闇の喇叭 (ミステリーYA!)

著者 :
  • 理論社
3.17
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本棚登録 : 382
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652086353

感想・レビュー・書評

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  • WW2後、南北に分断し、スパイが暗躍する「もう1つの日本」を舞台にした作品。
    こういう設定や世界観は好きなので面白そうだと思ったが、説明が細か過ぎて、無駄に多い。
    そのせいか、肝心のストーリーがイマイチ。設定も生かしきれていないように感じた。
    「ミステリーYA!」だから仕方ないのかもしれないが、下手に「青春」をいれず、「探偵」をメインにした方がよかったのではないか。

  •  全く架空の国とはいいつつ、モデルがどこの国であるかは明らか。探偵が犯罪になる国、推理小説が白い目で見られる国という設定は面白かったが、それを生かしきれていない感じもした。連続殺人はそれなりに練られたものだっただけに残念。それにしてもこの作品の日本はどこへいくのだろうか。

  • 歴史If...ってこれは某国じゃないか、とか思いながら。ただのミステリだと思うと怪我します。

  • 第二次世界大戦の終戦頃から別の歴史を歩んだ仮想日本を舞台にした物語。
    仮想世界の割にはそれ程分量を使わずに、上手く世界観を説明して話の世界への導入となっていたと思います。

    話全体としては、青春小説的な部分とミステリ部分がイマイチ上手く噛み合っていない印象でした。
    設定も最初の分岐までは兎も角、方言の禁止や探偵行為の禁止をした理由付けが説得力に欠けていて、首を捻っている間にも話は進みます。
    そして謎解きは唐突にあっさりと披露されます。
    青春小説的な部分も突然分断されて終わり。

    題名の闇の喇叭も章ごとに出てくる割には、本編では全然活かされず(予兆と言っているし、繰り返し出す程何を言いたいのかは分らないではないですが)、そちらを強調したいなら、もっと違う形で小説にした方が良いのでは、と思いました。

    有栖川有栖作品なら、普通のミステリが面白いしそちらを読みたいと思いました。
    (という訳で、早く学生アリスシリーズの新刊を!)

  • 太平洋戦争で3つの原爆を投下され、北海道と本州の2つの国に分断された架空の日本。私的な探偵行為を禁止された世界。
    有吉景以子、空閑純、小島由之の住む町で起きた身元の分からない全裸の男性の遺体。徴兵の検査にも記録がなく「北」のスパイの疑惑も・・・。ソラの憧れる3人の男性。福住運転手に隠された秘密。「北」のスパイを探ることを生きがいにした伊敷の死。ニューハーフの元タレントが起こした事件をきっかけに謎の男の正体が・・・・。
    ソラの父親の過去に隠された秘密。

     2011年2月11日読了

  • 第二次大戦で日本が南北に分断されたというパラレルワールドが舞台。
    北のスパイが暗躍し、徴兵制度があり、国家や警察権力が強く民間の探偵行為が禁じられているが、少子高齢化や地方過疎化などは現代日本と同じという設定。
    そんな世界の片田舎で身元不明の全裸死体が発見され、北のスパイではないかとも思われた。その後、町の住民の一人も死体で見つかって…
    高校生が主人公だが、社会が殺伐としているので全体的に重苦しい雰囲気。
    作者は探偵行為が禁じられている世界を描きたかったのか、現実を一部デフォルメしたような世界で現代社会に警鐘を鳴らすのにミステリの形を取っただけなのか。パラレルワールドの設定がいまいち生かされていないように思えた。続編が出るようなので、そのへんは今後に期待か。

  • 若い世代向けのレーベル、ということでだいぶ読みやすい仕上がりになってますが、世界設定やトリックなどはなかなかに凝っていて手抜き感は一切なし。しっかり楽しめた上に、これで終わるのはもったいない、と思わせてくれました。作者の言う「始まりの物語です」という言葉は続編アリを指すのか、どうか。あまりにも切ないラストだったので余計、気になります。
    後半、畳み掛けるように一気に話が収束していくので、あらあらっと思っているうちにすべての真相が出た、という感じだったのがミステリ的にシステマチックなような気もしましたが、コンパクトに収めるためには仕方ないかな、とも思います。
    世界設定にはわりと現代への皮肉が含まれていますね。外来語を使えない、というのは現代のあふれかえるカタカナ語への皮肉、とかわかりやすい感じがしました。東京の規制のことを考えると、「知恵を疎む国家」という図式がさほど違和感なく受け入れられます。絵空事ではないんだなと。考えすぎかもしれませんが。

  • 設定が秀逸で、状況がすんなり入ってくる筋道がしっかちある。トリックはなかなかイメージしにくいやや複雑なものだが、読後感はよく、クライマックスは止まらずに読み続けてしまうほど。

  • 戦後日本のパラレルワールドの中での、探偵の不遇とその存在意義を問うた意欲作。歴史観は人それぞれなので、こういった作品は自分、あまり好きになれませんでした。

  • 仮想世界の話としては、ありそうと思えて面白そう。
    と読んだけど、このレーベルとしてミステリー要素は
    ともかく、青春物としては物足りないかなー。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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