- Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763006295
感想・レビュー・書評
-
本書を見ているとなんともやりきれない気持ちになってくる。魂を抜かれたような、目の虚ろな、あるいは怒りに満ちた、悲しげな、怯えたような、(おもに)サラリーマンのような男性が、事務用品や家電製品や建物(とくに生権力の発動する舞台になる会社・学校・病院などが多い)などと一体化している。
人間が人間でなくなっていくその過程がいろんなヴァリエーションで描かれている。毎日毎日同じことを繰り返しているうちに、環境が内面化されると同時に、内面が環境化していく。
お辞儀をしすぎて壁掛けフックになったり、コンビニで支払いをする男の両手がベルトコンベアになっていたりと、そうなったいきさつを想像すると息苦しく胸苦しくなる。
その苦しさから逃れるため、男たちはただただ弱ったなあという顔をして、状況に甘んじている。
しかしだんだんと男たちの顔に悲しみや苦痛や怒りがあからさまに表れてくるところが不穏だ。それにつれて絵も陰惨に、象徴的になってくる。
本書に描かれた男たちはみな、カフカの『変身』のグレゴール・ザムザだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初めて買った画集。
-
画集のメッセージが強烈で、個々の作品に深みを感じた。
消費社会や機械で無機質な社会に対しての悲しさや憤り、落胆など色々な感情を描いている。 -
数年前に日曜美術館特集で紹介されていて
見た瞬間、忘れられない衝撃をうけた
いつかTVで観た、飛べそうもないボロボロのプロペラ機と一体化した男の絵
偶然書店で見つけて思わずページをめくった
役割を与えられて社会にはめ込まれて
でもそのなかで奮闘している現代社会に生きる人々
学校や就職面接、スーツのサラリーマン・・・社会の違和感をこんな風に表せるのか
どの絵にも登場する男の目からあふれ出す孤独感と、笑わせるような人とモノの組み合わせ
冷たいようで温かい、息苦しくなるけど、目が離せない
いろんな感情が刺激されて
書店でひとり、ページをめくりながら泣きそうになっていた -
自我中毒?自己愛?と思わせる作品の数々…産まれてから生きて結局は死ぬまで独り。
生産して消費するコトに恐怖を感じます。 -
石田徹也のイラスト集。
作品と名前は知ってたけどじっくり眺めるのは初めてです。
なんかもうすごい世界。とにかく惹き込まれる。
時間を忘れていつまでもぼーっと眺めてしまいそう。
「体液」がいいなぁ。あとトイレがモチーフの絵も好きです。
若くして亡くなってしまったのが惜しまれます。 -
何年か前、たまたまテレビで石田徹也という人を取り上げている番組を見て衝撃を受けたのを覚えている。
衝撃のベクトルは恐怖だったように思う。
なんだこれは!と思いつつも引っ張られる。
翌日に遺作集を購入。
毎日眺めることはしないけど、たまーに物凄く観たくなる。 -
正直画集は載せないがポリシーだったんですが、
学校で借りた、自分のものではないという理由より
忘れないために記録。
彼の作品を見た外国人の残したメッセージが頭の中に残る。
「気持ちが、痛いほど分かると伝えてください。」
「大丈夫だと、伝えてください。」
絵ってすごい。
言葉を超えた深い、深い共感を呼ぶ。
それがきっと、この絵を残した石田さんの発する
悲しみや辛さで、(言葉にすると陳腐だな・・・)
それはきっと、計り知れないものであろうと思う。
その気持ちが
「痛いほど分かる。」
このメッセージを残した人ゆえの痛みなんだろうか。
いや、きっとそうなんですけど・・・
じわじわと広がりゆく彼への共感は、
社会を包むいまにも引き裂かれて泣き叫びそうな現代の痛みのように思えて仕方がない。 -
ぺこ
何度見ても飽きない
何度見ても考えさせられる
僕たちは日々毎日を生きるうえで何を感じてるのだろう
人間ってほんと不思議な生き物なんだね
いろんな意味で心に響く本
レビュー終わります
ぺこ