- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652078143
作品紹介・あらすじ
近代日本のはじまりから、学歴社会の成立、戦後のアメリカやアジアとの関係、そして憲法改正から自衛隊の海外派遣まで、いまの日本を考えるうえで欠かせない基礎知識を、ひとつながりの見取り図としてやさしく提示する。中学生以上すべての人。
感想・レビュー・書評
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著者曰く、
近衛文麿が天皇に降伏交渉を始めることを進言した。しかし天皇は、「もう一度戦果をあげてからでないとなかなか話は難しいと思う」と述べて、それを拒否した。この時点で戦争をやめていれば、三月の東京大空襲も、四月からの沖縄戦も、八月の原爆投下も、ソ連参戦やその結果としての朝鮮半島の南北分断も、なくてすんだはずだった。pp.83-84
以上、引用終わり。
近衛文麿と昭和天皇の実際のやり取りは以下です。
昭和天皇:人事の問題に結局なるが、近衛はどう考へて居るか。
近衛文麿:賀陽宮殿下は軍の建直には山下大将が適任と御考への様なり。
昭和天皇:もう一度戦果を挙げてからでないと中々話は難しいと思ふ。
この点について議論したものを見つけました。以下引用。
天皇陛下が敗戦、降伏に向けて軍部の体制を変えるのに人事をどうしたらいいのかと質問して、総理の近衛が山下大将がいいと答えたのです。しかし天皇陛下は、山下大将を推すには戦果を挙げてからでないとなかなか話は難しいと答えたのです。本来の会話を意図的に改ざんし、近衛総理が天皇陛下に降伏しましょう、と訴えたのに対し、陛下が「もう一戦果あげてからでないと、交渉は難しい」と答え、降伏を拒否したと言ったとしているのです。これにより、東京大空襲や原爆投下が起こったとされているのです。天皇陛下に戦争責任を持たせようとする反日的な改ざんです。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1093667465
もう1つ見つけました。以下引用。
近衛が「終戦に持ち込むには満州事変以来の『軍部の抵抗勢力』を一新する必要がある」と言ったのに対し、陛下が「(抵抗勢力の一新は)もう一度、戦果を挙げてからでないと(抵抗勢力を一新する)話は難しいと思う。」と客観的意見を述べただけです。これの、どこをどうよんだら「先帝陛下が戦争継続を命令した」になるんでしょうか!? 本当に、歴史修正主義者の発言カットの醜さ、その特定思想とプロパガンダの盲従者の頭の悪さには参ったものです。
https://web.sfc.keio.ac.jp/~gaou/cgi-bin/mondou/html/009630.html
引用元ではいずれも、この著者の名前や本はまったく出てきません。「降伏拒否」ネタはその界隈では有名なもので、ずいぶん前から出回っていたようですね。
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そのほか、著者の主張をいくつか挙げておきます。既視感のあるものばかりですが。以下。
明治政府の義務教育は国を強くするため(戦争するため)だった。p.21
日清戦争は侵略戦争だった。p.74
朝鮮人を強制連行して、劣悪な条件で働かせた。戦争末期に日本にいた朝鮮人は230万といわれる。p.90 ※230万人=強制連行という誤った印象を与えるのでは?
憲法9条は「日本の誇り」だった。p.110
日本はアメリカの家来だ。アメリカに従属するな。p.135 ※アメリカに従属するな。でもアメリカが押し付けた9条は日本の誇り。
アジア各国の被害者に賠償すべきだ。p.155
靖国神社への首相参拝は反対だ。p.160
自衛隊の海外派遣には反対だ。p.167
米軍基地はミサイル攻撃の目標になるから、基地がない方が安全だ。p.178
小熊英二『決定版 日本という国』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今の日本がなんでこんな感じなのかを少し理解できた本。
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姪に読むよう引継ぎ。感想を聞いたら「わかるところとわからないところがあったけど、読み終わった」との素直な感想。感想というより読後感。
ちょっと偏り過ぎてたかな。 -
面白かったー!
日本とアジア、日本と米国、
アジアと米国についてよくわかる。
わかりやすい説明でとても
読みやすい……! -
日本の近代史が全然わかっていない私…
少しでもわかりたいと思って読みはじめましたが、読者に語りかける文体でとても引き込まれました。
福沢諭吉が『学問のすすめ』を書いた意図、なぜ日本が戦後に経済大国として成功できたのか、初めて知ることがいっぱいでした。
特に前半は、勉強とはどういうものなのか、新しい視点をくれるので、若いうちに読んでおきたかったなと思います。 -
前半は明治維新で日本がなにを意図して変化してきたか、後半は戦後日本がどんな意図で変化させられてきたか。とってもわかりやすく書いてあった。史実+αがよくわかる。
自分の受けてきた教育はこういう意図の上に成り立っていたのかと思うと怖くもなるし、見直すいいきっかけ。 -
この国の姿が、江戸時代の終わりから順を追って解説されている。なるほどそうだったのかの連続。醜い部分もさらけ出されていて、そのへんは、読むのに疲れた。こういう方面、こんな角度からの考えも必要だと思う。
なかには、知らない方がよかったというものもあった。福沢諭吉の言葉の所。日本も西洋になり、侵略される側から侵略する側になるということ。この時点で、今の日本の、アメリカの言いなりという立場が決まっていたのかもしれない。 -
学歴社会の起源、アメリカとの関係など、学校では教えられない不都合な事実も書かれていて、日本という国の立場を見つめ直すよい機会になりました。
この書籍が発売されてから15年、尖閣諸島、北朝鮮の核開発、香港、台湾問題、ロシアのウクライナ侵攻など、当時では予想もできなかったことが次々と起こり、安全保障を巡る状況はますます難しくなっていると感じます。 -
近代日本のはじまりから、学歴社会の成立、戦後のアメリカやアジアとの関係、そして憲法改正から自衛隊の海外派遣まで、いまの日本を考えるうえで欠かせない基礎知識を、ひとつながりの見取り図としてやさしく提示する。中学生以上すべての人。
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学校の授業で読んだ(2016)。だいぶ忘れたけど、
福沢諭吉さんの学問のススメで「人の上に人を作らず、人の下に人を作らない」を読みながら、疑問があった。
平等であることを主張しながら、"立身出世できないのは勉強しなかった自分のせい"といっているのは論理的におかしくないかという。[頑張って立身出世した人>そうしなかった人] 人の上に人いないっていったんじゃないですか、、勉強したくても、貧しくてできない人に”自己責任"とかあまりにもひどいと思うけど.. 勉強して立身出世しようとするにもかかわらず、自分の能力で乗り越えられないハードルがある。根源的か社会構造の問題。それを見落としているのでは
脱亜論で、日本は外国人嫌悪(xenophobia)がすごくなったかもしれないとふと思ったことがある。よく分からないけど
ほかは忘れちゃった(笑)