- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758410861
感想・レビュー・書評
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石田衣良、井上荒野、大島真寿美、角田光代、橋本紡など
人気作家11人の作品を集めたアンソロジー。
まずは、『大人の片想い』ではなく『オトナの片想い』としたタイトルがいい♪
子どもだなんて、口が裂けても言えない歳だけれど
自分が子どもの頃に想像していたような、洗練された大人にはほど遠くて
中途半端なところをうろうろしながら恋をしている雰囲気に
「オトナ」というカタカナ書きがぴったりで。
そして、この美しい装幀。
「片想い」とひと括りにしてはいるけれど、
いろんな色や、かたちや、肌触りがあるんだよ、と静かに主張しているような。
30過ぎても、恋に落ちると、決まってお腹を壊す女性。
ソファの上で自分だけが知る心地のいいくぼみを探してぐるぐる回る猫のように
恋を失っても、もう一度私だけの場所を探すのだ、とひたすら前向きな女性。
離婚後、初めて便座カバーの取りつけに挑戦してあえなく敗退し、
「俺はもう便座カバーなしで生きていくよ」と宣言しながらも、
別れた妻が好きでたまらなくて、離婚届を一緒に出しに行く時でさえ
彼女に会える♪と胸をときめかせる男性。
大人じゃなくて「オトナ」と銘打ってはいても、
そこはやっぱりほろ苦いお話が並んでいるんだろうな、という予想を裏切って
ほのぼのと心温まる読後感を味わわせてくれる作品が多いのがうれしい。
特に、いつも奇想天外な設定で驚かせてくれる三崎亜紀さんの『Enak!』。
淡々とストーリーが進むので、「おお?珍しくふつうのラブストーリー?!」と思ったら
ちゃんと「影無き者」という三崎さんらしい設定が登場してくるのだけれど、
そんなトンデモ設定があってこその結末が、とても素敵です♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2つの作品以外はどれもとてもよかった。
私は異性同士の恋愛モノは三島の『潮騒』しか受け付けないなーと思っていたのだけど、これはよかった。まさに「オトナの片思い」という、若気の至り感がなく、理性的な人物が主人公なところと、他者を想う行為こそ「愛」なのだと美輪さんから学んだ私に、しっくりくる、むしろじゅわ〜っとくる作品集だった。
三崎亜記は高校生の頃にハマった作家なのだけど、この中の作品読んで、やっぱり三崎ワールド好きだわ〜と思った。ご無沙汰している三崎作品を再び読もうと思う。 -
30歳になってわかったこと
40歳になってわかったこと
でも10代の頃のように、小さな食堂で出会った若い男の子にもう一度ドキドキする主人公。
春の早朝。「大人の恋」を肯定し、空に吸い込まれていくような笑い声を残して終わるラストシーンが心に残っています。
『わか葉の恋』角田光代
「Enak!(エナ)」 -
その先まで行ったら、もう前の状態では居られない・・
もしかしたら、幸せが待っているかもしれないけど、
あえてその先には進みません!
経験上からそのラインを見極める主人公たち。
40歳以上なら、楽しめると思います。 -
十一人の小説家が描く文字通り「いい年したオトナの片思い」
うーん、面白かったー。アンソロジーってあんまり期待していないんだけどこれは予想外によかったです。すごく共感できる話がいろいろ・・
特によかったのは大島真須美さんの「小さな誇り」、山田あかねさんの「やさしい背中」(身体の線を浮き立たせる姿が男をひきつける年齢はもう過ぎているのだ・・という表現がリアル)
そして圧倒的によかったのが角田光代さんの「わか葉の恋」・・・角田さんの言うように30代以上になると「ひとりご飯」が増え、だんだんそれが気にならなくなってくることがトシとることかもしれない。
角田さん特有の男と女のごたごたした関係をとりまぜながら、42歳の女性の年下男性へのプラトニックラブを丁寧につづる。
「20代の私が今の私を見たら、さみしい女だって言うかもしれないけど、私は別にさみしくもなんともないな。楽ちん」・・前へすすもうとしない「オトナの恋愛」の極意。
角田光代さんいいなあと実感した一冊でもありました。そのうち作家読みしてみよう。
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もう恋する年齢ではないけど、好きな人ができると、顔見るだけで幸せだし、話せたら、後から何回め思い出して喜んだり、そんなトキメキを思い出させてくれます‼️
1番好きなのは、「わか葉の恋」
次が、「やさしい背中」かな。 -
11人それぞれの小説、どれも良かった。
初めて読む作者もいて他の作品への興味が湧いた。
20代のわたしには少し早かったかな?共鳴できない部分もあったが、それはそれで良いと感じた。
切ない恋ばかり。
([からし][ゆっくりさよなら]がお気に入り!) -
伊藤たかみ
大島真寿美
橋本紡
movaとかFOMAとかでてくると「ガラケー」なんていってなかった10年前の出版と気づく。 -
約十年前の書籍だけど、全然古さは感じない。。。
アンソロジーてヤッパリ良いなぁ!と思わせる作品でした(*´ω`*)♡
料理通信?へ寄稿されたエッセイ?短編?ばかりのアンソロジーですので、全てに何かしら食べ物飲み物がでてきます。
読んでて飲み食いしたくなる書籍てのは、なかなかかなり良い感じ(=´∀`)人(´∀`=) -
タイトル通り大人の片思いを題材にした11人の作家によるオムニバス
最初(石田衣良)と最後(角田光代)はやっぱりよかったけど、
でも今回のダントツは三崎亜記でした。設定も展開もいい。
後はどれもちょっとせつなくはなるけど、まぁ同じ感じ
当たり外れ激しいのがオムニバスならではです
食べ物の描写多いなぁと思ったら料理の雑誌に連載されてたのね〜