最前線: 東京湾臨海署安積班 (ハルキ文庫 こ 3-21)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758433068

感想・レビュー・書評

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  • 東京湾臨海署篇の3作目。
    『暗殺予告』は、ハリウッドから来日するスターを安積たちが警護する話。スターには、暗殺予告が。ベイエリアの地理を活かした暗殺者の仕掛けたトリックを安積が見破る。
    『被害者』は、犯罪被害者家族と少年法の問題を扱った社会派小説の趣。
    『梅雨晴れ』は、公共マナーという現代的な問題を扱った話。
    『射殺』は、ロサンゼルス警察の捜査官が殺し屋を追って日本に。アメリカと日本との捜査活動の違いを浮き彫りに。
    『夕映え』は、助っ人に行った品川署の捜査本部で安積の新人時代の指導官と再会。二人で犯人を追い詰める。
    いずれの作品も、安積と部下たちとの信頼関係が描かれていて、安心して読み進められる短編集。

  •  ベイエリア分署復活後2作目に当たる『陽炎』も良かったが、3作目に当たるこの『最前線』も面白い。人間がどうすれば清々しく生きれるかを登場人物達の背中が示している。
     『陽炎』も良かったけど、『最前線』も素晴らかった!何がって末國善己さんによる解説が素晴らしい!読後の感動が倍返しで蘇る。この解説を読んでしまうと、とても自分の感想・レビューを書く気になれない。それでも書いておきたい感想がある。
     一つ目は、村雨と組んでいた大橋が、桜井に言ったことだ「俺が何か目立つことをやったら、ムラチョウは俺のことを半人前だと思っただろうな。刑事の仕事っていうのは、とにかくこつこつやることだ。それを教えてくれたのは、ムラチョウだ。あの人には徹底的に仕込まれたよ。だから、こんな最前線でも立派に戦える兵隊に育ててくれたというわけだ」
     二つ目は、安積が初めて刑事になった時に組んだという三国俊治の言葉だ。三国は「おまえさん、いい刑事になったな。部下を見りゃわかるよ。あいつらおまえさんのことを露ほども疑っていない」と言った、安積は「そりゃそうです。私の師匠がよかったですからね」と言うのだった。

  • 7年振りの「安積班」。
    だいぶ間が空いてしまったが、登場人物のキャラ立がしっかりしているためか、なんの違和感もなく物語に入り込めた。

    さて、本編…。
    小気味良いテンポで進む短編集。

    終始緊迫した状況で話が進んだ「暗殺予告」が、一番好きかな。「安積班」っぽくはないシチュエーションではあったけど。むしろ「隠蔽捜査」の雰囲気に近いかと…。

    法に縛られ必要に迫られても銃を撃てない日本警察への揶揄を外国人刑事に代弁させた「射殺」も、ありがちっちゃあありがちだけれど、好きな一編。

    ★3つ、7ポイント。
    2019.11.13.古。

    連ドラ「ハンチョウ」も、いつか見てみたいと思いながら、はや8年近くが経ってしまった。レンタル店でも、近所の店ではもう置かれてない…(苦笑)。

    連ドラ向きなシリーズだし、別キャストでリメイクされないかした。

  • 村雨さん、やっぱりいい人。部下が出世して「誇りに思う」ってすぐ言えるあたりが優等性。シリーズもここまで進んできたら、それぞれの人物説明も減らして良さそうなんだけど、短編でほぼ毎回「鼻につく」って書かれると、ものすごい仲悪い気がしてしまう(笑)どの話もとても面白くてテンポ良く読めました。多分ドラマで見ていたものもあり…楽しかったです。

  •  こういうシリーズものは波に乗ってしまえば期待を裏切ることがないので安心だ。安積係長率いる東京湾臨海署の強行犯チーム、須田、村雨、黒木、桜井はますます快調。もちろん交機隊の速水も忘れてはいけない。さしずめ安積係長が理想の上司というところだが、チームの面々のそれぞれの魅力もきちんと書きこまれていてあなどれない。そして各話に登場するバイプレーヤー、たとえば竹ノ塚署の大橋、大井署の三国なんかが、過去のエピソードをからめてうまいこと奥行きを深めている。各編の内容はまあそこそこだけど、ひとつ挙げるとすれば射殺でみせる班長の射撃の腕かな。

  • 安積警部補シリーズの短編集。
    安積シリーズは謎解きよりも各々のキャラの内面を読む話だと思ってるので
    複数の目線から語れる短編集ならではの読み応えがあった。

    シリーズ全部読みたいんだけど刊行数が多いうえに
    地元の図書館には全部揃ってないのよね…(´・ω・`)

  • 短編集。殺人予告/被害者/梅雨晴れ/最前線/射殺/夕映え
    「射殺」では珍しくアクションシーン。危険な現場にいる警官たちと拳銃使用の難しさを考えさせられる。
    「夕映え」はかつて安積が仕事を仕込んでもらった先輩刑事との再会。係長は階級とは無関係に渋く輝いている先輩に敬意をもつ。
    「最前線」ではかつての仲間、大橋との再会が。 順を追わずに読んでいるので、初期の大橋刑事が異動になっていたことに納得。 彼は今最前線で活躍しているという話。 慣れもあるが、このシリーズは個性的な刑事たちが生き生き描かれていて感動する。

  • あらすじにある「暗殺予告」、少年法の矛盾を描いた「被害者」、傷害事件の被害者がたまたま指名手配中の容疑者だった…という「梅雨晴れ」、安積班の中の最年少、桜井視点で描く表題作、あるヒットマンを追ってロス市警の刑事がやってくる「射殺」、安積がかつての先輩刑事と再開する「夕映え」の、6篇からなる短編集(短編集の評価ってむずかしい…)。

    いつも通り、でもちょっとアクセントをつけた安積班シリーズ。

  • 安積警部補シリーズの短編集。
    台場に戻ってきたせいか速水さんが生き生きしてるような。
    表題作の『最前線』は大橋再登場。村雨と組んでたときとは変わった大橋を、いま村雨と組んでる桜井視点で、というのが良い。最後のしみじみしている安積と村雨が良かった。
    『梅雨晴れ』。ベイエリア分署のとある一日という感じで好きでした。

  • 短編集でした。
    暗殺予告→香港スターと香港マフィアの話 今回も須田さんの勘が冴えてる
    被害者→犯人が捕まっても 事件がなかったことには、ならないんだよね
    梅雨晴れ→雨のせいでみんながイライラしてる。でも、速水さんはいつもどうりです!
    最前線→悩める桜井さんの話。
    射殺→ロサンゼルス警察と日本警察の違い。日本って安全な国なんだなぁ~。
    夕映え→安積さんの師匠と久しぶりにあうけど、肩書きが安積さんの方が上になって なんとなく やりにくい感じ…でも、やっぱり師匠は凄い!

    速水さんとのやり取りで、
    「お前は、本当に嫌なやつだな」
    「わかっている、それが俺のいいところだ。」この台詞 いつも笑っちゃいます。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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