- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760153497
感想・レビュー・書評
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誰かを傷つける言葉の
引き金が軽くなった現代に
刺さる内容。
著者が出会った障害者などの
言葉がとても重く響く
安易な自己責任論が
どういう未来を子どもたちに
残すのかみんなで考える必要がある詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NDC 914.6
「言葉が「降り積もる」とすれば、あなたは、どんな言葉が降り積もった社会を次の世代に引き継ぎたいですか?息苦しさをそっと弛める、18のエッセイ。」
「自己責任とか論破とかコスパとかタイパとか、もううんざりじゃないですか?安易な要約主義にあらがい、ここに生きる人自信と言葉の尊厳を守るために考えるべきことがこの本の中にはいくつも散りばめられています。大切なのは「私」という「小さな主語」で考えること、と本文にあるように、一緒に逡巡してくれたらうれしいです・・!」
(未来屋書店 本屋従業員によるおススメ本の紹介 2023 の紹介より)
目次
正常に「狂う」こと
励ますことを諦めない
「希待」という態度
「負の感情」の処理費用
「地域」で生きたいわけじゃない
「相模原事件」が壊したもの
「お国の役」に立たなかった人
責任には「層」がある
「ムード」に消される声
一線を守る言葉
「心の病」の「そもそも論」
「生きた心地」が削られる
「生きるに遠慮が要るものか」
「黙らせ合い」の連鎖を断つ
「評価されようと思うなよ」
「川の字に寝るって言うんだね」
言葉が「文学」になるとき
終話 言葉に救われる、ということ
著者等紹介
荒井裕樹[アライユウキ]
1980年東京都生まれ。二松學舍大学文学部准教授。専門は障害者文化論、日本近現代文学。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学) -
感想さえもまとまらない
終話がとてもいい
荒井さんの「自分の言葉」がいちばんいい
まとまらない日々が愛おしくなる
生きるのに遠慮はいらないんだ
自分以外の誰かに対して硬直した像を押し付けることと、自分自身を堅苦しい像に閉じ込めることは表裏一体
そもそもその像って正しいの?
「自己責任」と言い捨てることで、他人の痛みへの想像力を削いでいく
速く慌ただしくなった社会で、膨大な出来事はどこか遠くで起きたことになる
人間の在り方とかを考える時間も取れてない
流れてしまう毎日
黙ることで逃げる
近くの人も思いやる余裕のある余裕がない
うわべだけの言葉
本当に大切なことは何か?
大切な人を思いやること、思って思って、不器用でいいから、言葉と行動で励ませる人になりたい -
「要するに」をしない、自分の理解の中に傲慢に押し込めない。
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タイトルとまえがきから、
政治家に顕著に見られる「日本語の乱れ」について
掘り下げる本なのかと思って読み始めた。
違った。
障害者の声、ハンセン病患者の声、
届かない弱者の声を取り上げた本だった。
といってもテーマが一貫しているわけではない。
少数派が声をあげることに意味があることを訴える部分、
これを読んだときは、ひとつ前に読んだトランスジェンダーに
共通することから、本が本を呼んだのかなあと思ったり。
でもそればかりではなかった。
「川の字に寝るって言うんだね」とぽつりとつぶやいた方から見える
らい病患者に対する親戚の冷たさ。いないことにするから、と。
相模原事件で私が持った違和感はこの親戚と共通するのではないか。
などなど、思わぬ方向に話が進み、
それはそれで考えさせられるものではあったが、
。。。これが「まとまらない」だったのかと、
なんだかもやもやする。
前の本と合わせ、
マイノリティが声をあげていい、言葉を発していい時代になっている、
それだけは確かだし、大事にしたい。
それで締めくくることにしよう。 -
読んで心地よい言葉ってある。
言葉というか、息遣い。
的な、
文章。
なんでそんなの書けるんかなぁ。
って羨ましく思う。
日々の鍛錬かぁ、とも思う。
あとは感性なのかな。
すごくいい。
って思える、エッセイなのかな、これ、この本は。
ふぬ。(つづく) -
言葉がまとまらない、ということを受け入れることも大切だと思った
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言葉について、深く丁寧に考察されています。
安易にまとめない。やさしく言い換えない。
発せられた言葉そのものを尊重し、大切に扱っていく。
個々のエピソードに心揺さぶられ、まとまらない言葉の愛おしさを想いました。
最後に述べられている、「要約」することと、「一端を示す」ことの違いについての考察がまた、心に響きました。
言葉を扱っていく上で、何度も何度も振り返りたくなる本でした。 -
遅ればせながら読みました。素晴らしい本でした。
言葉が必要な人たちに限って、言葉が奪われていく。
心ある人たちに対して、心ない言葉が投げつけられていく。
言葉の破壊や凋落を憂いながら、言葉の意義や可能性への希望も忘れないように、この本は折に触れて何度も読み返していきたいと思います。