自殺リスクの理解と対応―「死にたい」気持にどう向き合うか

  • 金剛出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772412636

作品紹介・あらすじ

自殺に関する悪意ある神話を解き明かす。クライエントの自殺念慮を導きだすための画期的な面接テクニック。

感想・レビュー・書評

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  • 自殺念慮がどのように生じるのか,また患者が抱く自殺念慮をどのようにして知っていくかを纏めた,臨床家向けの専門的な内容.自殺念慮を持つ人への対応を考える上で,環境の影響だけでなく,生化学的要因(精神疾患,アルコールその他薬剤の作用など)や,当事者の認知の歪みといったところも含めて,総合的に目を向けることが不可欠である,としている.そうした部分について患者から情報を引き出す手法として,6つの方法(行動イベント同定・恥の希釈化・症状の増幅・具体的事象の否定・優しい仮定・正常化)及び,自殺行動の的確な把握に役立つCASEアプローチを解説する.更に,直にその患者と関わる他の医療関係者や家族などから,必要に応じて情報を得ることも大切だと述べている.
    平易な表現が用いられ,また臨床例に加えて一般的な例(文学や芸術など)が多く引かれていることもあって読みやすく,専門家ではない私でも,あまり苦労せずに理解できる内容が多かった.本書は自殺を考えている人に触れる機会のある・あるかもしれない人全般にとり,有益なものであると考える.

  • 自殺に関するアセスメントと対応について包括的に学ぶことができる一冊。自殺とはどのような現象かをまず紐解き、その上で、自殺念慮を引き出すテクニック、およびリスクアセスメントについて論じられていく。解説は全体に平易でわかりやすく、同時に大変深みのある内容である。
    自殺は一般にタブー視されやすいが、本書では自殺念慮を引き出すことの重要性が繰り返し主張されている。また、その方法論が筋道立てて具体的に紹介されているため、実践に役立てやすい。
    本書のもうひとつの特色である、「自殺イベントの時系列的アセスメント(略称:CASEアプローチ)」に関してもかなり紙幅を割いて紹介されている。このアプローチにより、自殺リスクに関する理解や対応のコツが有機的に結びついていく。極めて実践的な内容となっている。
    日々の臨床で自殺のリスクにいち早く気づき、すばやく対応していく上で、本書から学ぶことは多いと思われる。自殺はどうしてもタブー視されがちだが、本書を読むことでこれまで抱いていた自殺に対するイメージも再構築されることだろう。

  • 自殺リスクのアセスメントについて、そして面接技術について、懇切丁寧に紹介されています。

    自殺予防について話すならば、この本は必読書のひとつなのではないかと思いました。

    深刻なテーマであり、扱っている内容もシビアなので何度も挫折しそうになりましたが、最後まで読めたのは行間から著者の深い思いやりを感じ取ることができたからだと思います。

    読んでよかったし、これからも読み返していく一冊になりそうです。

  • SDGs|目標3 すべての人に健康と福祉を|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/63688

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