斎藤隆介童話集 (ハルキ文庫 さ 15-1)

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  • 角川春樹事務所
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758432627

感想・レビュー・書評

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  • 磔の刑が目前にもかかわらず、妹を笑わせるためにペロッと舌を出す兄の思いやりを描いた「ベロ出しチョンマ」、ひとりでは小便にも行けない臆病者の豆太が、じさまのために勇気をふるう「モチモチの木」、他人の為に我慢する優しさが花を咲かせる「花咲き山」などの代表作をはじめ、子どもから大人まで愉しめる全25篇を収録した童話作家・斎藤隆介が紡ぎ出す真っ直ぐに生きる力が湧いてくる名作アンソロジー。

    「ベロ出しチョンマ」「花咲き山」「モチモチの木」などの代表作には、貧しさや災禍にも負けず正直に親兄弟や村の為に辛さを耐えて乗り越えて働き周りの人に優しくする古き良き健気な生き方が込められていて大人の琴線を揺さぶる名作集で、真っ直ぐな健気さに心洗われました。

  • もう何度も読んだ童話たち
    絵本でも
    先日小川洋子さんのラジオで紹介されていてまた手に取った
    みずみずしさに心がしっとり
    まだ私の感性も枯渇はしていないなと
    どうか今の子どもたちに届きますように
    ≪ 自己犠牲 ひとくちなんかで 言わないで ≫

  • 斎藤隆介さんは絵本「モチモチの木」のあとがきで
    「やさしさこそが、人間を動かす金のモーターと成り得るのだ」と語っていました。
    この童話集に出てくる豆太をはじめとした子どもたちを見ると、斎藤さんのそんな信念を感じる子たちばかりです。ハッピーエンドばかりではない悲劇的な最後を迎えても、彼らの胸はいつも、誰かの幸せを願うが故に身を投げ出す澄みきった優しさに満ちていることが、物語の隅々から感じられます。

  • 三コは秋田の平野の子だ。
    いつごろ生れたのか、だれも知らない。ずっとむかしから生きていた。
    オンチャとは、土地を分けてもらえない次男坊・三男坊たちのことだ。
    オイダラ村のオンチャたちが、仕事を探すためにふるさとを捨てようと山のふもとの原に集まって相談コぶっていると、そこに三コが現れた。
    三コはオンチャたちの仕事を作るために、ハゲ山だったオイダラ山に、あちこちの国から少しずつひん抜いてきた木を植えた。
    山は喜び、オンチャたちは山仕事ができるようになった――。

    しかし、ある夏の晩、山は火事になり、木々は燃えた。
    山とオンチャたちの泣き声が、心を引き裂くように、三コにははっきりと聞こえた。
    三コは走った。
    オンチャたちの山を守るために。

    農民たちのために働いていた大男の三コ(サンコ)が、彼らの生活を守るために自らの命をかけるお話です。
    「八郎」と共通する物語。悲しいけれど、最後の一文が大変印象に残ります。
    図書館では『三コ』単独の絵本を見かけますが、現在書店では取り扱っていないようです。
    なので今回ご紹介する本は、『三コ』を含め全25篇を収録した文庫版です。
    表紙は『ベロ出しチョンマ』のイラスト。可笑しくて、笑えて、とても悲しいお話です。

  • 八郎/ベロ出しチョンマ 等の絵本が代表作である作者の作品集。
    方言がやわらかいです。

  • カテゴリはまぎれもなく童話だと思います。でも、ストーリーは、どれも大人向けだと思います。心にズシリと衝撃を受けるような作品が少なくないです。
    &行間にえもいわれぬ「艶」を感じるのは、わたしだけでしょうか?『白猫おみつ』あたりでは特に顕著で、読んでいてドキドキするほどなんですけどv

  •  なんか、今更って感じだけどw

     お説教臭いって言う人もいるそうだけれど、

     今の人にはちょうどいいくらいかも。

     バカみたいに、花さき山、ベロ出しチョンマで泣きました。

     痛々しいまでの、自分を犠牲にしたいじらしさに

     触れていなかったからでしょうか。

  • もちもちの木は栃の木のこと。

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著者プロフィール

1917年、東京都に生まれる。明治大学文芸科卒業。1968年、短編童話集『ベロ出しチョンマ』で小学館文学賞、1971年『ちょうちん屋のままッ子』でサンケイ児童出版文化賞、1978年『天の赤馬』で日本児童文学者協会賞を受賞。ほかに『職人衆昔ばなし』『立ってみなさい』『ゆき』などの作品があり、滝平二郎氏と組んだ絵本、『八郎』『花さき山』『モチモチの木』などもよく知られている。1985年、没。

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