- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751526118
感想・レビュー・書評
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これは中高生向けに書かれた本。すらすら読める。真のアメリカの歴史と姿を知りたい人どうぞ。米国内で子どもに読ませるなという批判があったと前書きに書いてあるがコロンブスがヒーローだなんて皆思ってないから。
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米国近代史を簡潔に追える入門書。「アメリカ万歳」ではなく、英雄礼賛ではないので読みやすく、納得感がある。
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植民地アメリカ 黒人の反乱よりもっと大きな恐怖 不満な白人が黒人と組んで社会秩序をひっくり返すのではないかということ
1676 植民地バージニア ベーコンの反乱 母国イギリスに抵抗するための蜂起ではない 社会的地位の低い者たちが結束 ナサニエルベーコン 【人民の宣言」
黒人奴隷と貧困白人の団結を阻むために利用された人種差別
トマス・ジェファーソン 独立宣言 インディアン、黒人奴隷、女性は含まれず
インディアンとの約束をことごとく反故にした -
愛国心とは、現政権に異を唱えることでもある。
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この10年間、学校で習ってきた所謂「勝者側が作成して正統であると記録に残っている歴史」以外にも、反対サイドから見た歴史や、本当はどうであったかを考察する本を読むことで、本当の姿が少しずつ分かってきたような気がします。
競争状態から一歩抜け出すまでには、全て綺麗事だけでは済ませられないだろうし、その部分はあまり記録に残したくない気持ちも分かります。私は、本当の歴史を知ることで、当時の人々(主にリーダ)がいかに苦労してきたかを知り、それを自分の歴史にも活用できればよいなと考えています。
さて、この本はアメリカ人によって書かれた「本当のアメリカの歴史」と題して、アメリカがイギリスから独立する前後について等、私が興味のあった部分についても詳しく書かれています。
アメリカが発展した原動力は何であったか、また現在問題となっている格差の問題の起源はどこまで遡ることができるかについて、私なりに考えさせられた本でした。
以下は気になったポイントです。
・16世紀に活躍したスペイン人聖職者で歴史家のカサスは、バハマ諸島のインディアンに対するコロンブスの暴力行為をはじめて告発した人物、このような素晴らしい人は、他には、当時の大統領に反対したマーク・トウェインやヘレンケラーがあげられる(p9)
・黄金と香辛料を持ち帰れば、コロンブスは利益の10%をもらえる約束になっていた、さらに新たに見つけた土地の総督としての地位と、大洋提督の称号も与えられるはずであった(p13)
・コロンブスの部下であるロドリゴは最初に陸地を見つけたが、コロンブスがその前夜に灯りを見たと主張して、報酬を横取りした(p14)
・ハイチには25万人のアラワク族がいたが、2年後には殺されたり自決したりして半分になった、その後、奴隷として働かされて、1550年には500人、その100年後に全滅した(p18)
・1607年にバージニアに最初に入植した500人は、1609年の食糧不足により生き残ったのは50人となった(p23)
・1622年から、インディアンとイギリス人入植者との全面戦争が始まる、彼らが共存できなくなったp24)
・コロンブス以前には、南北アメリカ大陸には、7500万人のインディアン(何百もの部族文化、2000もの言語)がいた、土地は個人のものではなく共同体全体のものという概念を持っていた(p25)
・1619年までに、100万人の黒人が南アメリカ・カリブ海諸島にアフリカから運ばれてきた、奴隷貿易は、コロンブスのアメリカ到着前の50年も前に、10人のアフリカ人がポルトガルへ連れてこられた時から始まった、アメリカへは1619年から(p31
・アフリカ文明(マリ帝国等)は、ヨーロッパ文明と同じくらい進歩していた、1億人からなる文明で鉄製の道具、農耕・織物・陶器づくり・彫刻に秀でていた(p31)
・とらえられた黒人は海岸までに40%程度、航海中に3分の1が死亡したが、それでも奴隷貿易は儲かった(p33)
・奴隷貿易をさかんに行ったのはオランダ人で、次がイギリス人、そしてニューイングランド入植者、入植者による奴隷船第一号は1637年、1800年までに1000-1500万人もの黒人が南北大陸へ運ばれた、総計で5000万人が連れ去られて死亡か奴隷にされた(p33)
・1700年のバージニアにおける奴隷の数は6000人で植民地人口の12分の1であったが、1763年には17万人で半分までになった(p35)
・1705年に、バージニア議会は年季を終えた白人奉公人に、主人は金銭とトウモロコシを与えるべしという法律を定めて、奉公人であった白人と黒人奴隷が一緒になって主人にはむかう可能性が減った(p38)
