「意識」を語る

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757160170

感想・レビュー・書評

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  • 意識って何?っていうテーマの質問に研究者が答えたインタビュー集。
    結論から言うと意識って結局なによ?という読後感が味わえます(笑)
    なぜって、もちろんまだまだ発展途上の分野だからしょうがないのだろうけど、科学者ですら言っていることの半分くらいは憶測。その憶測も素人でもそれはどうなのよ?という意見もあったりだし。
    とはいえ、意識や脳の機能に関する実験の話なんかも出てくるし、読んで得るものはある。

    デネットが「哲学は、どんな質問を尋ねるべきかまだわからないときにやることだよ」といってるが、この分野はまだまだ哲学が必要なのかもしれない。

  • 「意識を語る」Susan Blackmore

    脳が学ぶ事全ての中で最も重要なのは他者の心や他人を見抜く方法

    1918年当時のイギリスの一流遺伝学者の一人は、化学では遺伝子を説明する事なんてできないと言っていた。

    意識、原意識のようなものが、宇宙にとって根本的な存在。-Stuart Hameroff

    クオリアは量子化されている時空間レベルにおいて、宇宙を構成する時空間幾何の根本的な粒子性のパターンとして埋め込まれている。-Stuart Hameroff

    日常の古典的世界は、微視的な細部から意識される一瞬ごとに派生している。-Stuart Hameroff

    脳もクオリアを根本的レベルでアクセスできるが、それができるのはある特殊な量子プロセスだけ。-Stuart Hameroff

    ニューロン内部の微小管の中で起こっている量子計算は、毎秒40回収縮の閾値に達し、これが脳に存在する40ヘルツのガンマ線と一致する。そしてそれぞれの還元の結果は、量子計算の結果で、シュレーディンガー方程式に従う決定論。
    だが、収縮の瞬間にロジャーの非計算的な影響で時空間幾何の微小な粒度により、選択にちょっと影響を与える。選択は、決定論的な量子計算と非計算的な影響の両方の結果となり、これが自由意志。-Stuart Hameroff

    非決定的な影響の中で決定論的なプロセスを実施するという体験が自由意志と呼ばれるもの。-Stuart Hameroff

    セロトニンや幻覚剤等の精神活性的な神経送信物質は非常に高いエネルギー量子状態を持っており、それを神経細胞のレセプターや微小管に伝える。トランス状態は量子無意識相にもっと入り込んだ時に生じる。-Stuart Hameroff

    夢は量子情報-Stuart Hameroff

    量子コヒーレンスと量子絡み合いは生命の不可欠な要素。-Stuart Hameroff

    人間は宇宙と結びついている。

    意識は、量子世界と古典世界との縁で踊っており、叡智の量子無意識世界に触れるとその分だけ幸せになる。-Stuart Hameroff

    死で微小管の量子コヒーレンスが失われると、頭の中のプランクスケールの量子情報も宇宙のプランクスケール全体に放出され、漏れ出す。存命中に意識や無意識を構成していた量子情報は、量子絡み合いの為に完全には放出されない。量子重ね合わせ状態に止まり、量子的な状態還元や収縮を起こさないので、無意識のような夢のような状態になる。-Stuart Hameroff

    プランクスケールでの宇宙は非局所的なので、それはホログラフ的に永遠に存在し続ける。-Stuart Hameroff

    死や悟りのメタファー。我々が個々の雪の粒で個別の結晶形態を持っているとして、その一粒が海に落ちようとするとき、雪粒は何を恐れるだろうか?

    視覚環境の一部の面に関するあなたの疑問に対応するもの以外に「見る」というのは存在しない。
    自問している事以外、あなたは何も見ていない。

    ゲーテルの理論は我々が単なる計算的存在じゃない事を告げている。

    他の可能性をすべて排除したら、残ったものがどんなに有り得なさそうでもそれが事実に違いない。

    現象学と神経学を統合した神経現象学

    何かをやったという感覚は、実際にやったから生じるのではなく、何かを考えてそれが起こるまでに短いギャップがあるから生じる。エージェント(行為者)の感覚はごまかせる。

    意識の解明には物理学の革命が必要。-ハメロフとペンローズ

  • 原題:Conversations on consciousness: What the Best Minds Think About the Brain, Free Will, And What It Means to Be Human (2005)
    著者:Susan J. Blackmore(1951-)
    訳者:山形浩生、守岡桜


    【内容紹介】
    発売日:2009.02.23
    定価:2,376円
    サイズ:四六判
    ISBNコード:978-4-7571-6017-0

    人間とは何か。クオリア、自由意思は本当にあるのか。チャーマーズ、クリック、デネット、ペンローズ、ラマチャンドラン、ヴァレラ……超大物たちにブラックモアが挑んだ画期的な対談集。めったに聞けない大家たちの意外な本音も満載!
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001944

    【目次】
    目次 [003]
    謝辞 [004]
    序文  [005-023]

