いま生きているという冒険 (よりみちパン!セ)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 121
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781690100

作品紹介・あらすじ

開高健ノンフィクション賞、土門拳賞ほか連続受賞者であり、世界を素手で旅し、未知のフィールドを歩き続けるたぐいまれな冒険家/写真家が書き下ろす、圧倒的な旅の軌跡。未発表カラー写真多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 冒険家(と呼ばれるのには抵抗があることはこの本でも書かれているが)とか、登山家とかが命ギリギリのところで生きる喜びを感じることに憧れはあるけれど、それを成し遂げるには人一倍情熱や気力があるだけでは到底足りない。思い切りはもちろんだが、慎重さ、冷静さ、客観性、感覚の鋭さ、コミュニケーション能力、そして頭の良さは必須なのではないか。ここで誰とは言わないけれど、無謀な挑戦をして命を落としてしまった登山家は情熱だけで何とかなると思っていたところがはじめはあったんじゃないか。そして経験を積むうちに、それだけでは太刀打ちできないことに気づいただろう。しかしその時には後戻りできなくなっていたのではないか。
    チョモランマ登頂は「無酸素で登ることも人によっては可能です。が、八千メートル以上の山を無酸素で登ると、ボクシングで思いっきりノックアウトされたくらいの脳細胞が死ぬ、と言われています。身体にダメージが残ることもあり、リスクが大きいために無理をすると取り返しのつかないことになってしまいます。」「厳しい環境に身を置くと、自分がどのあたりまで行けて、どのあたりを超えると危険なのか、ということが感覚的に分かるようになります。ぼくの場合、高さは標高八千三百メートルくらいが限界です。そこまでは無酸素で行けるのですが、それ以上先へ行ってしまうと、多分死んでしまうだろうなと思います。」(P158)
    8000メートルをこえる山に登ったり、極地を探検したり、羅針盤もエンジンもない船で航海するとなると、肉体的にも、精神的にも、そして頭脳的にも高いものがないと、即、死につながる。
    石川直樹さんという人は、それを備えた稀有な人だと、この本を読んで感じた。それでも死の瀬戸際に立たされた。気球で太平洋を横断し、アメリカに着陸する計画だったのが、天候のせいで予定以上に燃料を消費してしまい、太平洋に着水せざるを得なかった体験は、凄まじい。よく生きて帰れたと思う。
    文章は平明で淡々としているので、何の経験もない中学生くらいが読むと、へぇーこんなもんかと思うかもしれないが、高山病とか、登山とか、飛行機に乗って乱気流に巻き込まれたとか、石川さんの経験と比べれば足下にも及ばない経験でも、ちょっとでもしていれば、いかにすごいことかわかる。
    角幡唯介とか服部文祥とか高野秀行とか冒険家であり文章も上手い人がいるが、石川さんはちょっと毛色が違う感じで面白い。
    他の本も読んでみたい。

  • 7章は特に良かった。
    私自身がバンクーバーでひとり暮らしをしていた時に
    考えていたことと同じようなことが書いてあった。

    大切なことは、「心を揺さぶる何かに向かいあっているか」
    ということ。
    この言葉をときどき自分に問いかけてみようと思う。

  • これ、すごく良い本です。
    日本人の若い人で、こんな冒険家がいたのですね。
    若い人用の本でしたが、大人が読んでも充分、すごいと思いました。
    あぁ〜、旅に行きたくなりますね。

  • この人はすごいです。

  • 高校二年生でインドへ一人旅。浪人時代には全長三千キロのユーコン川をカヌーで一人川下り。七大陸最高峰登頂、北極から南極への大陸縦断、気球での太平洋横断に星の航海術習得…。旅に出ることで実感する「生きている」という感覚。「今生きている世界が全てではない」「心を揺さぶる何かに向き合うか」旅の魅力と共に生きるとは何かを考えさせてくれる一冊。著者のエネルギーに圧倒され続けましたが、「新しい生活を始めるだけでも冒険」という言葉に身近さを感じました。目次は何と世界地図!一章ごとに紹介される地域枠で囲まれていて、読者をワクワクさせてくれます。

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著者プロフィール

冒険家、写真家

「2019年 『いま生きているという冒険 増補新版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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