- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758441681
感想・レビュー・書評
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2024.1.23 読了 ☆9.2/10.0
物語の舞台は、異国情緒漂う港町にあるレトロな雰囲気のレストラン「キッチン風見鶏」。
そこでウェイターとして働きながら、漫画家としてのデビューを目指す24歳の坂田翔平が主人公。
そしてそこのオーナーシェフの絵里さん、32歳。
主な他の登場人物には、絵里さんのことが好きなお客さんの手島さんと彼の亡き妹夫婦の子どもで養子の歩。
占い師で、やはりお客の寿々。
絵里さんのお母さんで、癌で延命治療を止めて余命の短い祐子さん。
そしてユニークなのが、絵里さんは人を観察し、プロファイルする達人。
そして、翔平と寿々の二人は、なんと人の守護霊が見えるという特殊能力がありました…。
キッチン風見鶏で繰り広げられるハートフルな人情溢れるお話だと思ったら、その要素満載プラス守護霊が見える登場人物が活躍するのという何ともユニークな内容で、それが物語にすごくいい味と深みをもたらしてくれています。
絵里さんと手島さん、翔平と寿々の恋の行方もよかったです。
そして、漫画家を目指していた翔平の夢を叶えたのは、歩だったことが終盤で明かされるのですが、その展開が嬉しくもあり以外でもあり、すごくグッときます。
時を経て歩は、翔平を師匠と呼ぶほど漫画を描くことに傾倒しており、翔平が応募して落選した漫画の原案にさらに磨きをかけたのです。そして、アレンジを加えて応募した結果……プロローグのあの場面に繋がるのです。本書のダブルの味わいに心躍りました。
文太さんと勉さんの、“キッチン風見鶏”に込めた想い(P336〜)と、そこで働く上記の人たちに受け継がれた想いの
結晶。時代を超えたつながりと、血のつながりを超えた愛情溢れる家族のカタチ。
そんな、2つのつながりに胸打たれました。
〜〜〜〜〜心に響いた言葉〜〜〜〜〜
“自分の人生は、自分が創る”
“人生に『正解』なんてないんだよ。自分で選んだ道を自分の努力で『正解』にするだけ”
“人生に行き詰まったら、まず環境を変えてみる”
“命がここに、在る。それだけですでに尊い。
あなたがそこに、居る。それだけで、わたしは幸せ”
“自分の心に嘘をつかずに人生を創っていくこと”
“人生はあっという間。自分の好きなこととか、良かれと思うこと以外のことなんてやっている暇はない”
“人が生きていれば、辛いことや悲しいことなんていくらでも起こる。でも、そういう出来事の裏側をよく見てみると、必ずどこかに素敵なプレゼントが隠されていることに気づくものだ”
“人生にマイナスと思われる出来事が降りかかって来たなら、心のなかで「だからこそ」という魔法の言葉を発してみること。
そうすれば、自然とその先の未来がプラスに開けてくるからね”
“同じ出来事を経験したとしても、それをどう捉えるかという見方ひとつで人生は如何様にも変えられるというわけだ。
マイナスをころりとプラスに変えてくれる「だからこそ」という魔法の言葉”詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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■あらすじ
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幽霊が見えてしまう翔平は、キッチン風見鶏でウエイターとして働きながら漫画家を目指す。
そのキッチン風見鶏のオーナーは、お客様のプロファイリングが得意な鳥居絵里。
そんな2人と周りにいる人たちとのお話。
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■感想
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休み中に旅先で読もうと思って、サクッと読めそうなこの本をお供に連れて行きました。
幽霊が見えるというファンタジーな設定ですが、恋愛小説のような要素が強くて、ついついニヤッとしてしまうシーンが多い作品でした。翔平と寿々のやりとりは微笑ましいです。もう、この2人にフォーカスして作品を作っても良かったと思ってしまいます。
予想通りサクッと読めて、よかったよかった、という感じでした。恋愛というのが、ほんと、微笑ましいです。
森沢明夫語録という表現をしている人がいましたが、今作品も心に響く言葉がでてきます。
「人生に正解なんてないんだよ。」
「自分で選んだ道を自分の努力で正解にするだけ。」
「自分の心に嘘をつかずに、人生を創っていく。」
私も自分の心と向き合って、しっかり選択をして進んでいきたいです。
この作品は、『きらきら眼鏡』とのコラボでした。ざわざわ公園、ブランコがでてきました。大滝あかねさんも記憶のやり取りの中で登場します。
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■主な登場人物
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(キッチン風見鶏)
坂田翔平 24歳、漫画家志望
鳥居絵里 オーナーシェフ、32歳、童顔で若く見える
鳥居祐子 絵里の母、胆管癌
(常連客)
手島洋一 常連客、38歳
歩 洋一息子
葵 洋一妹、歩母
(港の占い館)
宮久保寿々 すず、占い師、24歳
大滝あかね フリーライター
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異国情緒漂う港町にあるレトロな雰囲気のレストラン「キッチン風見鶏」。
そこで、ウェイターとして働きながら、漫画家を目指す24歳の坂田翔平。
そしてオーナーシェフの絵里さん、32歳。
絵里さんのことを好きなお客さんの手島さんと亡き妹の子どもで養子の歩。
占い師で、やはりお客の寿々。
絵里さんのお母さんで、癌で延命治療を止めて余命の短い祐子さん。
絵里さんは人をプロファイルする達人。
そして、翔平と寿々の二人は、なんと人の守護霊が見えるという特殊能力がありました…。
普通のお話だと思ったら、守護霊が見える登場人物が活躍するのが何ともユニークでした。
絵里さんと手島さん。
翔平と寿々の恋の行方もよかったです。
それぞれの夢も、進路変更もありましたが、いい方向へ進みました。
森沢作品の『きらきら眼鏡』に出てくる、大滝あかねさんの登場もサプライズでした。
森沢語録
「自分の人生は、自分が創る」
「人生に『正解』はない。自分で選んだ道を自分の努力で『正解』にするだけ」
「人生に行き詰まったら、まず環境を変えてみる」
「自分の心に嘘をつかずに人生を創っていくこと」
「人生はあっという間。自分の好きなこととか、良かれと思うこと以外のことなんてやっている暇はない」
今回の、森沢語録(と私が勝手に名付けて毎回まとめているものですが)は、特に響きました。 -
霊が見える?!
