この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。

著者 :
  • イースト・プレス
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781616087

感想・レビュー・書評

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    闘病記文庫

  • 生活保護って人間の尊厳を奪っていくんだなと思いました。
    人間は一定の尊厳を持って、社会に必要とされることで生き延びられるのだなと思いました

  • 著者は俺と同い年。
    うつ病、自殺未遂、生活保護から立ち直るまでの物語。

    クリニックや役所の対応がにわかには信じられないほどひどくて呆れた。製薬会社との癒着や文書偽造。犯罪じゃないのか?

    著者は生活保護は権利なのだから困窮する人は受けてほしいと実体験から語る一方で、そこから抜け出し自活できるようになった自分を誇るという矛盾した記述に当事者のリアルな心境を見る思いがした。

    生活保護を現物支給したとしても受給者の抱える孤独の問題は解決されないとの指摘は説得力がある。労働は金を稼ぐためだけのものじゃなく人と関わる機会でもあり自尊心を得られる場でもある。

  • 理屈はわかってるんだけど、やはり当事者のお話って圧倒的な現実感だなあ、と。”何が必要とされているのか”が凄く明確に伝わる書き方なので、今後の支援に役立ててほしいとすごく思った。

  • 重い!
    メンタルヘルスで休職中の人は、まだ読まない方がいいかも。
    引っ張られる。

  • 生活保護を抜け出す、そのための方法が明確に提示されていないことなど、生活保護行政について垣間見えた。
    また、精神的な疾患で苦しむ人々にとって、生きづらい世の中は、やっぱり良くないと思った。どうすればよいかの具体策はすぐには思い浮かびませんが、、、。

  • 「死にたくなった」人の特効薬になる本を探して購入。

    ワーキングプアから、精神疾患をきたし、生活保護になる至った作者の体験がつづられている。

    私は、本書を「死にたい」気持ちを解決するためではなく、「死にたくなった」人の気持ちを知るために購入したのだったが、メンタル系の書籍の中で最も心に響いたのは本書である。

    そもそも、本を書く人なんて優秀ではないか。「死にたい」を理性と賢明さで克服した人間からのアドバイス。有能であるが故に心に変調をきたし、結果として有能な活動を行っている人間。ルサンチマンと呼んでもらって構わないけれど、どうしても自分や大多数の人に比べて境遇に隔たりを感じてしまう。

    対して、著者は確かに本を書いているが、経緯は親近感を感じる。短大を出て就職した先が、ブラック企業だったのだ。そして、生活保護というセーフティネットに引っかかるところまでなるべくして落ち込んでしまった不条理とも言える境遇である。

    しかし、先に賢人たちを強者だと罵ったあとに、著者の弱者としての立場に哀れみを感じて、それがまた、自分に快楽として作用しかかるのを感じた。著者は私よりも、ずっと強く、ずっと立派な人間である。この立場の境目は動的で連続的であることを忘れてはならないと肝に銘じた。

    本書で気づかされたこと、
    私たちは、仕事をしたくない、したくないと日々口にするが、仕事をすること、つまり社会を回している感覚というのは自分の存在意義に直結する。そして、そうできない、やむにやまれぬ理由で普通でいられず苦しんでいる人が、多くいるということを認識しなければならない。

    また、私は、生活保護を受ける人達を恥ずかしいと思ってきた。しかし、本書で追い込まれた人達の立場を知り、責めるべき理由なんてないことが分かった。生活保護は不運な人を救う日本人の良心ではないだろうか。

    最後に、これこそが「死にたくなった」人に必要な考え方ではないかと感じた著者の言葉を引用したい。
    “だけどまだ、人生の途中だ。これから先も失敗したり、絶望したりするかもしれない。けれど、それはすべて必要なことなのだ。私はこのままでいいのだと思った。”

    過去と未来の悲しみと苦しみをひっくるめて人生を全肯定すること。これが、「諦める」でもなく、「前を向かせる」でもない、過酷な境遇から復活を果たした著者が語る至言である。

  • 僕は精神病に興味がありますし、貧困にも興味がありますが、この著書はビジネス系のウェブサイトに寄稿していた著者小林エリコさんの記事を読んで知りました。

    序盤読み進めることが辛くなってしまい途中で辞めようとも思いましたが、最終的になんとか読み切れました。とてもいい本でした。

    著者自身のこれまでのことを書いている内容です。

    就職の失敗、自殺未遂、生活保護、貧困ビジネス、再就職の過程です。

    人間誰しも負のスパイラルに巻き込まれるとなかなか抜け出すことが大変ですが、著者はなんとか踏ん張ったわけですね。
    本当によかったね。と言ってあげたいです。

    貧困には経済的な意味合いがまずありますが、それだけでなく、健康の貧困、そして、関係性の貧困があります。

    経済、関係、健康いずれもとても重要なもので、それらの一つでも失うことで貧困へと至り易くなってしまうのです。

    どれを失っても辛いものですが、逆に言えば、それらのうちどこかに手厚いサポートが加われば貧困から脱却できるチャンスも高まります。

    関係性の貧困が解決すれば、社会制度の活用や就職のチャンスも高まるでしょうし、必要な医療制度に接続することもできるでしょう。

    また、人はどこかに所属しているという感覚がとても重要です。自分がどこかに所属している。他者から必要とされている。他者や社会に貢献出来ている。そう感じられて人は自信を持つことができ、そして、生きていくエネルギーが生まれます。

    自分の居場所があることはとても重要です。

    小林さんはいずれも失ってしまうのですが、そんな状態からよくぞ立ち直りました。

    しかし、世の中には上記の3要素を失って苦しんでいる弱者がたくさんいることでしょう。彼ら彼女たちのその状況を理解し、手を差し伸べる姿勢を持つ人、彼らの苦しみに耳を傾ける人が増えれば増えるほど、良い世の中になっていきます。

    それは、小林さんの意見ですが、僕も全く同じ意見です。

    残念ながら現代社会は弱い立場の人の気持ちを考えない人が多すぎるように思えます。そんなことでは結局自分自身の首を締めることなりますし、また、いつでも自分が弱い立場になり得るのです。

    この著書がどれだけの人に読まれているかは僕にはわかりませんが、多くの人に読んでもらって社会についてもっと考えて欲しいと思います。

  • ついふらっと自殺しようとしてしまったけれど、本当はまじめできちんと生きようとしている人だということが良くわかる。生活保護のこともざっくりと分かって、生活保護から抜けようとしている人への心無い対応している職員の人に腹が立ちました。ただ、生活保護を満喫している人たちもたくさんいるわけで、その人たちにすれば小林さんの心理はもちろんのことそれが税金であるということも理解できなかったのでしょう。

  • 辛い経験がクリアに言語化されていて驚き、圧倒される。文章で書かれた内容以上に、筆致もまたそのときの心を雄弁に語っている。感情がこもっているのに、生活保護ならではのしんどさが整然と伝わってくる。切ない。読んでいて辛くなり、自分の置かれている環境がありがたく思われてくるようなところもある。

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著者プロフィール

1977年茨城県生まれ。短大卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職、のちに精神障害者手帳を取得。デビュー作『この地獄を生きるのだ』(2017年、イースト・プレス)が話題を呼ぶ。『家族、捨ててもいいですか?』(2020年、大和書房)、『私がフェミニズムを知らなかった頃』(2021年、晶文社) など著書多数。

「2022年 『マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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