松居直のすすめる50の絵本: 大人のための絵本入門

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  • 教文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784764269101

作品紹介・あらすじ

『ぐりとぐら』や『うさこちゃん』を世に送り出した松居直が、子どもたちに絵本を読み語った自分の経験をふまえて贈るお父さん、お母さんへのメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 巨大な魚に仲間を食べられてしまった小さな黒い魚のスイミーが、
    海をおよぎまわりめずらしいものに出会ううちに元気をとりもどし、
    仲間と協力して大きな魚を追い出す...という『スイミー』が
    国語の教科書にとりあげられてもう長いことたちます。

    絵本をもとにした低学年の定番教材です。


    2年生を6回も担任したので、
    そのたびに『スイミー』とつきあってきました。

    子どもたちとこのおはなしを読みすすみ、
    絵に描いたり劇化したりしてたどりつくのは、

       小さなものでもみんなで協力すれば大きな力になる。

    といったところでしょうか。


    絵本や物語から教訓をひきだす授業は好きではないのですが、
    『スイミー』のような超メジャーな教材をとりあげると、
    たいていこのあたりに着地することになります。


    ところが、です。
    『松居直のすすめる〜』に書かれた『スイミー』のコラムを読んで
    衝撃をうけました。

       文章だけで物語を読みますと、小さな者でも力をあわせると、
       巨大な者を打ち負かすことができるという、いささか教訓めいた
       話に読めるのですが、「絵本」という特異な造形表現の力を
       かりますと、そんなに単純な底の浅い思想を伝えようとして、
       画家であり哲学者でもある作者レオ=レオニが創作したのでは
       ないことが読みとれます。

    授業であたりまえのようにあつかってきた内容を
    「単純な底の浅い思想」といわれてしまいました。


    では、『スイミー』の眼目はどこにあるのか。

       『スイミー』で特に注目したいのは、作者が物語展開の
       どの場面に、もっとも多くのページをついやしているかです。

    ページ数という視点で絵本を見ると、全体の半分以上を
    あてて描いている場面がたしかにうきあがってきます。

    すなわち、作者が『スイミー』で語りたかったのは、

         ・

         ・

         ・

    たねあかしは本書にゆずることにしましょう。


    『松居直のすすめる50の絵本』は、
    『スイミー』のこの解釈に出会っただけでも
    じゅうぶんおつりがくる内容の本でした。

  • この本プレミア価格になってるんだけど、
    文字も読めないのに、絵を見ただけで声に出して読み出すことは2歳から4歳くらいの幼児が滞在的に備えている力で、ゆたかな絵本体験をした子どもにはよく見られることだそう

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00215630

  • 上島逸子先生 おすすめ
    3【専門】019.5-M

    ★ブックリストのコメント
    副題が示す通り、大人のための絵本入門書。子どもにススメルだけではなく、まず、私たち大人が絵本の物語世界に喜びを感じてみませんか?

  • 齊木恭子先生 おすすめ
    3【専門】019.5-M

    ★ブックリストのコメント
    副題が示す通り、大人のための絵本入門書。子どもにススメルだけではなく、まず、私たち大人が絵本の物語世界に喜びを感じてみませんか?

  • 2020.1.18市立図書館
    松居直さんについて改めてくわしく知りたいブームの一環で借りてみた。

    2022.11.6市立図書館
    訃報を聞き、追悼読書としてあらためて。50冊のリストの半分は福音館書店の出したもので、半分は他の出版社から出ている本で、岩波の子どもの本のほか、私自身も親しんだ偕成社の海外絵本などもかなりはいっている。いちばん最後に「にほんご」をおいているあたりに松居さんの思いがこもっていると思った。

    あとがきを読みながら思ったこと。娘たちはわりと早くから文字が読めるようになって自分一人で本を読むようになったが、ぼーずは字を覚えるのもゆっくりだったし、字を覚えて小学生になってからも、「エルマーのぼうけん」や「たくさんのふしぎ」シリーズをいっしょに読んで、おどろいたりおもしろがったりする時間を持てた。おかげで私自身「たくさんのふしぎ」の虜になってしまったのだけれど、まさにこの時間こそがぼーずと私の関係をも育ててくれた気がしている。

  • 2016.12月。
    長年絵本に尽力してきた松居直さんの言葉には重みがありすぎて、全てが勉強になる。ははぁーっとひれ伏したい。間違いない。児童書担当として根っこの部分にしっかり入れておかなければ。

  • 松居直さんは、ディック ブルーナ氏のうさこちゃんシリーズをオランダから日本へ連れてきた方。単に絵本を紹介するのではなく、絵本の生い立ちや作者の気持ちに触れられていて、これを読むと絵本の見方が変わる。

  • 紹介されている本はほとんど古典で目新しくはないけど、見開きのコンパクトな文章に深み・説得力があったのはこの方のバックグラウンドゆえだろうなあ。未読・既読ともに、手にとってみたくなった。

  • 保存版。

    何かのときに役立ちそうなので持っておく。

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著者プロフィール

松居 直(まつい・ただし):1926-2022年。京都生まれ。同志社大学卒業とともに福音館書店に入社。絵本の出版・編集に従事し、1956年に「こどものとも」を創刊。石井桃子、瀬田貞二、松岡享子などと交流を深めるとともに、加古里子、赤羽末吉、堀内誠一、長新太、瀬川康男、安野光雅、中川李枝子ら多くの絵本作家を発掘。『おおきなかぶ』『ぐりとぐら』『だるまちゃんとてんぐちゃん』など、今なお愛される絵本が生まれた。自身も絵本の文や再話を手がけ、海外の優れた絵本も紹介。日本の絵本文化の発展に大きく貢献した。1993年出版界で初めてモービル児童文化賞を受賞。1996年日本児童文芸家協会より「児童文化功労者」の表彰を受ける。著書に『私のことば体験』(福音館書店)、『絵本は心のへその緒』(ブックスタート)、『松居直のすすめる50の絵本』(教文館)など多数。

「2023年 『絵本とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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