・北アメリカへわたってきた者の半分は奉公人、17世紀にはイギリス人であったが、18世紀になるとアイルランド、ドイツ人となった、彼らは自分が逃亡中の奉公人でも奴隷でもないことを書類で証明する必要があった(p48)
・1770年のボストンでは、人口1%が富の44%を独占していた(p50)
・1760年代までに、北アメリカ植民地を支配するイギリス人が恐れるものは、インディアンからの敵意・奴隷暴動・貧困白人からの恐怖があった、そこで貧困白人とインディアンを戦わせることで自分たちへの恐怖を和らげようとした(p53)
・白人と黒人が手を組むのを阻止するための方法として、人種差別主義が使われた(p54)
・奴隷制と社会的不平等を維持したままで、上流階級と中産階級の白人を団結させるための道具として「自由と平等」という合言葉を見つけた(p55)
・1765年にイギリスが印紙税法を成立させた、これは7年戦争にかかったイギリスの戦費を賄うため(p61)
・イギリスのボストン茶会事件への回答として、ボストン港の閉鎖・植民地政府からの権限取り上げ、軍隊派遣であった(p64)
・アメリカの独立宣言の呼びかけ対象者には、インディアン、黒人奴隷、そして女性は含まれていない(p68)
・7年戦争でイギリスに敗北したフランスは、復讐のためアメリカに味方することを承知した、当初イギリス軍は勝利を重ねたが、フランスからの多数の援軍、フランス海軍の補給線封鎖のおかげでアメリカが勝利した(p73)
・1836年、テキサスがアメリカの助勢を得て、メキシコから独立して「孤独なる星の共和国」と名乗った、ついて1854年に連邦議会はテキサスをアメリカ合衆国へ編入した(p117)
・1848年メキシコとアメリカは条約を結び、南西部全域とカリフォルニアを譲渡された、引き替えに1500万ドル払ったので購入したことになっている(p127)
・アメリカ南部の綿花生産量は、1790年の0.1万トンから70年後には100万トンになった、奴隷は50→400万人になっていて奴隷制は南部経済を支えていた(p130)
・リンカーンの考えていたことは、奴隷制廃止により奴隷を解放してアフリカへ送り返すことであった(p136)
・1860年にリンカーンが16代大統領に選ばれると、7つの南部諸州がアメリカ合衆国連邦から脱退した、脱退したサウスカロライナ州を奪い返そうとしたときに、更に4つの州が抜けて南部11州はアメリカ南部連合を結成して南北戦争が勃発した。南北戦争は総人口3000万人のうち、60万人が死亡した(p137、139)
・奴隷制廃止により政治に新たな諸勢力が招かれた、人種的平等を実現しようとする白人・自由を確固たるものにしようとする黒人・共和党(北部の事業家と南部の黒人票を期待)であった(p140)
・南部全州では、1900年までに黒人から選挙権をはく奪して、不平等に扱うことを認める法律が制定された(p143)
・19世紀に台頭して裕福になった者として、JPモーガン(銀行)、ロックフェラー(石油)、カーネギー(鉄鋼)、メロンやグールド(財政家)がいる、彼等は政府と裁判所の助けを借りて巨万の富を築いた、エジソンは自分に有利な法律を制定してもらう代わりに政治家に賄賂を贈っている(p162)
・ロックフェラーは鉄道会社との秘密協定があった、安い運賃を示してくれたら運送は任せるというもの、自分の懐を痛めることなく安く石油を売れるようになりライバルを追い出した(p163)
・1899年に米西戦争が起きた、スペインは3か月で撤退、アメリカ兵は5500人が命を落としたが、戦闘で死んだのはわずか379人で残りは食中毒(腐敗肉を着色していた)であった(p178)
2013年1月20日作成 -
私たちが知っているアメリカの歴史だけでなく、知らない部分も、教えてくれて、アメリカに対する認識を広げてくれて、今の状況を理解するのに役立つ。
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インディアンは大量に殺害された。ひどいものだった。
金が出ないとわかると奴隷にされた。
インディアンでも白人入植者でもない人間が必要で黒人を連れてきた。
アメリカ独立戦争では強力なインディアンのほとんどがイギリスに味方した。イギリスが負ければアメリカ人を押しとどめ置くことはもはや不可能だろうと考えていた。
ルーズベルトはアメリカには戦争が必要だと考えていた。あらゆる戦争を歓迎し、介入していった。
資本主義はつねにさらなる市場を求めている。 -
・コロンブス以来、独立戦争、南北戦争そしてキューバをめぐるスペインとの戦争まで(つまり19世紀まで)を対象とした上巻。アメリカという大国が出来上がっていくまでの創世記を、宗主国イギリスを想う者、独立を願う者、奴隷としてつれてこられた白人、先住民族インディアン、そして不平等な扱いに苦しんだ女性といった異なる人々の争いと葛藤の歴史として描いている。
・血なまぐさい闘争の歴史をどちらかといえばネガティブなトーンで書いている。これが果たして真実なのか、誇張なのか、自分には他に知識が無さ過ぎて分からない。歴史は見る立場によって、同じ史実も違ったように見える、ということかもしれない。
・少なくともこの本から分かるのはアメリカは筋金入りの格差社会だということ。人々もそれを是認してきた向きもある。そういう意味では昨今の米国内での格差是正を求めるデモも、遅きに失しているようにも感じる。