    ネッド・ブロック 「機能主義に反駁したいと思ってるんです」 025

    デイヴィッド・チャーマーズ 「ぼくには意識があるけれど、あいつはただのゾンビだ」 043

    パトリシア & ポール・チャーチランド 「赤さという視覚は特定の活性パターンなんだ」「脳は原因となる機械なのよ」 063

    フランシス・クリック 「人はニューロンの束でしかないよ」 085

    ダニエル・デネット 「意識についての直感は捨てなきゃいかんよ」 101

    スーザン・グリーンフィールド 「本当に大きな問題が見過ごしになっていると、本当にいらいらするんです」 121

    リチャード・グレゴリー 「科学なんざギャップだらけですよ」 139

    スチュワート・ハメロフ 「意識は微小管の中の量子コヒーレンスなんです」 155

    クリストフ・コッホ 「なぜ痛みは痛いのか」 169

    スティーブン・ラバージ 「明晰夢は悟りのメタファーなんです」 185

    ケヴィン・オレーガン 「そこに何があるのか考えるまで、そこには何もない」 203

    ロジャー・ペンローズ 「本当の理解とは計算の外にあるものなんです」 221

    ヴィラヤヌル・ラマチャンドラン 「人はシヴァの踊りの一部。消されてしまう小さな魂ではありません」 239

    ジョン・サール 「中国語は一言もわからない」 255

    フランシスコ・ヴァレラ 「我々は意識について無知で、ガリレオ以前の人が空を見ているのと同じです」 275

    ダニエル・ウェグナー 「シロクマのことを考えるな」 291

    訳者解説(二〇〇九年一月 プノンペン/東京にて 訳者代表 山形浩生) [309-328]
    用語集 [i-xii]

  • 『意識とは何か』という題材について、世界の第一線で活躍する研究者が四方山的に話したものがまとめられた本。

    統一見解の不在が意識の難しさと面白さを感じさせてくれ、形式ばらない会話の記録は機知を感じさせてくれる。

    前提知識がなくとも雰囲気は掴めるので、21世紀の難問のひとつに挑みたい人の入門書としておすすめしたい。

  • 「意識」に絡むのって、科学者だけじゃなくて哲学者もいるのね…各人言いたい放題で、全然結論めいたまとめは敢えてなされていませんが、それが現在の状況なんだろうなあと思う。知らない人もいたので、ぼちぼちと著作にあたってみたいと思う。

  • 既に多くの指摘があるように、訳がまずい。指摘を受ければweb上で修正していきます、とかいってもすでに本を手にとった人はひとまず本で読む訳だし、最低限の品質は求めたい。
    そんなこんなで、読みはじめは薄ぼんやりとした話にしか見えないが、そのうち問題となっているテーマ(恥ずかしながら何が問題なのかを理解するのにも時間がかかった)や独特の会話にも慣れてきて、もう少しこの分野の本を読んでみたくなった。そういう意味で導入のための本としては基準をクリアしているのだろう。
    読んだ感想として、頭のいいゴリゴリの合理主義者である訳者なんかにとって、機能主義以外の解は非常に文学的な≒頭の悪い答えにみえるのだろうと想像するが、評者も含めて頭の悪い大多数は直感的に「自由意志はない」なんていう珍妙な答えは意味不明であり忌避しがち。大体他の議論でも世の中そのような構図になっている。合理主義者はいつも少数派なのだ。

  • とっても面白かった。ラマチャンドランとかハードプロブレムとかユーザーイリュージョンとかNCとかちゃーまーすとかがひっかかるなら刺激になる一冊。クオリアの説明のところで、全部がインタラクションなんだってのは新しかった。あとペンローズに対して微小管?ぷっみたいな冷やかし具合とか。こんな本を読むと現在の自分の意識に対する見解を結構自由に言える気がしてきた。それで言ってみると、意識は自分が意識だと思うプログラム。このプログラムが自発的に生成されるというところがみそ。この発生過程は生まれてからモノごごろつくまでの過程で作成される。この時に、ハードな始まり、boot upが存在しないところが重要な気がする。

  • 学者? ライター?
    スーザン・ブラックモアによる
    「意識」についての著名な学者たちとの対談集。

    いや、対談とは言わないんだろうなぁ。
    テープを持っていって録音して、という生々しい
    やりとりの記録というか。
    著者いわく「できるかぎり実際のやりとりに近づけた」
    ということである。

    どのやりとりをとってみても、実にばらばらである。
    もちろん、著者は論点を絞るようにしているし、
    出てくる人物名や考え方もある程度の共通性は出てくるものの、
    最終的にそれぞれの議論になにがしかのまとまりや
    決着があるというわけではない。

    科学がこれほどに色々な疑問を明らかにしてきた、
    あるいはしつつある中においても、
    意識の問題というのは、それを解明しようとか、
    あるいはどう問いを立てようとかいう以前に、
    なんとも混迷の域にあるなぁと感じる。

    ともすると、科学に対して批判的な人々からしてみると、
    科学が明確に切り込みきれていないあたりで、
    この意識の問題はひとつの防衛線なのかもしれない、と
    思ったりする。

    個人的に、著者とクリストフ・コッホのやりとりが好き。

     クリストフ「何の権利があってかれら(生き物)を殺せるね?」
     著者「肉は食べますか?」
     クリストフ「(ため息)うん。」
     著者「むずかしい問題よね?」
     クリストフ「そうです。あまり食べないようにしているけれど、
           とにかくうまいからなぁ。」

    爆笑した。
    そうなんだよね、
    妥当だと思える自分の中でのロジックの積み重ねを超越したところから
    たとえば味覚みたいなものは自分を導くような感じがして、
    それがたとえば客観で主観を語る難しさみたいなところとも
    繋がるような気がする。

    なんか、本書を読んでいると、
    自分の悩みがちっぽけなものに思える、どころではなくて、
    自分の悩みっていったいそもそもなによ? っていう
    また別次元のぬかるみに踏み込んだような悩みを
    持ってしまう(笑)。

    しかしそれでもなお、本書は著者と対談者たちの持つ
    思考の鋭さ、豊かさに身をゆだねようとする中で、
    なにがしかの救いもあるような気がするが、
    それはそう思いたいだけかもしれないな。

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