あきない世傳 金と銀(十一) 風待ち篇 (ハルキ文庫 た 19-26)
- 角川春樹事務所 (2021年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758444255
感想・レビュー・書評
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11作目、毎回の苦難を乗り越える幸と五十鈴屋に係る人々には感銘する。
いつのまにか「みをつくし料理帖」と同じ巻数になっていたが、まだまだ続きそうで安心した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回もテンポよくて一気読み!火事は怖いわ~。結の無事を案じる幸と、それを踏みにじるように意地を通し続ける結。
汚い手を使ってくる音羽屋だけど、五鈴屋は辛酸を舐めさせられながらむしろ、発想の転換や新しい商売の道筋をつける良い機会にしていく。
自分の店のみならず、太物仲間の絆が頑強になっていくのもすごく小気味いい。
火事の後の火の用心柄。賢輔くんほんとすごい。
そして、ここへきて毎年師走に買い物に来る夫婦の正体が明らかに。地道に商売してきたことをずっとみてくれて、評価してくれての、新たな商いの拡大。
力士用の浴衣地。
現代では見慣れた浴衣姿だけど、なるほど何事にも始まりはあるもんねー。
菊栄の簪も日の目を浴びることができたし~( *´艸`)
三度目の火災にあった市村座と菊次郎さんが気になるかな。
そして、太物仲間に志願してきた丸屋さんと、太物仲間の新たな挑戦。
次も気になる! -
今よりも
先を見る
目先でなく
未来を読む
できることを
地道に続けた後を思う -
始めは地味めな手堅いシリーズになるのかなと思っていたが、なんの何の、大きな話になってきた。
いくつもの、目に浮かぶいい場面が出てくる。 -
惣ボン大人になったなぁ
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物語の時を示す文章「宝暦九年」という和暦から、江戸の宝暦の大火が間近に迫ることが判り、読み進めるのが怖かった。梅松、お梅の祝言の翌年の大火。その大火後、型染めの技を浅草太物仲間と共有し、共同事業へと発展させた。そして、名も知らなかったお得意様が、実はまさかの勧進大相撲の肝煎りで、力士に揃いの浴衣の発注だった。「風待ち」なんてとんでもない(笑)、藍染め浴衣と言えば五鈴屋と江戸っ子に認識され、勧進大相撲では浅草太物商い店の蔵が空になるほどの大ヒットを飛ばし、最後に呉服商いへの復帰が見えてきた!
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周りの人の信頼を得ることは本当に難しい。
幸が周りに信頼されて、次々商いを広げることができるのは、まじめだとか裏表がないだとかいろんな理由があると思うけど、初対面の第一印象でも信頼を得るものを持っていることだと思う。
初めて店に来て、ただ買い物をしただけの人が、1年に1度とはいえ毎年必ず来店する。たった1年に1度の買い物でその店の信用を得る商売。そういう店を作り、商売を続けていく力量。1人だけの力ではないけれど、そこにたくさんの力や技が集まるのは幸の力量だと思う。
こんなチームの中で働くと、もしかすると持ってる以上の力が発揮できるようになるのかもしれないと思う。
こんなチームを作りたい。 -
開店記念の日に祝言。次の一年はどんな年になるのだろうか。良いことも辛いことも過ぎてゆき、また開店記念の日がやって来る。気掛かりは新しい商談につながり、新しい販売方法につながっていく。
そして再び呉服を扱う日がやってくるのだろうか。