- Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751523827
感想・レビュー・書評
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どんなに人にいいように使われても、
悪魔に邪魔されても、
ただただ愚直に仕事をして
いいとも、いいとも、と来る人来る人を養ってあげる
馬鹿なイワンの話。
手や背中を使うより、
頭を使って仕事をするほうが
百倍も難しい、と言う悪魔に、
ほう?じゃ、お前さん、
お前さん自分自身でどうしてそんなに
自分を苦しめているんだね。
と尋ねるイワンの台詞が印象的でした。
考えすぎてしまうと、
人を憎んだり、欲深くなったり、
素直に人に優しくしてあげられなかったり。
グルグルと考えて考えて
勝手に死にそうになるよりも、
何も考えず馬鹿のように純粋に
人のために何かしてあげようとすること、
そういうことがいちばん必要で
大切なんだろうなあと思いました。
考えるのをやめるのは難しいんだけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作中で馬鹿だ馬鹿だと言われているイワンが、一番強く、賢く見えるのは私だけでしょうか。
文も短く、読みやすい物語調。
子どもの本棚にも入れてあげたい一冊。 -
時を経て再読。読み始めから終わりまで一気に読んでしまう面白さでした。初めて読んだ時は、よく分からなかった印象があります。哲学的な考え方を得ようと深読みし過ぎたためかもしれません。今回はフラットにするすると大変面白く読みました。思わず声をあげて笑ってしまうところも。こんなに面白かったのかイワンの馬鹿!次は小宮由さん訳でも読みたい。
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ずっと読もう読もうと思っていたけど、手に取ることがなかったトルストイ第一号読了本。
かなりわかりやすく、哲学的な内容が書かれていた。
イワンのような愚直でまじめで優しい人が、本当の幸せをつかむのだなぁ。
自分の子どもに、必ず読んでほしいと思った。 -
含蓄のある子供向けの民話と思って読んで、確かにその通りなのですが、最後の訳者の言葉、解説に代えて、そしてトルストイの年譜が良いです!
作品を知るには作者を知るところから、と聞いたことがありますが、トルストイ=戦争と平和、アンナ・カレーニナ、復活…と覚えましたが、どのような人生を過ごされて、民話にたどり着いたのか。
今回はその断片を見ただけなので、ちょっとこれは、もっと深く知りたい、と思わされました。 -
商人と軍人の兄達。末っ子のイワン。
悪魔達が彼らを破滅させようとするがイワンだけ馬鹿故に破滅しない。働き者。
最後悪魔の大将が頭を使え!と説教するが手にタコを作って働いてない者は相手にされない。
結末に大笑い。
悪魔の消え方が面白い。ポツーンと地面に穴が残るところ。好き。 -
2016/5/17
子どものとき違う訳者のものを持っていた。伊坂幸太郎氏の「サブマリン」を読んで再読したくなった。
「自分を愛するように、神と隣人を愛せ」という教えを信じたトルストイの名作。
馬鹿のイワンと欲張りな2人の兄。戦争とはなんなのか、お金ってなんなのか、考えさせられる。 -
少し長めの童話。馬鹿の定義の再考の機会。共産主義と資本主義の対立。トルストイが共産主義寄りだったことがうかがえるが、共産主義が共産主義としてやっていくには、トルストイが言うところの馬鹿でなければいけないのだろう。悪魔は資本主義の顕現かな?唖娘やイワンは馬鹿であるが、馬鹿とは純粋無垢であることの同義語であるように使われている。働く意味を考えさせられる。また、イワンの国では、金銭が人々の認識の上でしか価値がないことが如実であり、人類は物理的な価値しかない金銭では飯が食っていけない点で、資本主義の暗黙の了解の脆さを表している。