おろか者たち (中学生までに読んでおきたい哲学 4)

制作 : 松田 哲夫  南 伸坊/案内人 
  • あすなろ書房
3.75
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本棚登録 : 117
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751527245

作品紹介・あらすじ

おろか者とは?おろかな考えとは?考える楽しみに満ちた21編の味わい深い文章を収録。山口瞳「すみません」、中島らも「怒る子は育つ」、佐野洋子「虹を見ながら死ね」他。

感想・レビュー・書評

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  • 人間の本性としての狂気や虚飾といった意味と、大人の不条理といった権威的な意味の「おろかさ」が登場する。

    個人的には米原万里「言葉は誰のものか」と、井上ひさし「日本語は七通りの虹の色」の、言葉に注目した二編が良かった。

    米原万里の方は、言葉狩りを扱った内容で、五つの記事(の中にホンモノは二つ)を取り上げている。
    玉突きに対するビリヤード協会のクレーム
    油を売るに対する石油連盟のクレーム
    将棋倒しに対する将棋連盟のクレーム
    お茶を挽くに対する茶の湯文化普及会のクレーム
    お灸を据えるに対するはり・灸・あん摩マッサージ指圧師会のクレーム

    さて、どれがホンモノでしょう?
    ……面白すぎるだろ。

    井上ひさしの方は、カタカナが「まめがな」といわれ、漢字や平仮名とくらべて一段身分の低い音声符号として使われてきた、という文言にそうなの?と感じた。

    擬態語や擬声語がカタカナで用いられるのも、ことばとして幼稚だと思われていることが原因らしい。

    仏典などにはカタカナが主に用いられていて、権威は高かった?という本を何かで読んだ気がしたのだけど、出典が思い出せないので、以下略。

  • 食べたものを戻すのがもったいない!
    と、自分の首をしめて結局死んでしまった老婆や、
    父が危篤状態だというのに遺産の話ばっかりで、
    結局自滅しるハメになってしまった兄妹の話など、
    ふっ。
    自分の後ろに並んでゆく、
    おろかな人間達の姿は何故か笑える。

    でも、そこに登場したのが太宰治。
    「お前は、もっと後ろだろ?」
    えぇぇぇぇぇーっ??

    欲張り老婆や親不孝兄妹が、ニヤニヤ笑って
    私を見てる。
    そんな、そんなぁ~っ…トホホ。

    愚かしい男の生涯を綴ったその物語は
    『吉野山』
    ちょっとした事で仲間からバカにされた若旦那が
    単なる意地で出家してしまう。
    出家する人は(良寛さんのイメージ)悟りを開き、その境地に達しているはずなのに、勢いで頭を丸めてしまったものだから、こんな暮らしは耐えられない。
    どこまでも、その場しのぎで逃げよう、逃げようとしている者こそ救われないのだ。

    やば。この男の事は笑えないかも。
    すごすご後ろに並ぶしかない私。トホホ…

  • 哲学って面白い

  • 中学生を過ぎたが読んでみる。人間の愚かさを描いたエッセイの集まり。共感、理解はできるのだが、ここから何を教訓にすれば良いか?という読後感。まだ自分には咀嚼ができていないようだ。

  • 哲学

  • この巻はエッセイが多かった。
    いろんな生き方があって良いと思うけど、遅刻することや掃除をサボることは、他人に迷惑をかけることになるし、どうしても迷惑をかけなくてはならない部分に該当するわけでもないから、そういう人がいてもいいじゃんって意見には賛同できませんでした。
    河合隼雄さんのお話がわかりやすくて良かったな!

  • 【収録作品】
    夢野久作 …… 「一ぷく三杯」 
    結城昌治 …… 「遺産」
    堀田善衛 …… 「これはなんだ?」
    山口 瞳 …… 「すみません」
    米原万里 …… 「言葉は誰のものか?」
    井上ひさし …… 「日本語は七通りの虹の色」
    中島 敦 …… 「文字禍」
    松田道雄 …… 「だめな人間なんていない」
    梅棹忠夫 …… 「遅刻論」
    森 毅  …… 「やさしさの時代に」
    河合隼雄 …… 「『明るく元気に』病/ズル」
    中島らも…… 「怒る子は育つ」
    岡本太郎…… 「不当への憤り――子供対大人」
    湯川秀樹…… 「痴人の夢」
    渡辺一夫…… 「狂気について」
    太宰治…… 「吉野山」
    吉行淳之介 …… 「病気の愉しみ」
    三島由紀夫…… 「虚栄について」
    佐野洋子…… 「虹を見ながら死ね」
    色川武大 …… 「男らしい男がいた」
    林家正蔵…… 「首提灯」

    「これはなんだ?」と「言葉は誰のものか?」にとても共感。
    自分が日頃感じている違和感に対する答えが言語化されていた。

  • 新聞広告などで、ずっと気になっていた「中学生までに読んでおきたい哲学」シリーズ。
    今回は初めてですが、第四巻の「おろか者たち」を読んでみました。
    文学全集のようなものですから、基本的には短編集。小説、随筆、エッセイありで、非常に読みやすくなっています。
    哲学、と銘打っていることから、心惹かれたこともありますが、若干中途半端なセレクションになっている感じもありました。深く掘り下げたい作品もいくつかありましたが、沢山並んでいるのでどうしても中途半端に・・・きっと、全集として手元に置いておき、思い立った時に読み直すべき作品集なのでしょう。
    ただ、作品として、夢野久作、結城昌治、山口瞳、井上ひさし、中島敦、森穀、中島らも、湯川秀樹、渡辺一夫、太宰治、三島由紀夫、色川武大・・・と並べば、どんな作品なのか、興味が沸いてきますよね!このセレクション力はすごいと思います!!

  • 夢野久作     一ぷく三杯
    結城昌治     遺産
    山口瞳      すみません
    堀田善衞     これはなんだ?
    米原万里     言葉は誰のものか?
    井上ひさし    日本語は七通りの虹の色
    中島敦      文字禍
    松田道雄    だめな人間なんていない
    梅棹忠夫    遅刻論
    森毅       やさしさの時代に
    河合隼雄    「明るく元気に」病/ズル
    中島らも     怒る子は育つ
    岡本太郎    不当への憤りー子供対大人
    湯川秀樹    痴人の夢
    渡辺一夫    狂気について
    太宰治      吉野山
    吉行淳之介   病気の愉しみ
    三島由紀夫   虚栄について
    佐野洋子    虹を見ながら死ね
    色川武大    男らしい男がいた
    林家正蔵    首提灯 飯島友治編

  • 編集能力のある方の選書。

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