あなたのひとり旅 (末盛千枝子ブックス)

著者 : M.B.ゴフスタイン 谷川俊太郎

• 現代企画室 (2012年2月1日発売)

作品紹介・あらすじ

二人には何年も何年も幸せなときが続き、

楽しい思い出もたくさんありました。

でも、いまついに一人が旅立ち、

もう一人が残されるときが来たのです。

言葉と絵が、後に残る者の悲しみと寂しさを余すところなく描いて、

それでもなお、愛は死によっても失われることはなく、

この世での寂しさはいっときのものと伝えています。





ゴフスタインはずっと真実の愛とは何かを絵本で表現したいと考えていました。初めてジョン・ハートフォードの歌う"Your Lone Journey" を聞いたとき、自分の考えてきた愛とか結婚とは、これだと思ったといいます。そして、ローザ・リーとドク・ワトソンの歌う元歌を何回も何回も聞き、数年たって、やっとこの絵を描けたのです。ゴフスタインにとって25 冊目となる本書は、他人の文章に絵を付けた初めての本です。



日本では、『ピアノ調律師』から7 年ぶりに翻訳出版されるゴフスタインの絵本。翻訳は、長年ゴフスタインの翻訳を手がけてこられた谷川俊太郎氏です。現代企画室の新シリーズ「末盛千枝子ブックス」の第1 作です。



［末盛千枝子ブックスについて］

すえもりブックスを主宰し、国際児童図書評議会（IBBY）の国際理事としても活躍した名編集者・末盛千枝子さんによる『人生に大切なことはすべて絵本から教わった』を、現代企画室は2010 年に出版しました。この度、現代企画室の新シリーズとして「末盛千枝子ブックス」をスタートさせることとなりました。末盛さんが新しく企画・編集する絵本や著作の他、末盛さんがかつて手がけたゴフスタインをはじめとする名作も復刊させていきたいと思っております。



「あるべき形におさまる」ことが私の理想です。だから、「末盛千枝子ブックス」が現代企画室のシリーズとして出ることが、私はとても嬉しいのです。

これこそ、「あるべき形におさまる」です。———M.B. ゴフスタイン

感想・レビュー・書評

[cinejazz0906さんの感想 · 2023年3月18日]

〝何年も何年も､幸せだった二人...とうとう､ひとりひとり｡あなたが､あっちへ呼ばれてしまって､悲しみの苦しさに心が引き裂かれる...ああ､あなた! 私のあなた! あなたの一人旅に､私の心はずたずた...ああ､あなたがいないと､これからの日々は空っぽ､夜は長い｡ あなたが呼ばれてしまって､私はひとり残されて...でも､私たちはきっと会う､この宇宙のどこかで〟･･･あとに残された者の悲しみ､寂しさを余すところなく描き､愛は死をもっても失われることはないと伝える､ゴフスタイン作＆谷川俊太郎訳の心揺さぶる絵本｡

[はぴさんの感想 · 2013年2月13日]

ローザ・リー＆ドク・ワトソンの歌「your Lone Journey」による文に画家のゴフスタインが絵をつけたのが本書。
ゴフスタインはずっと真実の愛とは何かを絵本で表現したいと考えていたそうです。

優しいふんわりした色彩で描かれています。
登場人物には顔があるけれど目鼻口などのパーツがないので表情は想像するしかありません。
ある人は自分と重ねて、またある人は誰かを思い浮かべながら読むんでしょうね。
私はやはり自分達夫婦の将来を考えながら読みました。

「私の心はずたずた」という言葉が何度も出てきます。
後に残されたものの悲しみが痛いほど伝わってきました。
もう会えなくなってしまったけれど、思い出は残っている。
そして、そこまで愛した人がいたというのは幸せなことじゃないかとも感じました。

曲を視聴しながらこの絵本を読んでみましたが、より一層世界観を感じられるような気がしました。

[sorairokujiraさんの感想 · 2012年3月29日]

谷川俊太郎さん訳
ゴフスタインの柔らかな絵と。
大切なあなたを失った悲しみが切々と伝わってくる。
けれど、そこに流れる希望。
大切な絆。
一緒に生きられた喜び。
そして、また必ず同じ時を過ごすだろうという希望が。
こんなふうに寄り添って生きることが出来れば、どんなにか嬉しいだろう？

[ゆみねーさんの感想 · 2024年4月15日]

主人公：残された奥さん
舞台となる年代・地域：
主題：死別
対象年齢：大人
文章：奥さんの語り
挿絵について：パステル　表情など見えない
内容：愛する人を亡くした悲しみ
特記：
魅力的な点：歳を重ねて益々染みる本なのだろう

[junkotetuさんの感想 · 2022年5月14日]

又会えるよ〜

[cpehonpjさんの感想 · 2020年9月30日]

ローザ・リー＆ドク・ワトソンの歌「your Lone Journey」に感銘を受けてゴフスタインが初めて他人の文章に絵を描いた絵本。
ピアノ調律師やブルッキーのひつじなどとはちょっとテイストが違うやさしいタッチが、さびしさや愛しさを一層強く感じさせる。静かで慈しみ深い

[yukkuritoneさんの感想 · 2019年9月5日]

死別の話だったと思う。

しんだら、ひとりの旅。

[ひとこさんの感想 · 2019年7月8日]

2019/07/03

[ひげうさぎさんの感想 · 2019年3月14日]

寄り添って幸せに生きてきた夫婦

一人が旅立ちのときを迎え
残されたもう一人は悲しみにくれる

みとる妻、椅子に一人腰かける妻、天国で手をつなぐ夫婦……
あえて表情を描かないやわらかなパステル画が思いを募らせる

　　ああ　あなた！
　　私のあなた！
　　あなたのひとり旅に
　　わたしの心はずたずた

絵本作家ゴフスタインが“Your Lone Journey”という曲の歌詞に絵を描き、「♪オーマイダーリン、マイダーリン」の絶唱を谷川俊太郎が日本語で表現する

出版社「すえもりブックス」を引き継いだ現代企画室が「末盛千枝子ブックス」の第一弾として2012年に出版した味わい深いおとなの絵本

[コハマさんの感想 · 2018年8月7日]

死。離別。夫婦。
ジョン・ハートフォードの歌う”Your Lone Journey”に絵をつけた、ゴフスタイン25冊目の本。他人の文章に絵を付けた初めての本。

著者プロフィール

M.B.ゴフスタイン（作）
1940年、アメリカミネソタ州セントポールに生まれる。大学卒業後、ニューヨークに移り絵本作家として活動を開始。1966年に最初の絵本を出版。シンプルな線、スピリチュアルで哲学的なストーリーが児童書の枠を越えて影響を与える。1989年以降は小説を執筆。晩年は自然や天国についての物語や詩を書いた。2017年77歳の誕生日に没。

「2023年 『M. B. GOFFSTEIN 2024カレンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」