砂漠の国からフォフォ- (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774308814

作品紹介・あらすじ

地元の幼稚園で働くあゆらは、「もっと自分にできることがあるのでは」という思いを抱えている。そんな時に見つけた「青年海外協力隊」の記事に、心が強く動かされた。「これだ!」難関をクリアして派遣されたのは、西アフリカのニジェール共和国。気力をうばうほどの暑さ、貧しさからくる死、男尊女卑の厳しい職場…。習慣や文化の違いにとまどい、悩みながらも、現地の子どもたちの輝く瞳を原動力に、自分の信じた道を、まっすぐに歩んでいく女性、あゆらの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 光村の中学国語の教科書の「読書の世界を広げよう」に載っていた本だと思うのだが…。


    幼稚園教諭をしながらも、何か空虚な気がして、もっと自分を生かせるものがあるのでは?と思うあゆら。

    ある日雑誌で目にした「青年海外協力隊」の記事に、これだ!と幼稚園を辞め、協力隊の採用試験を受ける。
    が、これが厳しい!3回目でどうにか合格し、アフリカの最貧国ニジェールへと赴き、現地の幼児教育に従事することになる…。

    かなり前向きなあゆらだが、

    ●40度以上の高温&極度の乾燥(大量に汗をかくが、すぐに乾くため肌が塩を吹き、その塩で肌が傷つき、ひび割れる)という過酷な環境。
    ●男尊女卑が明確なイスラム教、物乞いもすごい。
    ●マラリヤや寄生虫、子どもが生まれてもすぐ亡くなる衛生状態、貧困。

    など、日本では想像もできない世界にげっそりと痩せ、マラリヤにもかかってかなり危険な状態になってしまう。
    それでも彼女を奮い立たせるのは、月並みだが、人々の優しさや逞しさ、役に立てた時の喜びなのだ…。

    この小説はフィクションであるが、実際に青年海外協力隊でニジェールに行った、著者の中川なをみさんのお嬢さんをモデルとしており、半ノンフィクション作品と言えるのではないだろうか。

    活動内容をあまり世に知られていない「青年海外協力隊」。
    彼らの厳しくも充実した日々を物語を通して知ることができる。2021.8.19

  • 「地元の幼稚園で働くあゆらは、「もっと自分にできることがあるのでは」という思いを抱えている。そんな時に見つけた「青年海外協力隊」の記事に、心が強く動かされた。「これだ!」難関をクリアして派遣されたのは、西アフリカのニジェール共和国。気力をうばうほどの暑さ、貧しさからくる死、男尊女卑の厳しい職場…。習慣や文化の違いにとまどい、悩みながらも、現地の子どもたちの輝く瞳を原動力に、自分の信じた道を、まっすぐに歩んでいく女性、あゆらの物語。」

  • アフリカとそこに暮らす人々を知りたい人向け。
    読みやすく、文量も少ないので、アフリカを知るとっかかりとして、本書はオススメです。

    主人公は24歳、幼稚園教諭の女性。
    青年海外協力隊員として、アフリカ最貧国のひとつニジェールへ向かう。

    児童書ゆえ、物語も人物造形もありふれたもの。
    しかし、五感に訴える数々のエピソードは、アフリカの暑さを、人々の生活を色鮮やかに伝えてくれる。

       ◇◆◇◆◇◆◇
    書き出し

     あゆらは先月二十四歳になったばかり。幼稚園の先生になって四年目の冬をむかえた。
     首にマフラーを巻きつけてから通勤用のバイクにまたがり、キイを差しこんだときだった。
     目の前をひらっと、花びらのような雪が舞い降りてきた。

  • 純粋に文学作品として評価すれば、欠点はたくさんある。
    でも、ニジェールを舞台にした小説ってないから、興味深かった。
    ナイジェリア人のアディージェは読んだことあったけど、ナイジェリア人にとってはナイジェリアが当たり前だから、日本人がどう感じるかはわからない。
    これは日本人女性を主人公にしているので、日本人がどう感じるかが伝わってくる。
    何事も日本の常識の通じない国。人間同士はいずれ分かりあえると思うけど、気候と食べ物に慣れることができるかは結構大きい。
    アフリカに一週間ほど行ったけど、ずっと住むのは難しいなと感じた人間としては、主人公の前向きさに胸打たれるものがあった。

  • 私の世界なんて、狭い狭い。

  • 「フォフォー」とは西アフリカのニジェール共和国サイという村で使われる言葉で挨拶の意味があります。この物語の主人公あゆらは自分にもっと出来ることがあるはずだ!と感じ、青年海外協力隊の幼稚園教諭としてニジェール共和国に赴任します。目標は貧しい子供たちも学ぶことが出来る野外学習を行うこと。日本とは気候も文化も異なる国で、あゆらは持ち前の明るさと前向きな気持ちで困難を乗り越えていきます!

  • ★★★☆☆
    西アフリカノニジェール共和国、日本では想像もつかない暑さ、習慣や文化の違いにとまどいへこたれながらも、あゆらは青年海外協力隊として、現地の子どもたちの教育に心意気で参加していく。

    「だれもかれもが金持ちにならなくてもいいし、同様にみんながかしこくなる必要もない。
    あゆらだって、賢かったら、そんなとこ、行ってねえだろ?
    賢い人は将来の見通しを立てて行動するからねえ。」
    弟くんの手紙より、引用

    ←よりよくと思って行うことが、その土地にすんでいる方や文化・暮らしを否定することになってはいけないんですよね
    現地で現地の人と、現地にあった協力を、とあらためて
    フォフォーは現地の言葉でこんにちは
    (まっきー)

  • アフリカ、ニジェール。
    激しい暑さと乾燥。辺りは一面砂。家の中にもカメラの中にも侵入する砂。
    汗は瞬時に乾くけれど、皮膚には塩が残り擦ると肌を痛めてしまう。
    どんどん低下する食欲。そりゃそうなるな。
    しかし、雨期がやってくる。
    潤った地面が見せる表情は、とても感動的。
    この一瞬の為にいつかニジェールに行きたいと思った。

    人々の様子は、いつか行ったインドを思い出す。

  •  24歳のあゆらは、青年海外協力隊としてニジェールへ。

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著者プロフィール

山梨県生まれ。日本児童文学者協会理事。『水底の棺』で日本児童文学者協会賞受賞、『天游』、『龍の腹』(くもん出版)。『水底の棺』『有松の庄九郎』(新日本出版社)、『茶畑のジャヤ』(鈴木出版)で全国課題図書作品に選定。19年11月に初のノンフィクション『よみがえった奇跡の紅型』(あすなろ出版)刊行。

「2021年 『バトン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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