森沢明夫さんには珍しい不思議設定、と思ったけどよく考えたらいつもけっこうスピリチュアルな世界観で書いてたりするわw
そして中身はいつもの幸せな人生を送るための極意が散りばめられた代わり映えのしないテーマで最高だ(最低みたいな言い方!)
日々を一生懸命生きつつ、周りの人を思いやれる優しい人たちが当然のようにハッピーエンドを迎える物語はわざとらしくて鼻につくので大好きだ(大嫌いみたいな言い方!)
物語の最後に明かされる仕掛けにふだんの森沢明夫さんの作品にはない「騙された!」って感情が心地よかった本作でした-
2022/08/22
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した!
そしてあんまり順番にこだわらなくてもいい気がしてきたよ
『きらきら眼鏡』を先に読んだ俺も
『キッチン風見鶏』を先に読んだみんもニン...した!
そしてあんまり順番にこだわらなくてもいい気がしてきたよ
『きらきら眼鏡』を先に読んだ俺も
『キッチン風見鶏』を先に読んだみんもニンマリは一緒だもんw2022/08/22 -
たしかに!
キッチン先だったからブランコ少年は死んじゃった子だと思ってて(/ _ ; )
キラキラでうわーってなった*\(^o^)/*たしかに!
キッチン先だったからブランコ少年は死んじゃった子だと思ってて(/ _ ; )
キラキラでうわーってなった*\(^o^)/*2022/08/22
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☆4
ちょっぴり不思議だけれど、心が温かくなる優しい物語でした❁⃘*.゚
心に響く言葉がたくさん出てきて、また読み返したいと思える素敵な作品です。
辛い出来事があっても「だからこそ」という魔法の言葉を思い出して、マイナスをプラスに変えていきたいと思いました。 -
文章がキラキラしていて、プロローグを読んだだけでもう幸せな気分になっていた。
異国情緒漂う港町にある、「キッチン風見鶏」でアルバイトをしている坂田翔平は、漫画家になることを夢見ている。
実は彼は見えないものが見えてしまう特異体質なのだ。
オーナーシェフの鳥居絵里、絵里に好意を持つ未婚の父手島洋一、「港の占い館」の占い師宮久保寿々、絵里の母鳥居祐子。
語り手が次々と代わっていくのは、作者の人物たちに対する優しい心遣いなのか、面白い構成だなと思ってエピローグまで読み進めると、すごい仕掛けが待っていた。
けど、なんて優しい物語なのだろう。
それぞれが問題を抱えているにもかかわらず、相手に対する思いやりの深さに感動する。心のままに生きることをこの物語で教わった。
森沢明夫さん、ブクログのみなさんのレビューを見てずっと気になっていたのですが、ようやく読むことができました。また一人、好きな作家さんが増えました。 -
とても優しい話でした。孤独な哀しい過去があっても、心を通わせる出会いと幸せを掴んでいく翔平くん、寿々ちゃん、手島さん、絵里さんが読んでいて羨ましくなりました。自分の心に嘘をつかずに生きていく!が幸せのポイントかもしれません。
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登場人物がみんな温かくて、優しい。
そして絵里さんが作るお料理がどれも美味しそう!
お料理が出てくるお話が大好きなので、
是非また読み返したい。
ひとつだけ。
エピローグは読まなくてもよかったかも…。
エピローグでお話がさっぱりとまとまりすぎて、余韻に浸る余白部分を埋められてしまった感じ。 -
港町の高台にある洋食屋が舞台の小説。森沢さんの思いが本作にもたくさん込められているのを感じた。「だからこそ」と口ぐせにすると良いと登場人物の一人が語っていたが、他の小説でもそのことが取り上げられていた。確かに何か思い通りにならなかったことでも、「だからこそ」この結果に繋がった、こんな出会いがあったとなると全く捉え方が異なる。
こんなふうに森沢さんの小説やエッセイにはたくさんの幸せを感じるヒントが散りばめられている。ほっこりする森沢さんの作品は意外にも「死」をよく取り上げている。すごいのは、悲しい淋しいだけではない温かさが描かれていること。本作はまた幽霊が出てくると紹介文で読んで少し実は敬遠していたのだが、森沢さんの描く幽霊は温かく真っ直ぐで生きている人間の応援団のように描かれており、読んでみて良かったと思った。