ポスター 1991)。

    ・(ウィリアムズ)の考えでは、メディアとは、さまざまな政治的、経済的、社会的な力が絡まり合う場のなかでこそ一定の姿をとるのであって、最初からその制度的形態や利用のされ方を決められてしまっているわけではありません。技術と社会、メディアを日常生活は、歴史の積層のなかで入り組んだ関係を結んでいます。

    ・ホールらによれば、メディアはたんに外部の「現実」に言及し、それを伝達しているのではなく、むしろそういた「現実」を自ら生産してもいるのです。

    ・80年代、90年代のメディア変容の共通特徴は、脱場所化、非同期化、双方向的な自己編集。

    ・自己と他者、ネイティブとエキゾチック、グローバルとローカルといった諸項が何重にも輻輳し、無数の連動する諸過程が構成されていく複合的な過程です。

    ・1970年代末以降のメディア研究は、テクスト生産と消費の両方の局面で、権力と身体、意味の複雑な絡まり合いを浮かび上がらせていこうとしたのですが、こうした方法論はメディア・リテラシー教育の実践にとっても基盤を成すものだったのです。

    ・アメリカ、フランス、イギリスにおける放送番組の納品制度。

  • 本日、書店で発見

  • ゼミの前期課題。

    正直メディア・ツールの起源やらの話ばっかりでつまらなかった。

    映画の起源とかさ、知りたかったら自分で調べるわ!!!

  • メディアの歴史から性質まで幅広くカヴァー。"メディア"とは一体何を指し、どのように発達してきたのかが分かりやすく書いてあるので良い。入門書としてはベスト。

  • メディアを取り巻く社会的現象をひと括りにして、何かを言うことはできないと思っているが、それでもこの、無形であるながらも巨大で気色の悪い、メディアという生き物の成り立ちは知っておきべきである。

  • メディアの持つ影響力というのは、もはや日々情報と共に生きている僕達にとって
    全てを認識するなど到底出来ない巨大なものとなっているけれども、そんな中で、
    メディアの成立から今日までの歴史を描き、各々のメディアの持つ問題点等にも
    言及する本書はこれからメディアを学ぶ社会科学系の専攻の大学生、社会人等幅広い層に受け入れられそうな一冊。

    文字という最もプリミティブなメディアが生まれてから、グーテンベルグの活版
    印刷術、電話、ラジオ、テレビ、インターネットが圧倒的な影響力を持つ今日まで
    幅広く、様々な角度からその背景を描写していて、どっちかというと教養書的な
    書物でもある。

    これだけ様々な媒体の中で日々情報の更新が凄まじいスピードで進行する現在、
    いかにメディアと付き合うかというメディアリテラシーが重要だけれども、その辺りの啓蒙的な役割は抑え目でもある。

    15章からなる各々のテクストの末尾の参考図書が非常に参考になります。
    とりあえずメディアに関心(社会学専攻とか)があるって人にお勧めの一冊。

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著者プロフィール

吉見 俊哉(よしみ・しゅんや):1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論などを主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『大学とは何か』(岩波新書)、『知的創造の条件』(筑摩選書)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し』(集英社新書)、『東京復興ならず』(中公新書)ほか多数。

「2023年 『敗者としての東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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