横浜の名建築をめぐる旅

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767828909

作品紹介・あらすじ

赤レンガ倉庫、横浜三塔、ホテルニューグランド、山手の洋館……。
歴史を感じさせる華やかな近代建築は、港町・横浜の大きな魅力のひとつ。
そんな名建築の数々を美しい写真と解説で楽しむ、街歩きにぴったりのガイドブック。
建築好きの小説家、恩田陸によるコラム及び著者との対談も収録。
小説に登場する建築物や横浜の街の魅力などを縦横無尽に語り尽くした、恩田ファンも必読の一冊です。

「――横浜自体が、日本の近代の庭という感じがする。文明開化、海外への窓、突き進む時代、変わりゆく暮らし。
その過程が場面ごとに綺麗に保存されていて、道ゆく人が時代を辿りながら鑑賞することができる。」(恩田陸)/本文より

感想・レビュー・書評

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  • 横浜の近代建築には興味があって、数年前にそれこそ「めぐる旅」をしたことがある。ただ、駆け足の旅だったので、外観を見て満足するだけに終わってしまった。

    本書は、西洋建築史の先生と恩田陸さんが横浜の近代建築を紹介する本である。紹介といっても、一つ一つの建築の写真と説明がメインで、合間に恩田陸さんの建築に関するコラムが挟まれ、巻末に二人の対談が掲載されている、という程度で、恩田さんの印象は薄めである。

    32の建物が紹介されているが、写真が多めで説明は少なく、あっさりと読み進めることができる。写真も建物の全体像をとらえるというよりは、部分的なディティールに注目した写真が多く、一般的な建築紹介の本とは少し感じが違うな、と思っていたら、専門的な内容をできるだけ省き、建築の「形から入る」ことをねらって作った、とあとがきに書いてあった。
    確かに、建築の「写真集」といった感じで、作った人の思い入れや偏愛が感じられるつくりになっている。

    また、少ない説明の中でもたびたび言及される関東大震災の影響は、やはり横浜の建築の特徴だといえる。震災でかつての風景は一掃されてしまった。今の近代建築のある風景は、震災後の復興の象徴でもある。

    私が「めぐる旅」をしたときに一番印象に残ったのは神奈川県立歴史博物館だったが、それは、重々しい意匠とは裏腹に意外と小さい建物で、妙なバランスだな、と思ったことが大きい。紹介写真ではバランスの悪さは伝わらず、威風堂々たる外観を強調しているのに違和感を覚えたが、それも人によって注目する部分が違う建築の面白さなのかもしれない。
    ちなみに、恩田さんは博物館の屋上ドーム内部の空気感と、地下空間が印象的だったそうだ。博物館は元銀行で、地下には金庫があった。震災の際には大勢の人が避難し、命拾いしたそうだ。恩田さんの空気感に対する感度の良さは、物語を生み出す作家ならではかもしれない。私は建物の内部には入らなかったので、機会があればぜひ入ってみたい。

    いい空間には力がある、という。時代が変わって、建築当初とは異なる用途で使われるようになっても、いい建築はそれに耐えうる魅力を持っている。あっという間に取り壊されることの多い建築だからこそ、このような本で近代建築ファンが増えていってほしい、と思う。

  • 横浜の名建築がずらり ライトな探訪本がじわり人気 - 産経ニュース
    https://www.sankei.com/article/20220614-6DEV2FOWSRDKROMOHHNXOVVJOQ/

    X-Knowledge | 横浜の名建築をめぐる旅
    https://xknowledge-books.jp/book/9784767828909

  • とっても良かった!
    掲載されているほとんどの建築物には入ったことがあるか何度も前を通ったことがあったけど、詳しい成り立ちや竣工年などは知らなかったので、勉強になった。
    この本を片手に改めて横浜の街を巡りたくなる本。

    説明に終始せず、詳し過ぎず素っ気なさすぎず素人には丁度良い分量の文章というのが良かった。この手の本では文章が専門でないものから見ると難解なことが多く、途中で投げ出したくなったりするけど、この本ではそんなことがなく、また写真も美しいものが沢山掲載されているのでじっくり見ることが出来て嬉しい。
    前書きや後書きを読むと、まさにそのようなことを目指して作られた本みたい。

    改めて、こんな素敵な建物が沢山ある横浜が好きだー!と思った。

  • 恩田先生といえばどこか特徴的な建築物を舞台にした作品世界
    横浜建築の観光、楽しそうだな

  • 横浜に現存する近代建築を美しい写真で紹介している。
    建築家名などはあえてあまり詳細に説明せず、「頭で理解せずに建築に相対する」ための本、として書かれている。

    知っている建物が多く取り上げられていたけれど、改めてこうしてまとめて、トーンの整った写真で眺めると、横浜というまちの持つ魅力を感じる。

    作家の恩田陸が短いエッセイをいくつか寄稿していて、最後には、建築巡りをした後の対談なども収録されているのが、類似の建築本とはちょっと違っていて面白い。

  • 初読。図書館。小説家×建築といえば、万城目さんと門井さんの『ぼくらの近代建築デラックス!』が面白かったので、期待大で手に取った。写真は素晴らしいし、建築ガイドとしては有用なのだろうが、恩田さんファンとしてはわずかなエッセイと対談があるだけで、正直コスパが悪い(図書館で借りといてコスパを語るな!ですよね)。写真のキャプションは字が小さくて老眼には読めず、建物の説明も感情をあえて排して客観的な事実説明だったので、面白さには欠けた。恩田さんのいる意味あったのかなあ?

  • 横浜の近代建築から32の建物を選んで写真を多用して見るポイントを解説した本。ほとんどが有名建築だが、一般にはあまり知られていない名建築も含まれている。
    細かい意匠の写真も多く、今まで気付いていなかったところも多く知ることができて良かった。写真をとるアングルなども参考になる。
    建築物の背景や建築家などの情報は省略し、建築を見て感じる楽しみ方に重点を置いたとのことで、解説のテキスト量は最少限といったところだが、割と専門用語が使われていて、一般の人にはわからないのでは、と思われるところもある。
    写真を見るだけで楽しく、実物の建築を見に行きたくなる本。

  • 思えば横浜観光あまりまともにしたことがなかったので、次の機会があればこの本片手に巡ってみたい。恩田陸のエッセイが挟まっているのが嬉しい。第二弾で函館とか長崎とかもやってほしいかも…

  • 横浜の中心部を中心とした名建築を紹介。どの建築にもこだわりとか温かみとかあって訪れたくなる。恩田さんのお話も温かかったな。横浜以外にも建物に興味があったという記述が興味深い。

  • 既知の建物がほとんど。
    紹介がメインで、眺めるのが楽しい。これをきっかけに現地を訪れるのがいいかも。

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著者プロフィール

菅野裕子(すげの・ゆうこ)
横浜生まれ。横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院特別研究教員。博士(工学)。西洋建築史専攻。
一九九三年横浜国立大学大学院修了、二〇〇六-〇七年フィレンツェ大学建築学部客員研究員。
著書に『建築と音楽』(共著、NTT出版)、『装飾をひもとく:日本橋の建築・再発見』(共著、青幻舎)、
『14歳からのケンチク学』(共著、彰国社)他

「2021年 『横浜の名建築をめぐる旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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