- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763132505
感想・レビュー・書評
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理想のリーダー像を学べる書。
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一番印象に残っているのは、火花が出る瞬間、の話。
普段管理者として直接火花を出す立場ではないだけに、付加価値とは誰がいつつけているのか、現場の事をどこまで考えているか、と考え直すきっかけとなった。 -
まわりに推されてリーダーとなり、雇われ社長として数多くの企業で業績回復を成し遂げてきた岩田さんのリーダー論
現場重視の徹底と謙虚な姿勢から「ついていきたい」と言われるリーダーの行動・考え方が具体的にわかりやすく伝わってきます。
p.71
リーダーとして部下に話をするとき、最も重視しなければならないのが、「わかりやすさ」だと思うのです。難しい言葉は決して使わない。自分が店長さんなら、どんな情報がほしいだろうか、どんなことを聞きたいだろうか、といつも考えていました。
シンプルでキャッチーなフレーズを作る。それは、チームや組織にやろうとしていることを浸透させ、勢いをつけられることだと思っています。
→ 大切にしたい相手を見定めて、伝えたい内容を厳選し、これなら伝わるだろうという言葉に置き換えていく。これを毎日少しずつ続けていこう。
p.79
大事なことは何度でも繰り返す。
書いたものの大きな効能は、繰り返し読める、ということです。人は一度言えばわかる、なんてことはまずありません。覚えたり、習慣にすることは、実は極めて難しい。だから、何度も何度も語りかける必要があります。そこに、書く意味が出てきます。
大事なこと、言わなければいけないことは、何回、何十回言ってもいいと私は思います。何十回も出てくる言葉こそ、最も本質的なこと。過去に言ったかどうか、など気にせず口に出し、紙に、メールに、ウェブに書いたほうがいいのです。
→ これまでに自分が何度も言っていることは何かを振り返ってみよう。そして、そこから今の時点で「大切な人に伝えたいことは何か?」を見定めて、臆することなく繰り返し発信し続けよう。 -
筆者が社会人として、リーダーとしての学びがわかりやすく記されている。筆者は自身を”普通”と言っているが、優秀であることが容易に想像できる。何故ならば、私でも理解できる言葉で熱く優しく語ってくれるから。こんな上司だったら…とついつい思ってしまった。
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ビジネス書に多いカリスマ的リーダー像ではなく、人格を磨くという社会人の基本を大切にすることで、求めずとも周囲から認めてもらえるリーダーとなり得る。
現代社会で薄れがちな"one team"を作り上げるリーダー像の在り方。 -
カリスマ的なリーダーではなく、周りから信頼されるリーダーのあり方、振舞い方、考え方がよくわかった。
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本文の内容とは関係ないが、「一生懸命」ではなく「一所懸命」と表記する人は、信じられる気がします。
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リーダーシップがあるかどうかは、行動で判断される。ではどんな行動をとればいい?
・控えの気持ちは控えにしか分からない。たくさん挫折体験をもち、苦しい経験をした人こそ、相手の立場に立ったリーダーシップを発揮できる。
・リーダーが真っ先にすべきことは「自分たちの存在意義(ミッション)」を定義すること
・リーダーは一挙手一投足、トイレに行く姿まで見られていると心得るべし。日ごろの行いが全て。
・部下の些細な発言もメモをとって傾聴することが、部下にとってはとても嬉しかったりする。また褒める。褒めて困ることは絶対にない。部下の提出物に対してもまずは褒めてから指摘をする。
・ものを伝えるときには、①わかりやすさ、②キャッチ―なフレーズ、③繰り返し繰り返し重要なことを伝える。
・「何か困ったことはない?」が口癖。即答される困ったことは相当困っていること。解決してあげること。
・無私の心をもつ。
キーワード:得てして、部下からどう見られているかを考え・感じられることがリーダーには必要 -
いろいろ苦しい経験も人としての徳を磨くことにつながると思えば、すべて起こったことは糧になると思えた。
経営者が書かれた本はいくつか読んだが、一介のサラリーマンから経営者に抜擢されるような人生を歩んできた人は、人の器が違うなぁと感じた。間違いなく良書。 -
