イワンの馬鹿 (トルストイの散歩道 2)

  • あすなろ書房
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751523827

感想・レビュー・書評

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  • どんなに人にいいように使われても、
    悪魔に邪魔されても、
    ただただ愚直に仕事をして
    いいとも、いいとも、と来る人来る人を養ってあげる
    馬鹿なイワンの話。

    手や背中を使うより、
    頭を使って仕事をするほうが
    百倍も難しい、と言う悪魔に、

    ほう?じゃ、お前さん、
    お前さん自分自身でどうしてそんなに
    自分を苦しめているんだね。

    と尋ねるイワンの台詞が印象的でした。

    考えすぎてしまうと、
    人を憎んだり、欲深くなったり、
    素直に人に優しくしてあげられなかったり。
    グルグルと考えて考えて
    勝手に死にそうになるよりも、
    何も考えず馬鹿のように純粋に
    人のために何かしてあげようとすること、
    そういうことがいちばん必要で
    大切なんだろうなあと思いました。

    考えるのをやめるのは難しいんだけど。

  • 作中で馬鹿だ馬鹿だと言われているイワンが、一番強く、賢く見えるのは私だけでしょうか。

    文も短く、読みやすい物語調。
    子どもの本棚にも入れてあげたい一冊。

  • 時を経て再読。読み始めから終わりまで一気に読んでしまう面白さでした。初めて読んだ時は、よく分からなかった印象があります。哲学的な考え方を得ようと深読みし過ぎたためかもしれません。今回はフラットにするすると大変面白く読みました。思わず声をあげて笑ってしまうところも。こんなに面白かったのかイワンの馬鹿!次は小宮由さん訳でも読みたい。

  • ずっと読もう読もうと思っていたけど、手に取ることがなかったトルストイ第一号読了本。
    かなりわかりやすく、哲学的な内容が書かれていた。
    イワンのような愚直でまじめで優しい人が、本当の幸せをつかむのだなぁ。
    自分の子どもに、必ず読んでほしいと思った。

  • 含蓄のある子供向けの民話と思って読んで、確かにその通りなのですが、最後の訳者の言葉、解説に代えて、そしてトルストイの年譜が良いです!
    作品を知るには作者を知るところから、と聞いたことがありますが、トルストイ=戦争と平和、アンナ・カレーニナ、復活…と覚えましたが、どのような人生を過ごされて、民話にたどり着いたのか。
    今回はその断片を見ただけなので、ちょっとこれは、もっと深く知りたい、と思わされました。

  • トルストイが子供向けに書いたかどうかは分かりませんが、大人が心して読むべき本だと思う。
    子どもの頃読み取れなかった作者の思いが、今、胸にしみます。

  • 筋肉少女帯の曲名や奥田民生が曲名(ワインのバカ)でパロディにしていて名前は知っていたけど、内容はまったく知らなかった。なんとなく外国の昔話かなと思っていた。ロシアの話だったんだね。

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    欲にまみれた兄ふたりは悪魔によって失脚するが、欲を持たず馬鹿正直者のイワンは悪魔の策略にひっかからず、生活を続ける。
    兵隊や金を手に入れて、一国の王になっても権力を使わず、自分で鍬を持ち、自分で食べるものを自分で作り続けるイワン。彼のもとには彼のような人間が集まる。
    頭ではなく、手を使って働く。手にたこのある者が食卓につく、という習慣がイワンの国にはある。

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    働かざる者食うべからず、という考え方の教科書みたいなお話だった。勉強になった。

    欲望に動かされない。権力やお金に惑わされない。相手が暴力をふるおうとも自分は無抵抗。ただただ自分の生活を続ける。そうした生活を続けていればきっといいことがある、という感じかな。宮沢賢治みたいで素敵だと思うけど、実際には難しい。
    美味しいものを食べたり、好きな本やCDを買うのって楽しい。欲求無しで生きるなんて自分には無理だなあ。
    馬鹿正直に人を信じて生きる。理想郷の世界だけど、自分がその境地に立つことは絶対ない。言い切れるくらいに欲にまみれてる。こんな自分は、悪魔に目をつけられたらすぐに悲惨な人生になってしまう。

    この「トルストイの散歩道」シリーズ、他の本も面白そうだからもっと読んでみたい。

  • 商人と軍人の兄達。末っ子のイワン。
    悪魔達が彼らを破滅させようとするがイワンだけ馬鹿故に破滅しない。働き者。
    最後悪魔の大将が頭を使え!と説教するが手にタコを作って働いてない者は相手にされない。
    結末に大笑い。
    悪魔の消え方が面白い。ポツーンと地面に穴が残るところ。好き。

  • 2016/5/17

    子どものとき違う訳者のものを持っていた。伊坂幸太郎氏の「サブマリン」を読んで再読したくなった。
    「自分を愛するように、神と隣人を愛せ」という教えを信じたトルストイの名作。
    馬鹿のイワンと欲張りな2人の兄。戦争とはなんなのか、お金ってなんなのか、考えさせられる。

  • 少し長めの童話。馬鹿の定義の再考の機会。共産主義と資本主義の対立。トルストイが共産主義寄りだったことがうかがえるが、共産主義が共産主義としてやっていくには、トルストイが言うところの馬鹿でなければいけないのだろう。悪魔は資本主義の顕現かな?唖娘やイワンは馬鹿であるが、馬鹿とは純粋無垢であることの同義語であるように使われている。働く意味を考えさせられる。また、イワンの国では、金銭が人々の認識の上でしか価値がないことが如実であり、人類は物理的な価値しかない金銭では飯が食っていけない点で、資本主義の暗黙の了解の脆さを表している。

著者プロフィール

19世紀のロシアを代表する小説家、思想家。ロシア・ヤースナヤ・ポリャーナに伯爵家の四男として生まれる。非暴力主義の思想のもと、文学のみならず、政治や社会にも大きな影響を与え、また、自ら教科書を執筆・編集し、教育にも力を注いだ。代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など。『イワンの馬鹿』は、1876年(トルストイ56歳)の作品。

「2020年 『イワンの馬鹿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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