れんげ荘

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.50
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本棚登録 : 1142
感想 : 168
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411356

感想・レビュー・書評

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  • 45歳にしてリタイア生活を始めた主人公のキョウコはボロアパートで月10万の生活を始めます。トイレ共同シャワーのみの、吹けば壊れるボロアパートですが、昭和レトロでなんとなく素敵な感じです。全てが嫌になり何もしない生活を選んだはずですが、そこでも迷ったり焦ったり。キョウコの気持ちが共感できて、群さんはそんななんの特技もない普通の人を描くことに長けているなと思いました。物はなくとも小さな幸せを見つけて生きることが、逆に豊かなのではないかと気付かせてくれる小説です。

  • これまでの生活に区切りをつけて「すみれ荘」という3万円のアパートで生活することに。いろんな人間模様もみれてとても楽しかった!

  • 読了感としてあるのは憧れ。今は隣に住む人と挨拶すらしないし、どんな人かもわからない。それが当たり前なのに一昔前には普通にあったご近所さん感がいまなら羨ましくさえある。
    ボロアパートだから色々不都合ながらもそこで終わらずひと工夫しながら暮らしを楽しんでいる。これこそが暮らしであり暮らすことといえるんだと思う。だから羨ましい。
    お隣さんが何してるかわかるような薄さの家でも嫌な気持ちにならずくすっと出来るなんてまずない。
    キョウコの母親は少し難ありな気もするが、それに囚われずキョウコ自身も一区切りつけてちゃんと離れる。毒親っぽくもありながら何かあればそれなりに心配するあたり、キョウコの優しさなのか毒親っぽくみえるがそう見えているだけなのかもとも感じられる。
    憧れるが出来るかといえば、無理だなぁ。

  • 主人公が若くないのが良い。「凪のおいとま」に似た話ではあるけど、あちらは若さという絶対的な強みがあるから(一方のキョウコさんは貯金という強みがあるとも言えるのかな)。
    お母さんはいわゆる毒親ですよね。友人のマユちゃん、大人だなぁ。

  • 45歳でそれまでの人生をリセット。
    家賃三万、ナメクジが入り込み、蚊の大群も襲ってくる。部屋の中で雪が降る。
    そんな場所でも、自分の居場所と思えて楽しめるならサイコーだろうな。

  • 大好きな小説の一つです。
    図書館で群ようこさんの特集をしていて
    久々に借りてしまいました。

    キョウコさんも素敵ですが、私の推しはお隣に住む
    クマガイさん。
    お洒落で、一人で生きていける感じで憧れの女性です。

    しかし、
    れんげ荘で生活できるかと言われると…無理

  • R4.7.2 読了。

     40代半ばの独身のキョウコさんが会社を早期退職し、貯金を切り崩し生活費月10万円、築年数50年ぐらいの「レンゲ荘」で一人暮らしを始める。冬にはすきま風、梅雨時はカビ、夏には蚊の襲来などと闘いながら、鳥の声や草の匂いを知る。もちろんエアコンも無い。
     きっと自分なら不安しかないような生活を送るキョウコさん。梅雨時期の湿気やカビ、夏の蚊の襲来と暑さ、冬の寒さに隣人のおしゃれな60代の女性のクマガイさんや大家さん家族に相談したり、助けられたりしながら、懸命(?)に生活している姿になんとなく勇気づけられました。そしていい味を出しているのが友人のマユちゃん。キョウコさんの相談に適切なアドバイスをくれるこの物語には欠かせない存在。
     気がかりは、今はそんなキョウコさんを受け入れられないキョウコさんの母親にいつか理解してもらえる日が来るのかですね。
     このれんげ荘はシリーズ化されていて、続編が数冊あるようです。キョウコさんの今後が気になります。読みたい本が増えて悩ましいところです。うーん。

    ・「たとえば誰かみたいになりたいとか、具体的な人じゃなくても、頭の中に描いているかっちりした鋳型に、がんばって自分を嵌めようとしてるんじゃないのかな。どこにいても。その人にふさわしいモデルケースなんて、誰も教えてくれないの。そんなものはどこにもなくて、自分の頭で考えて自分になるしかないのよ。」
    ・「変に意味づけしようとするから、あれこれ悩むのよ。」
    ・「自分が何もしなくていいように、器が整っているのは楽だけど、その部屋はいろいろ手を加えて住む楽しさっていうのもあるんじゃないの。」
    ・「辛くて嫌なことも多いけど、楽しいこともあるわよ。それは自分で自分を楽しませることを見つければいいんじゃないのかな。悲しいのは悲しいけど、それでもやっぱり悲観しないで生きていくのが、大事なんだと思う。」

  • 四十五歳で仕事を辞めて一人暮らしを始めたキョウコのお話。何もしなくていいなんて、一度は憧れる暮らしだよな〜。羨ましいけど実際にはできないだろうし、逆にそれくらいは働かないとできないのか…とも思ったけど。
    何気ないことに気付けるのって、きっと心に余裕があるからなんだよな。季節の変わり目とか、生き物の鳴き声とか。そういうの、ちゃんと感じて生きたいよな。

  • ここまでの生活ができるかどうかは…?だけど、見栄の張り合いや人の噂話しから解放されて、ささやかな幸せに囲まれた暮らしはとても共感できる。
    キョウコさんのお母さんはとてつもなく考え方の偏った人だけど、お兄さん家族や友人、れんげ荘で出会った人たちはみんなステキな人達だ。何が大切でどう生きるかは人それぞれなんだ。後半はとても穏やかな気持ちで読む事ができた。
    群さんの本、もっと読んでみたくなった。

  • 群さんの本を読んでみたいと思った。
    仕事に疲れた45歳のキョウコ。母親からの干渉もひどく、何もかも捨てたいと思い、一念発起!仕事を辞め、れんげ荘に一人住む。野宿しているような厳しい季節もあれど、れんげ荘での暮らしは悪くないようだ。お友だちや姪っ子ちゃんが好きと言ってくれるれんげ荘。果してキョウコはどう生きていくのか。
    仕事を辞めたいと思う日は多いけれど、キョウコのように一念発起できない自分は小心者だなと思う。

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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