:254 推定文字数:81280(8行×40字×P) 抜き書き:3502字 感想:530字 付箋数:15
(対ページ付箋:5.90%、対文字抜き書き:4.30%、対抜き書き感想:15.1%)
・「トイレで見かけた岩田さんが、なんとも元気のない姿だった」というのです。
私は特にしょんぼりと元気のない姿をしていたわけではありません。考え事をしながら用を足していたのです。ところが、その姿を社員が見て、元気がない、と思い込んでしまったのでした。
>>/> 社長というのは、トイレに行く姿まで見られている。
・「お前が失敗しても、日産はつぶれないから、思い切ってやってこい」(入社二年で系列部品メーカーの生産性向上活動をすることになった)
…もうひとつ、この上司の言葉で覚えているのものがあります。それは、車体の生産工場に一緒に出かけたときのことでした。上司は私を、溶接工場に連れて行ってくれました。ロボット溶接でパチパチッと火花を散らしてAパネルとBパネルがくっつく。
それが繰り返されていきます。そこで上司はこう言ったのです。
「いいか、岩田。このラインの中で、付加価値を生み出しているのは、火花が散っている、あの瞬間だけなんだ。だからそれ以外、在庫管理をしたり、モノを動かしたり、打合せをしたりするのはすべて無駄だという目で見ろ」
…スターバックスのCEOになったとき、私がイメージした火花が散る瞬間は、カウンターでドリンクが渡される瞬間でした。レジで注文したコーヒーが準備され、別のカウンターでお客様に渡される一瞬。そこにすべてが集約されていると思いました。
>>/> ああ、この火花のイメージを忘れていた。前も同じ著者の本で読んだのだけど。
こう並べてみると、サービスの真実の瞬間も、工場の真実の瞬間も、「付加価値の瞬間」だという切り口で同じように切り取れてしまうな。
・社長に就任するにあたり、就任演説を社員の前でする機会がありました。
ここは最初の頑張りどころだ、今までと違った、自分の考えをしっかり見せないと、と私は思いました。そこで出てきたのが、ビジネススクールで学んだ知識や言葉でした。これからは企業価値経営が求められている。キャッシュフロー経営が重要だ…。
ところが、目の前で立って聞いてくれている100人ほどの社員から、まるで反応がありません。身体はそこにあるけれど、魂はここにはない、といった状態。
私は、一所懸命に話を続けたのですが、途中でハッと気づきました。
会社の経営というのは、こういうことではないのだ。キャッシュフロー経営とか、株主価値経営とか、そんなことを言ったところで、実際には誰も動いてはくれないのです。
…彼らが関心を持っていたのは、私がどうやってこの会社を立て直し、その後にはどんな明るい未来が待っているのかという、私の生身の言葉だったのだと思うのです。
>>/> 大人数の会議から新しい発想は出てこないけど、二つ並べてどちらが正しいか選ばせたら選択はとても正しい。群集の反応は正直で正確。
・もう一つ、私が意識していたのが、キャッチ―なフレーズを作ることでした。目指す方向があるときや、何かのプロジェクトを進めたりするときに、私はよくキャッチーなフレーズを作って、それを旗印にしていました。ザ・ボディショップのときには、「アニータ100人計画」。
>>/> ボディショップでは環境保護のために簡易包装をお願いしていた。ある店長が、簡易包装率が低く“もっとコスト削減の意識を高めないと”と言った時に本気で叱らねばならないと思ったとそうだ。
大事にしなければならない事を一言で伝える工夫。
・それこそ、何十回も出てくる言葉こそ、最も本質的なこと、といえるかもしれません。
だから、過去に言ったかどうか、など気にせず口に出し、紙に、メールに、ウェブに書いたほうがいいのです。不思議なもので、部下も、あるときは受け入れられなかったことが、あるときにはふっと受け入れられたりします。
>>/> そうか、繰り返してもいい、というか繰り返すべきであるのか。
・野球でピッチャーとキャッチャーとサード、どちらが偉いか考えても意味がないでしょう。たまたま今は、私はCEOというポジションで、みなさんはお店というポジションを守っているだけ。それだけの違い。単なる役割の違いなのです、と。
実際、それは間違いのない事実でした。
1000億円の売り上げは、お客様の単価が500円とすれば、2億回の「ありがとうございました」がお店で言われることで生まれているのです。私の給料もそのおかげでもらえているのだと心底思っていました。
>>/> この2億回。本当に、人だな。それ以外のコントロールなんてできない。
・あるとき、ドアの窓メーカーからの納入が滞り、このままでは自動車生産工場のラインが止まりかねない、という事態になりました。ラインが止まったりすれば、1分100万円ともいわれる大きな損害が出る。そこで窓ガラスを製造するメーカーを見てこい、と私は言われたのでした。
