浜田廣介童話集 (ハルキ文庫 は 6-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758432641

感想・レビュー・書評

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  • 童話作家浜田廣介さんの次女の方がたくさんの童話作品の中から
    むしろ大人向きというものを多く選集したという。

    その中でも特に印象的だった​

    「からかねのつる」​
    童話はおじいさんやおばあさん、動植物を主人公にして語るのが多いが
    このお話は珍しいことに、どうも中年の男である。

    公園の池に鶴の噴水がある。
    立派な銅鐘型の台座に乗っていて、羽を広げて今にも飛び立ちそうな鶴。
    鶴はその嘴を大きく開けて、水を「しゃあしゃあ」と吹いている。
    休日にそんな公園を散歩した男は、その夜、夢を見る。

    ある暖かな晩方、公園を歩いて池にいきました。
    もう夜更けにだし、誰も会わない
    池の鳥たちも眠っているらしく、し~んとしている。
    突然「ばさばさ」という音に男は驚く。
    「おや!」噴水の鶴が飛ぼうとしてます。
    「あっ!とぶ、とぶ。」
    噴水の鶴は牡丹の花のように羽を広げ、
    いつのまにか雪のように真っ白になってます。
    昼間見たときには銅製の黒い鶴だったのに。
    空には月が出ており、鶴が3羽飛んでいきます。
    仲間なのだろう。
    噴水の鶴がぐんぐん近づいていくのを、
    いつまでもいつまでも眺めているのでした。

    男は次の朝目覚めるとさっそく公園にいったのであります。
    いつも通りの池、鶴の噴水はしっかりと立ってました。
    けれども

    「そのくちばしから出る水は、ほんとうに、
    つるのむねからわきあがる思いのようにおもわれました。」
    (「からかねのつる」の最後)

    鶴のくちばし噴水からほとばしる水を「胸の思いのたけ」洒落ているではありませんか。
    いえいえ、むしろ、物凄さも感じまして、その男にも「胸の思いのたけ」がたくさんあったのでしょうか。

    *****

    その鶴の噴水は日比谷公園の池に設置してあるものと思われます。ネットに写真がたくさんあります。

  • 「人間たちと友達になりたいという赤おにと、赤おにの願いを叶えるために悪者になった青おにの思いやりを描いた代表作「泣いた赤おに」をはじめ、「お月さまのごさいなん」「たましいが見にきて二どとこない話」など、文庫初収録の作品まで、子どもから大人まで愉しめる全20話を収録。やさしさと思いやりに満ちた“ひろすけ童話”アンソロジー。」

  • 泣いた赤鬼を書いた浜田廣介さんは
    山形の人だったのか

  • 高畠出身の童話作家。
    おなじみの「泣いた赤おに」から文庫初収録の作品まで、娘の浜田留美さんが選んだ20作品収録。
    リズミカルでやわらかな言葉の音色に心もゆるやかになってゆきます。
    むずかしい事抜き。ポケットに童話。ゆるゆると。

    「ブックユニオンたかはた&page cafe」おすすめの一冊
    http://ameblo.jp/book-union/

  • 「泣いた赤おに」などが有名な浜田廣介の童話集。
    子供の頃家に全集があったので懐かしくなって読んでみましたが、やっぱり青おにさんの献身ぶりが切ない。
    他にも「よぶこどり」や「ひとつのねがい」などちょっとしんみり、でもやさしいお話が収録されています。
    たまには童話で心のお洗濯をするのもいいですね!青おにさんは萌えキャラだし(…)。

  • 昔買ってもらった新潮文庫の童話集には「よぶこ鳥」が入っていなかった&古くなり過ぎたので購入。
    こっちにはこっちで「りゅうの目のなみだ」が収録されていないのが残念。入ってれば★5でした。
    独特の語り口、そして圧倒的な孤独感。数ページの商品でもなぜか胸が切なくなります。

  • 浜田廣介さんは
    今まで出逢ったどの殿方よりも
    私を泣かせた回数が多いデス。

  • 2008/09/23〜09/26

  • 山形県高畠町に浜田廣介記念館がある。そこで購入。「泣いた赤鬼」などで有名な人。知らない童話がたくさんあった。

  •  泣いた赤鬼以外も結構有名な童話が入っています。
     童話を読むとき、昔よりも素直に読めない自分がいる。そしてこの事実を「うす汚れた」と言わずに、「社会に慣れてきた」のだと置換する自分がいる。友人のために自己を犠牲にできるか?友人が自分のためにここまでやってくれるか?でも、きっと大事なのは、いる・いないの問題なのではないんだろう。幼いころ読んだ童話は身近な教材であった。今読む童話は、失くした(身につかなかった?)自分の人間性をちくちくと指摘する。子供に注意できるほど大人は立派じゃない。

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著者プロフィール

1983年、山形県高畑町に生まれる。童話作家として50余年の間に、約1000編もの童話や童謡を世に残し、「日本のアンデルセン」とも呼ばれている。代表的な作品に『りゅうの目のなみだ』『よぶこどり』『むく鳥のゆめ』などがある。1973年、80歳でなくなる。

「2013年 『講談社の名作絵本 ないたあかおに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浜田廣介の作品

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