その窓メーカーに行って驚きました。ラインが止まるかもしれない、などという危機感は窓メーカーの現場にはなかったのです。一刻も早く窓ガラスを、とラインでは言っていたのに、驚くべきことに窓メーカーでは出荷にあたって一枚一枚、じっくりと窓の指紋を拭いていたのでした。後工程で指紋など間違いなくついてしまうわけですから、そんな必要はないわけです。それより早く出荷してほしかった。
ところが、日産自動車の厳しい検査がそれを求めていて、指紋がついていたら受け取ってもらえないから、と窓メーカーは言いました。日産自動車のほうがおかしかったのです。
実際に現場に行かなければ、現場を重視しなければ、現場の見方をしなければ見えてこないことがある。
>>/> 伝言ゲームの恐ろしさ。これが失敗または続くと何が起こるのか、伝わっていなかったのではないか、と感じた。
・私が見てきた経験からいえることは、上にゴマをする人は、下にもゴマをすらせる傾向があるということです。上には腰低く対応するけれど、部下の前ではふんぞり返って偉そうにする。つまり、自分のやっていることと同じことを部下に要求するのです。
そして、自分にゴマをすってくれる人間を重宝する。あるときそれに気がついたので、自分で部下の評価をするときには、自分で部下の部下の意見も聞かないとダメだ、と思うようになりました。
>>/> これに自分で気づくというのは、なかなかすごいことではなかろうか。
・確たる裏付けやロジックがなくても、今の組織に最も必要なことというのは、なんとなくわかるものです。
例えば、初めて社長になったアトラスでは、「まずは夢を語らなければいけないな」と私は直感的に思いました。
…ザ・ボディショップも業績の悪化に苦しんでいましたが、直感的に思ったのは、アニータの創業の原点や社員の思いと、会社の方向性が合っていない、ということでした。
…細かい理屈は措いておいて、中長期的な目標は、直感でいい。
>>/> 行ってその場で直感する、分かる事って意外とたくさんあるかも。言われてみれば。
・リーダーとして異動したら、三ヶ月でおおよその概要をつかむことです。そして、ひとつのアウトプットを出す。レポートでもいいですし、新たな戦略の構想でもいい。そして次の三ヶ月で、それを実践に移す。こうしたアウトプットが実際に実ってくるのが、ちょうど半年後。むやみに焦る必要はないと思います。
>>/> いい目安。
・実は最もやっかいなのは、「仕事はできるが、性格が良くない」ゾーンなのです。ここに属する部下を持ったときに、リーダーは苦労します。
こういう部下を評価したり、抜擢したりしてもいいものか。私の答えはノーです。もっというと、ある程度のところまでは任せられても、それ以上は任せられない、といったほうがいいかもしれません。結果的に、周囲が困るからです(私も何度もそういう人を高く評価してしまうという失敗をしてきました)。
もちろん数字を残した部分は評価して、ボーナスなどを上げても良いと思います。しかし、間違っても人の上に立たせる昇進はさせてはいけません。禄を与えても地位は与えてはならないのです。
>>/> 失敗してきた、という括弧の一言が、重い。。
・入社10年目、33歳のときでした。部下に大卒の女性を二人持つことになりました。部署に配属になって、まだ右も左もわからない。そんな中で、私が初めて命じたのは、接客後の灰皿の片付けでした。
後で一人の部下から「岩田さん、お話があるのですが、夕方、お時間をください」と言われました。終業時間後、彼女に「今日片づけを私に頼んだのは、私が女性だからですか?」と怖い顔で聞かれたのです。
もちろん、女性だから頼んだのではありません。私は、真正面からきちんと向き合って、時間をかけて、なぜその仕事をお願いしたのかを伝えました。
雑用をお願いしたのは、若いからとか、女性だからというわけではまったくない。ただ、あなたの給料はおそらく、部内では最も安いということには気づけると思う。もっといえば、時給にしてみると、その違いはもっとはっきりするはずだ。
灰皿の片付けやコピーなどはもちろん私が自分でもできるけれど、時給の高い私がするのではなく、まだ時給の安いあなたがそれをかわりにしてくれれば、私はもっと付加価値の高い仕事ができる、と。
こんなふうに説明をすると、彼女は納得をしてくれました。一年もたたないうちに、見違えるように変わり、「申し訳ないけど、コピー…」と言葉を言い終わらないうちに二人とも立ち上がるようになりました。
>>/> 33歳で真正面からこう言えるのが、すごいと思う。
・大切なのは、「人を信じてもいいけれど、人のすることを信じてはいけない」ということです。人は時に間違えるのです。
・迷ったときはやってみる、と書きましたが、ひとつだけ例外があります。それは、人事について、です。人事だけは、迷ったらやらない。
・自分にできる最大限のことをやれば、神様は悪いようにはしない。
>>/> 名言!